「ところ遺跡の森」便り【2018年10月号~2019年3月号】

2019年4月1日

 「ところ遺跡の森」便りは北見市常呂自治区内で市報に折込で配布されている社会教育情報内に毎号掲載しているものです。
 イベント案内をはじめ、考古・自然など「ところ遺跡の森」に関連する情報を毎月お届けしています。
 (毎月初め更新予定。ここに掲載したものは、写真・文章は当初掲載時のものから一部変更している場合があります。)

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2018年 10月号  大島2遺跡 4号住居の発掘

 今年も8月下旬から9月上旬にかけて、昨年に引き続き大島2遺跡(森林公園の近く)の4号住居の発掘調査が行われました。

 今年は4号竪穴住居で昨年検出したカマドや柱穴などの住居に伴う遺構と、炭化材(焼け落ちた住居の建築資材が蒸し焼きになり炭化したものなど)の記録を中心に行い、特にカマドではカマドの構造を知る上で貴重な発見がありました。

 下の写真はカマドの袖(そで)という土器を支えるかまくら状の部位の片側になりますが、右の赤く焼けた部分はカマドの内側つまり毎日火をおこしていた場所になります。よく見ると土器片のように形のしっかりした粘土が張り付いています。これはカマドの構築材というカマドを丈夫にするため内側に張り付けられた土製品様のものです。写真中央の黄色い部分は生焼け状の粘土です。赤くなっている部分も本来はこのような色をしていたのでしょう。そして写真の左側にある平たい石これはカマドの袖石(そでいし)と呼ばれるもので心材(骨組みのようなもの)としての役割があったと考えられています。

 このようにサンドイッチ状に内側から、構築材+粘土+平石というようにはっきりとした痕跡が残るカマドは少なく、貴重なデータが増えたといえるでしょう。

 今年度は悪天候により急遽「遺跡見学会」が中止となり楽しみにしていらっしゃった皆様にはご迷惑をお掛けし本当に申し訳ございません。

 今後も遺跡見学会は行っていきますので、ぜひ現地にて遺跡というのはどういったものか見てください。

カマド袖

 

2018年 11月号 東京大学常呂資料陳列館企画展のお知らせ

 東京大学常呂資料陳列館で第8回企画展「トコロ貝塚」が開催されます。

 トコロ貝塚は古くから先史時代の遺跡として知られていましたが今からちょうど60年前の1958年(昭和33年)に東京大学によって初めて本格的な調査が行われました。

 発掘調査ではトコロ14類土器(約9,000年前の土器)が縄文時代早期という北見市で最古の土器がみつかったほか、大陸に起源をもつ石刃鏃石器、貝層を挟んで異なる特徴をも

つトコロ5類土器(新)とトコロ6類土器(古)、マガキを主体とする貝塚から暖海性の貝であるハマグリ(現在の北限は岩手県位まで)が見つかったことから古環境の復元もさ

れました。

 現在でもトコロ貝塚には発掘調査を記念して遺跡の石碑と貝塚の貝層がみられるようになっています。

 本展示ではトコロ貝塚出土資料を中心に石刃鏃文化や北筒式土器について専門的な内容が多いですが詳しくご紹介しています。

 ○開催期間:平成30年11月5日(月)~12月24日(月)

 ○会場:東京大学常呂実習施設附属常呂資料陳列館・3階展示室

 ○開館時間:9:00~17:00

 ○入館料:無料

 ○お問い合わせ:東京大学常呂実習施設 電話0152-54-2387

 トコロ貝塚展示ポスター

 

2018年 12月号 炭になった資料について

 今年も残すところあとわずかとなりましたが、昨年より多くの来場者に来ていただき嬉しく思います。

 今日は展示案内の際に良く聞かれる質問として炭になった資料についてお話いたします。

 下の写真はご存知の方も多いと思いますが、オホーツク文化貼付文期(約1,100年前)のフクロウの彫刻です。これは元々木製の彫刻でしたが、火災に巻き込まれたことで炭になっています。単に炭化物といいますが、炭化したことで900年近く形を保ち続けています。植物などの有機物のままでは腐って分解されてしまいますが炭化することで無機物に限りなく近い状態になり長期間形を残します。無機物になれば腐って分解されることはありませんが炭化物が完全な形で出土することはまれで、写真のフクロウ彫刻も出土した時には下側部分は無く、どのような道具であったのかは不明です。また、炭化物になっても部分的に有機質があれば腐りますし、蒸し焼きではなく燃焼すれば灰になり、水に長期間触れていれば崩れて泥炭のようになります。出土後の保存処理を忘れてもバラバラに崩れていきます。

 石器や土器と違い派手さはありませんが貴重な資料のため博物館で炭化物を見る機会がありましたら、ぜひ注目してみてください。

フクロウ1フクロウ2

常呂川河口遺跡15号竪穴住居出土フクロウ彫刻付柄

 

2019年 1月号 トコロ貝塚とフグ

 昨年はトコロ貝塚が1958年(昭和33年)に東京大学によって初めて本格的な調査が行われて60年という節目を迎え、それを記念して昨年12月末まで東京大学の常呂資料陳列館では60年記念展示が行われました。見逃された方もいらっしゃるかと思いますが、トコロ貝塚の資料は東京大学常呂資料陳列館常設展示室(下写真)にも展示してあるのでご覧になってください。

 トコロ貝塚は約5千年前(縄文時代)の貝塚で道東では最大の貝塚と言われています。トコロ貝塚の発掘調査報告書を改めて読んでみると貝塚からマフグの歯板骨がいくつか見つかっています。現在でもよく見かけるマフグですが、もちろん部位によっては毒性があります。実際に千葉県の姥山貝塚遺跡(うばやまかいづかいせき)の発掘調査では縄文人5人分の骨が家の中でフグを囲んだ状態で見つかっています。九州でも縄文の遺跡からはフグの骨が見つかることから縄文時代の人は生死は判りませんがフグを食べていたのかもしれません。5千年前に常呂で暮らしていた縄文人も、もしかしたらフグの毒にあたっていたのかも知れません。

現在、トコロ貝塚は石碑と貝塚の貝層がみられるようになっています。

東京大学常呂資料陳列館

 

2019年 2月号 遺跡の森講演会のおしらせ

 来月2日土曜日に、ところ遺跡の森講演会「歴史再発見・常呂遺跡と竪穴住居-オホーツク地域の遺跡からみた北の古代文化-」(タイトル仮称)を行います。

 現代ではなじみのない竪穴住居での生活がどのようなものであったのかを、史跡常呂遺跡と同様の竪穴住居が665軒確認されている湧別町シブノツナイ竪穴住居跡で、湧別町教育委員会と共同調査を行った公益財団法人北海道埋蔵文化財センターの調査官である坂本尚史先生に近年の道指定史跡「シブノツナイ竪穴住居跡」の調査成果を中心にお話しいただきます。

 ところ遺跡の森には復元した竪穴住居がありますので、ご興味のある方は講演会前に一度本物の竪穴住居に入ってみてはいかがでしょうか(写真は秋に撮影したものですが園路は除雪しています)。

 

2019年 3号 遺跡の森講演会のおしらせ その2

 3月2日土曜日に、ところ遺跡の森講演会「歴史再発見・常呂遺跡と竪穴住居-オホーツク地域の遺跡からみた北の古代文化-」を行います。

 2月に引き続き講演会に関係する竪穴住居のお話しをます。

 北海道教育委員会による『北海道の竪穴群の概要』によると、「北海道の東部では、先史時代の竪穴住居跡が埋まりきらずに地表面に窪みの状態として確認することができる遺跡(以下、竪穴群と略称する)が多く見つかっている。この中には、数百箇所から2,000箇所もの竪穴が密集して分布する大規模な竪穴群も存在する。」とあり、大規模な竪穴群とは日本国内において最大規模の竪穴群である常呂遺跡と標津遺跡群を指しています。

 常呂遺跡と標津遺跡群は共同で日本の世界遺産暫定一覧表に記載するよう申請しましたが、記載には至らず記載の候補として評価されました。

 評価としては「北海道の寒冷気候のために独特の可視的な遺存状況を示す考古学的遺跡であり、7,000年にわたる人類と自然との調和の過程を示す考古学的遺跡として、価値は高い」ということで、竪穴の窪みと周囲の自然を含めた状態が考古学的遺跡として価値があるということになります。

 同様の景観は道東のオホーツク海沿岸地域でちらほらとみられ、今回講演していただく坂本尚史先生が昨年調査した湧別町シブノツナイ竪穴住居跡もその1つです。坂本尚史先生には近年の道指定史跡「シブノツナイ竪穴住居跡」の調査成果を中心にお話しいただきます。

*今年の講演会は終了いたしました。

 

 

お問い合わせ

北見市教育委員会社会教育部
ところ遺跡の森

〒093-0216
北海道北見市常呂町字栄浦371番地
電話:0152-54-3393
FAX:0152-54-3538