「ところ遺跡の森」便り

2020年6月1日

 「ところ遺跡の森」便りは北見市常呂自治区内で『広報きたみ』に折込で配布されている社会教育情報内に毎号掲載しているものです。
 イベント案内をはじめ、考古・自然など「ところ遺跡の森」に関連する情報を毎月お届けしています。
 (毎月初め更新予定。ここに掲載したものは、写真・文章は当初掲載時のものから一部変更している場合があります。)

2020年 6月号 遺跡の森デジタルミュージアム(簡易版)のお知らせ

 遺跡の森では5月16日から施設の休館や利用自粛が解除されました。屋内施設の利用にあたっては当面、感染症対策として利用者カードの記入や手指の消毒など、ご協力をお願いしているところです。例年であれば入場者が増える時期ですが、当分は人の入りは少なそうです。

 雰囲気だけでも遺跡の森を体験してもらえるよう、遺跡の森のホームページ上で「デジタルミュージアム(簡易版)」を公開し、収蔵資料や遺跡を写真で紹介しています。

  内容について少しお話ししますと、「遺跡の森土器コレクション」では収蔵している土器の一部を時代別に紹介しています。 また、Googleストリートビュー上に写真を公開し、パソコン画面上で遺跡の森の散策を行えるようにしました。しかし、本来設定できないはずの一方通行になる個所が発生するなど不具合があり、意図せず迷路のようになってしまいました。少しずつ修正して、ひとまず擦文(さつもん)の村から続縄文(ぞくじょうもん)の村まで復元竪穴住居を回れるかたちになっていますので、お時間のある方は試してみてください。

 そして、機会がありましたら是非とも現地で、実物を見に来ていただければと思います。

 

2020年 4月号 サロマ湖の旧湖口

 先月は暖かい日もあったことから、急な雪解けであちこちの川が増水していました。釧路川流域では洪水のおそれが出たため避難指示が出たところもあったようです。

 春先の増水は、昔の人にとっても無縁ではありませんでした。現在、サロマ湖は人工的に切り開いた2か所の湖口で海とつながっています。しかし、かつてはサロマ湖の東端付近、鐺沸〔とうふつ、鐺は金へんに当という字でも表記されます〕地区(常呂町字栄浦)で海とつながっていました。サロマ湖は細長い砂州で海と区切られていますが、昔は鐺沸付近に砂州の切れ目があり、海への出口となっていたのです。「鐺沸」という地名も「湖の口」を意味するアイヌ語地名「トー・プッ」に由来します。

 現在の人工湖口(第二湖口)は海流で砂がたまってしまうため、繰り返し掘って維持されています。昔の湖口も同じように、冬に埋まって水が流れ出なくなるため、放っておくとサロマ湖の周囲に水があふれてしまったそうです。このため、かつてこの付近に住んでいたアイヌの人々は、毎年春先に湖口を掘り起こして水が流れるようにしていたという話が伝わっています。

 人工湖口ができると水の流れが変わってしまったため、本来の湖口はすっかりふさがってしまいました。湖口のあった場所は今では高さ数メートルの砂州になっており、かつての面影はありません。旧湖口の場所を示す石碑と鐺沸という地名だけがその名残となっています。

旧サロマ湖口石碑
▲「旧サロマ湖口」の石碑。鐺沸の集落から湖をはさんで対岸の砂州に立てられています。

2020年 5月号 常呂の遺跡についての読み物

 新型コロナウィルス感染症拡大防止のため、ところ遺跡の森の施設も5月6日まで臨時休館することとなりました。そこで今回は常呂の遺跡について書かれた本を少し紹介してみたいと思います。

 考古学は昔のことを調べる学問の1つです。「昔のこと」を書いているのだから古い本でも内容は変わらない、という誤解をされることがときどきあります。しかし、新しい研究法や発掘調査で新発見が積み重ねられていますので、さしあたって読むのにお薦めできるのは新しい研究成果が反映された本です。

 常呂の遺跡に関して書かれた最新の本としては昨年刊行された『新北見市史 上巻』があります。常呂だけでなく北見市全体を扱った内容ですが、縄文時代からアイヌ文化にかけては常呂の遺跡が大きく扱われています。

 また、少し古い本ですが、東京大学総合研究博物館特別展図録『北の異界―古代オホーツクと氷民文化』(2002年)は、常呂で発見されたオホーツク文化の遺跡を中心に扱った本です。専門的な部分もありますが、写真も多いので見て楽しめます。図書館でも借りられますが、東京大学総合研究博物館のウェブサイトで読むこともできます。

 本ではありませんが、この「ところ遺跡の森」のウェブサイトでも随時記事を更新していく予定ですので、機会がありましたらご覧ください。

新北見市史
▲『新北見市史 上巻』(左)と『北の異界―古代オホーツクと氷民文化』。『新北見市史』にはCD-ROM版もあります。

 

 

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ところ遺跡の森

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