「ところ遺跡の森」便り【2015年4月号~2015年9月号】

2017年5月17日

 「ところ遺跡の森」便りは北見市常呂自治区内で市報に折込で配布されている社会教育情報内に毎号掲載しているものです。
 イベント案内をはじめ、考古・自然など「ところ遺跡の森」に関連する情報を毎月お届けしています。
 (毎月初め更新予定。ここに掲載したものは、写真・文章は当初掲載時のものから一部変更している場合があります。)

2015年4月号

オホーツク文化釣針
オホーツク文化の釣針

 先月、ところ遺跡の森では骨角器作り体験教室を実施し、多数の市民の方のご参加をいただきました。

 人類が作った道具で最も古い歴史をもつ石器は300万年以上前から使われていたとされていますが、動物の骨や角で作った道具である骨角器はこれに次ぐ歴史があり、アフリカでは150万年くらい前にはすでに使われていたとされています。

 こうした骨角器は常呂の遺跡でも数多く見つかっています。数千年前の縄文時代のものもありますが、最もよく見つかっているのは約千年前のオホーツク文化のものです。今回写真を載せたのはその1つ、骨製の釣針です。なかなか完全な形では見つからず、写真のものも欠損しているのですが、本来は「U」字形をしていました。実物は非常に大きく、写真右のもので長さ約16cmもあります。オホーツク海にはオヒョウという体長1~2m以上になるカレイの仲間がおり、こうした巨大魚を獲ったものと推測されています。常呂に住んだ人々が大昔から海の幸に恵まれていたことを示す証拠の1つです。

2015年5月号

 4月には遺跡の森でもようやく雪が姿を消し、春の花が咲く季節になりました。毎年雪解けとともに咲き始めるのがキタミフクジュソウやアズマイチゲです。

 黄色い花のキタミフクジュソウは近年、数の減少が心配されている稀少な植物ですが、遺跡の森では群生している箇所がいくつかあります。今年はキタミフクジュソウの花は4月末まで、アズマイチゲは5月はじめまで見ることができました。日が出ていないときには花は閉じてしまうので、晴れた日に見るのがおすすめの花です。

 4月~6月はさまざまな花が見られる季節です。5月にはこれらの花と入れ替わるようにして、オオバナノエンレイソウが遺跡の森・擦文の村周辺ほかで一面に咲いています。5月20日過ぎころまでが見ごろです。

アズマイチゲ・キタミフクジュソウオオバナノエンレイソウ
遺跡の森の遊歩道沿いに群生するアズマイチゲ、キタミフクジュソウ(左)
オオバナノエンレイソウ(右)

2015年6月号

ところ文庫
ところ文庫 最新刊(写真右下)とバックナンバー

 常呂町郷土研究同好会は、30年以上にわたって郷土の自然、歴史、文化を後代に伝える活動を行なっている団体で、毎年、常呂地域についての色々なテーマを扱った「ところ文庫」の刊行をおこなっています。

 平成26年度には「ところ文庫」第31巻「常呂町の歴史資料(3)」(500円)が刊行されました。常呂町郷土資料館に収蔵されている郷土資料の一部を紹介する内容となっています。郷土資料館では開拓期以降に使われた様々な古い道具を収蔵していますが、その中から生活用品を中心とした資料を採り上げ、写真とともに解説しています。

 既刊分も含めた「ところ文庫」の販売は遺跡の館の受付でも取り扱っておりますので、お気軽に声をおかけ下さい。

 

 

ところ文庫既刊(欠番は品切れ)
 1 常呂町の石碑(佐々木 覚・著) 600円
 2 樺太アイヌのトンコリ(金谷 栄二郎、宇田川 洋・著) 800円
 3 常呂町岐阜のあゆみ(林 不二夫・著) 600円
 4 常呂町の花と鳥(高橋 克己・著) 1,000円
 8 常呂町の歴史資料(1)(武田 修・著) 500円
 9 常呂町の古記録(1)(佐々木 覚・著) 500円
11 大西信武と常呂遺跡(大西 信重・編) 600円
12 ワッカ・その自然(常呂町郷土研究同好会・編) 500円
13 松浦武四郎と常呂(佐々木 覚・著) 600円
14 常呂町の昔話(宇田川 洋・著) 600円
15 常呂町の山菜とキノコ(松田 寿夫、佐々木 覚・著) 600円
16 常呂町の郷土史話2(常呂町郷土研究同好会・編) 600円
17 松浦武四郎と常呂2(佐々木 覚・著) 800円
18 常呂町の昔話2(林 不二夫・著) 600円

19 常呂町の昔話3(常呂町郷土研究同好会・編) 800円
20 常呂町の花(高橋 克己・著) 1,000円
21 常呂町の郷土史話3(常呂町郷土研究同好会・編) 600円
22 遺跡の森の考古学(熊木 俊朗・著) 800円
23 常呂町の古記録(2)(佐々木 覚・著) 500円
24 サロマ湖のカキと鐺沸(永田 次男、豊原 熙司・著) 600円
25 遺跡の森の動植物(宇野 修一、山田 哲・著) 800円
26 常呂町の歴史資料(2)(武田 修・著) 500円
27 常呂町の遺跡と遺物(2)(常呂町郷土研究同好会・編) 1,000円
28 常呂のカーリングのあゆみ(1)(常呂町郷土研究同好会・編) 500円
29 常呂歴史物語(佐々木 覚・著) 500円
30 常呂川(佐々木 覚・著) 500円
31 常呂町の歴史資料(3)(武田 修・著) 500円
 

2015年7月号

 北見市教育委員会では東京大学常呂実習施設と共同で遺跡の発掘調査を実施しています。このたび、その調査成果の一部をまとめた書籍が『トコロチャシ跡遺跡群(史跡常呂遺跡)整備に伴う発掘調査報告書』として刊行されました(写真)。

 トコロチャシ跡遺跡では様々な時代の遺構・遺物が見つかっていますが、この報告書では特にオホーツク文化の墓と縄文時代早期の石刃鏃(せきじんぞく)の調査成果が注目されます。石刃鏃とは細長く打ちはがした石片をもとに作られた矢じりで、職人技とも言える精緻な技術で作られています。国内では約8000年前頃、ほぼ北海道だけで見つかる特殊な石器です。

 この本は一般の書籍ではないため販売等はされていません。市立図書館で閲覧いただけるほか、インターネット上(東京大学学術機関リポジトリ内)でも公開される予定です。

トコロチャシ跡遺跡群

石刃鏃
▲トコロチャシ跡遺跡の石刃鏃や一緒に出土した石器は今回新たに「遺跡の館」の展示に追加されました。
 石刃鏃は精緻な加工で作られており、また10cmを超すような細長い石片がいくつも見つかっていますが、こうした石片を割り取るには相当な熟練が必要です。縄文時代の石器作り名人の技を示す逸品といえます。

2015年8月号

遺跡見学
▲昨年度の遺跡見学の様子

 今年も8月下旬から9月上旬にかけて、教育委員会と東京大学の協力による遺跡の発掘調査が行われます。場所は森林公園近くにある、大島2遺跡という約900年前の遺跡です。当時の人が地面に穴を掘って建てた家・竪穴住居(たてあなじゅうきょ)の跡を発掘しています。

 これにともない、遺跡見学・発掘体験教室を開催します。普段見ることのできない遺跡の発掘の様子を体験できる年に1度の機会です。ご興味のある方はぜひお問い合わせください。参加できる人数に限りがありますので、下記までお申込みをお願いします。

○申込・問合せ: ところ埋蔵文化財センター  電話 0152-54-3167 (8月20日(木)申込締切)

○定員:申込み順に先着10名まで

○日時:平成27年8月22日(土) 午前10:00~12:00(雨天中止)

○集合:常呂町公民館前 午前10:00

○講師:熊木俊朗氏(東京大学准教授)

○対象:市民一般 (小学生以下の方は保護者の方と一緒にご参加ください)

○その他:汚れてもよい服装で参加してください。軍手・タオル・飲み物をご持参ください。詳細は申込時にお尋ね下さい。

2015年9月号

 遺跡の種類の1つに、貝塚と呼ばれるものがあります。貝塚とは簡単に言うと昔の人のごみ捨て場のことで、特に貝殻が多く捨てられていることからこう呼ばれています。

 北見市内にも貝塚があり、常呂川東岸の川東線道路沿いに「トコロ貝塚」という遺跡があります。今から約4500年前、縄文時代中期のもので、オホーツク地域では最大規模の貝塚として知られています。現地には案内板を設置しており、貝塚の様子を実際に見ることができます。最も多く見つかっているのはカキの貝殻ですが、中には現在北海道で採れないハマグリの貝殻もあり、当時の常呂が現在よりも温暖な環境であったことが分かります。

 遺跡の館ではこのたび、「トコロ貝塚」の展示コーナーを新設しました。貝塚で見つかった土器や石器、各種の貝殻、動物骨などをコンパクトにまとめて展示しています。

トコロ貝塚ハマグリ
トコロ貝塚に残る貝の層(左)、トコロ貝塚で見つかったハマグリ・ヤマトシジミの貝殻(右)

 

お問い合わせ

北見市教育委員会常呂教育事務所
ところ遺跡の森

〒093-0216
北海道北見市常呂町字栄浦376番地
電話:0152-54-3393
FAX:0152-54-3538