北見市の誘致企業紹介 第5回 野村興産(株)イトムカ鉱業所

2014年11月28日

野村興産株式会社イトムカ鉱業所

イトムカ鉱山記念碑

「イトムカ発祥の地」記念碑

5回目は、野村鉱業(株)が水銀精錬で培った技術力・設備を譲り受け、乾電池や蛍光灯に含まれる水銀のリサイクル事業など廃棄物の処理、処分を幅広く手がける野村興産(株)イトムカ鉱業所を紹介します。

北見工業大学出身で所長の早坂篤さんにイトムカ鉱業所の事業概要や循環型社会構築に向けた先駆的取り組みなどについてお話を伺いました。


早坂篤所長

野村興産(株)イトムカ鉱業所・早坂篤所長

使用済み蛍光灯の処理作業

使用済み蛍光灯の処理作業

乾電池の選別作業

乾電池の選別作業

水銀顔料

水銀顔料

出荷用水銀の封入作業

出荷用水銀の封入

 -水銀を含む廃棄物の回収や無害化を行う国内唯一の事業所とお聞きしました。

早坂所長:平成25年度の実績では、使用済み乾電池で770の自治体から、蛍光灯も約750の自治体から運び込まれてきます。これは全国の自治体の45%弱にあたる数ですが、国内流通量に占める割合としては乾電池が約26%、蛍光灯は約16%に過ぎませんので、今後もリサイクルの裾野が広がるように努めているところです。

 

-乾電池も蛍光灯も、余すところなくリサイクルされているそうですね。

早坂所長:廃乾電池には水銀ゼロ使用となる前に製造されたものやボタン電池、海外製のものが含まれ、これらは微量の水銀を含有しているため、高温で加熱する「焙焼(ばいしょう)」という工程で水銀を気化した後、冷却・精製のうえ回収します。残った外缶は鉄製品へ、マンガンや亜鉛は肥料の原料や亜鉛地金へ生まれ変わります。

蛍光灯に含まれる水銀も乾電池と同様に焙焼工程で回収し、口金の部分はアルミニウム原料として、ガラスはグラスウールの原料や再び蛍光灯へと生まれ変わります。また、蛍光粉にはユウロピウムやイットリウムなどの希土類(レアアース)が含まれていますので、これらも貴重な資源としてリサイクルしています。なお、回収した水銀は大学や研究機関での水銀試薬として、あるいは蛍光灯の材料として使用されています。

 

-暮らしの中で水銀はどのように使われてきたのでしょうか?

早坂所長:水銀化合物の一つである硫化第二水銀(銀朱)は、漆器の着色、神社の鳥居や神殿の彩色等の絵具、朱肉や朱墨などに盛んに使用されてきました。かつてケガの定番薬であったマーキュロクロム(赤チン)も水銀化合物を含んでいます。

 

-水銀回収に関して新たな提案を行っているそうですね。

早坂所長:近年、水銀を含んだ廃棄物の混入により、東京都内の廃棄物焼却炉の停止が相次いだことを受け、東京都医師会では原因とされる水銀血圧計や水銀体温計の一斉回収事業に取り組んでいます。この処理を、ここイトムカ鉱業所で行っていますが、全国には使用されていない、または使用済みとなった水銀血圧計、水銀体温計が数多くあるはずです。こうした取り組みを普及させることも、弊社の社会的責任の一つであると考えています。

 

-今年4月には「国連工業開発機関(UNIDO)」との覚書締結をしたそうですが?

早坂所長:元素である水銀は処理により無くなることがありませんので、いかに安全に取扱いできるかが重要です。今後、様々な地域に対し適切なアドバイスを提供するため、UNIDO と弊社が協力してパイロットプロジェクトの開発や試験を行うと共に、一部技術を発展途上国に移転する予定です。特に水銀含有廃棄物が大きな課題となっている東南アジア地域から始めることとしています。

 

-最後に、北見市民の皆様へのメッセージをお願いします。

早坂所長:冬あか一層運動の実施など、この地域の良さの一つに「団結力」の強さがあると思います。イトムカ鉱業所は元々一つのマチであったこともあり、事業を通じた地域社会への貢献は、即ち社員や家族の幸せの実現に資するものと考えています。

弊社の事業は「循環」と「共生」というキーワードの下に成り立っていますが、貴重な資源を未来へと繋げ、自然と共に生きていくためには、世代や地域を越えた「団結」が必要になってきます。

今後も、国内はもとより東南アジア地域の水銀含有廃棄物処理・リサイクルの拠点となることを目指し、海外への技術移転にも積極的に協力していくことが弊社に課せられた使命だと思っております。

地域の皆様には引き続き、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

(文中のデータは全て平成26年7月現在のものです)