市政執行方針(令和4年2月)

市長写真

1.はじめに

 令和4年第1回定例北見市議会の開会に当たり、新年度の市政執行に対する私の所信を申し上げます。

 早いもので、令和の新たな時代も4年目を迎え、本年は、私の2期目の任期の折り返しとなります。
 私は、新型コロナウイルスの感染者が市内で初めて確認された一昨年2月から、2期目の任期の大半を新型コロナウイルスと向き合い、市民の命と生活を守ることを最優先に取り組んでまいりました。
 コロナ禍という国難ともいうべき事態に直面しつつも、市政を前進することができましたのも、ひとえに市民の皆さま、議員の皆さまのご理解とご協力の賜物と心から感謝申し上げます。

 現在、急激なオミクロン株の感染拡大に直面し、本市を含む北海道全域にもまん延防止等重点措置が適用されるなど、感染症との闘いの出口は未だ見通せない状況にあります。
 こうした中、本市では、医療従事者や高齢者の皆さまはもとより、64歳以下の市民の皆さまにつきましても、当初の予定を前倒し、3回目のワクチン接種を開始したところであり、引き続き、追加接種の迅速かつ確実な推進に全力を尽くしてまいります。
 私は、長引くこのコロナ禍にあっても、子どもたちがスポーツ少年団や学校の部活動などで元気いっぱいに活躍する姿を拝見し、このふるさと北見に今必要なものは、市民の皆さまお一人おひとりの笑顔であると改めて実感したところであります。
 昨年来、北見のまちにとって誇らしく、うれしい出来事が続いています。
 昨年3月には、きたみらい玉葱振興会の皆さまが、生産量全国一を誇る北見たまねぎの品質向上の取組など、これまで積み重ねられた努力が実を結び、第50回日本農業賞大賞の受賞、さらに、11月には第60回農林水産祭天皇杯の受賞という快挙を成し遂げられました。
 また、連日、熱戦が展開されている北京冬季オリンピックにおいては、前回の平昌大会に続き、本市のロコ・ソラーレがカーリング女子日本代表として出場しており、プレッシャーを成長の糧に、確実に夢を実現してきた彼女たちにエールを送るとともに、喜びと感動を皆さまと分かち合いたいと思います。

 私は、このコロナ禍の荒波にあっても、皆さまと北見の魅力や強みを活かし、うれしいこと、誇らしいこと、楽しいこと、そして笑顔になることを一つひとつ創り出していくとともに、誰もが今の暮らしだけでなく、未来に希望をもって、笑顔で暮らせるまちづくりを進めることが、私の責務であるとの思いを強くしているところであります。

2.市政運営の基本姿勢

 次に、新年度の市政運営の基本的な考え方について申し上げます。
 
 新型コロナウイルス感染症への対応は、今なお、最優先で取り組まなくてはならない喫緊の課題であると同時に、そうした中にあっても、新たな社会変革の波や気候変動への対応もまた待ったなしの大きな課題であります。
 人口減少・少子高齢化社会にあって、本市が活力ある地域社会を維持していくためには、直面する課題に迅速かつ的確に対応していく必要があります。
 そのために、私自身がその先頭に立ってリーダーシップを発揮し、SDGsの理念のもと、誰もが住みやすい、持続可能な地域社会の実現を目指してまいります。

 コロナ禍は、社会のあらゆる分野において、デジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXの気運を高め、本市が先んじて推進してきたテレワークなどの急速な普及をもたらしております。
 昨年12月、牧島かれんデジタル大臣が本市の「書かない窓口」の取組を視察され、職員がこれまで積み重ねてきた窓口業務の見直しをデジタル技術によりシステム化したこの取組について、「全国に広げていきたい」とのうれしいお言葉をいただきました。
 本市においても、市民の皆さまに、よりスピーディーで利便性の高い行政サービスを提供するため、この「書かない窓口」の取組を足がかりに、電子申請やオンライン相談、キャッシュレス決済導入の検討、行政手続のデジタル化を加速させ、デジタルファーストな自治体DXを推進してまいります。

 また、私は、ふるさと北見の恵まれた自然環境を後世にしっかりと引き継ぐため、「第2次北見市環境基本計画」に基づき、自然にやさしい持続可能なまちづくりのさらなる推進を図るとともに、本市における温室効果ガスの排出量と吸収量を2050年までに均衡させる、いわゆる2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、ゼロカーボンシティを目指すことをここに宣言いたします。
 今後は、この目標に向かって、市民の皆さま、事業者の皆さまのご協力をいただき、行政を含めたさまざまな主体が連携を図りながら、オール北見で地球温暖化対策に資する施策に取り組んでまいりたいと考えております。

 ただいま申し上げました基本的な考え方をはじめ、今般、「第2期北見市総合計画」前期基本計画に掲げる指標の達成に向け、具体的な施策を進める第4次実施計画を策定いたしました。
 限られた財源の中で、より高い効果が生み出せるよう、戦略的に事業を採択したところであり、新型コロナウイルス感染症対策に優先的に取り組む一方で、中長期的な視点に立ち、人口減少問題などの長年の課題や重要課題についても真摯に向き合い、総合計画に掲げる将来像「ひと・まち・自然きらめく オホーツク中核都市―未来を拓く活力創造都市 北見―」の実現に向けて、市政を一歩一歩着実に進めてまいります。

3.令和4年度の主要施策

 次に、「第2期北見市総合計画」の5つの基本目標に沿い、新年度の主要施策について申し上げます。

(1)健康で安心して暮らせるまちづくり

 まず、健康・福祉分野においては、「健康で安心して暮らせるまちづくり」を進めてまいります。

 1点目は、「希望あふれる子育て支援の充実」であります。

(子育て支援の充実)
 北見の未来を担う子どもたちの育ちを社会全体で支えるため、子育て世代の実情やニーズに応じて、妊娠から出産、子育てまでの切れ目ない支援を行うことにより、子どもを産み育てやすい環境づくりを一層推進してまいります。
 新年度においては、平成28年に開設し、これまで多くの皆さまにご利用いただいている屋内子ども遊戯場・パラきたKidsについて、子どもたちが何度も訪れたくなる、より魅力的でにぎわいを生み出す空間として、令和5年4月の移転リニューアルオープンを目指し、まちきた大通ビル6階での整備を進めてまいります。

(児童福祉と幼児教育の充実)
 次に、児童福祉と幼児教育については、保育士の業務負担を軽減するため、公立・私立を問わず、保育業務を支援する保育補助者や保育支援者の配置を進め、必要な人材を確保するとともに、保育体制の強化を図ってまいります。
 また、子育て世代の多様なニーズにあわせて、0歳児保育や一時預かり、病児保育など必要なサービスを利用できる環境を確保してまいります。
 そのほか、より安全で快適な教育・保育環境を整えるため、園舎の改築を進めているとん田保育園を本年12月に供用開始いたします。

(青少年の健全育成活動の推進)
 次に、青少年の健全な育成に向けては、国のGIGAスクール構想により、児童1人に1台ずつ整備したタブレット端末の家庭への持ち帰りが本格的に始まることにあわせ、新たに全ての市立児童館・フレンドセンターに無線LAN環境を整備し、放課後児童クラブにおける学習環境の充実を図ってまいります。

 2点目は、「健康に暮らせる保健・医療の充実」であります。

(健康づくり推進体制の充実)
 市民の生涯を通じた健康づくりを推進する新たな拠点として、独立した健診会場や調理実習室のほか健康増進に活用できるウォーキングコースなどを備えた保健センターについて、令和5年10月の供用開始を目指し、まちきた大通ビル4階での整備を進めてまいります。

(自ら取り組む健康づくりの促進)
 次に、健康づくりの促進に向けては、がん検診の受診など、市民自らの健康づくり活動にインセンティブを提供する「健康づくりポイント」の令和5年度からの導入に向け、制度設計に着手するなど、市民のさらなる健康寿命の延伸を目指してまいります。

(地域医療の充実)
 次に、休日・夜間における一次医療を担う休日夜間急病センターについては、老朽化が著しいことから、中央大通沿道地区第一種市街地再開発事業の施行区域への移転整備に向け、北見医師会など関係機関と連携し、利用者の視点に立った施設整備のあり方に関する検討を進めてまいります。
 また、今般の新型コロナウイルス感染症への対応の経験も踏まえ、将来にわたり市民が安心して医療を受けられる地域医療体制の確保に必要な財政措置が講じられるよう、北海道市長会などでの活動を通じて、国や道に強く働きかけてまいります。

 3点目は、「支えあう福祉の推進」であります。

(地域福祉活動の促進)
 高齢者及び障がいのある方が住み慣れた地域で自分らしく安心して暮らすことができる社会の実現に向けて、成年後見制度を活用していただく体制を強化するとともに、本市と北見地域定住自立圏を形成する訓子府町及び置戸町と連携し、新年度から権利擁護支援の地域連携ネットワークの中核機関として、成年後見中核センターの運営を開始し、高齢者及び障がいのある方の権利を守り、生活を圏域で支える体制を整えてまいります。
 また、生活保護に至る可能性のある生活に困窮する方への既存の支援に加え、住まいに困窮する方を支援する特定非営利活動法人等に対し、市営住宅空き住戸の貸与を可能とするなど、セーフティネットの充実を図ってまいります。

(高齢者福祉の充実)
 次に、高齢者福祉については、要介護者が住み慣れた地域で介護サービスを受けられるよう、新たな認知症高齢者グループホームの施設整備に助成いたします。
 また、「第9期北見市高齢者保健福祉計画及び北見市介護保険事業計画」策定に向けて、必要なサービスのニーズを把握するための市民アンケートなどを行ってまいります。

(障がい者福祉の充実)
 次に、障がい者福祉については、手話言語条例の普及啓発に加え、市役所窓口に筆談機を配置するとともに、(仮称)コミュニケーション支援条例の制定に向けた取組を進めるなど、障がいのある方のコミュニケーション支援を充実してまいります。
 また、経済的な負担を軽減するため、ストマ用品の購入に係る助成を拡充するとともに、重度障がいのある自営業者への通勤等支援を開始いたします。

(2)豊かな心と文化を育むまちづくり

 2つ目の教育・文化分野においては、「豊かな心と文化を育むまちづくり」を進めてまいります。

 1点目は、「豊かな心を育む教育の推進」であります。

(学校教育の充実)
 学校教育については、国のGIGAスクール構想によって児童生徒1人に1台ずつ整備したタブレット端末の家庭への持ち帰りを新年度から本格的に開始し、充実したICT機器を学校のみならず家庭学習等にも活用することで、未来を担う子どもたちに必要とされる資質や能力の向上を図ってまいります。
 さらに、学校司書の増員を行うなど、子どもたちの教育環境を一層充実してまいります。
 また、子どもたちが日常の学校生活を送る場となる校舎等の長寿命化改修や非構造部材の耐震化を計画的に進め、安全で快適な学校環境を整えてまいります。

(地域との連携による教育の推進)
 次に、地域との連携による教育については、学校・家庭・地域が連携し、全ての市立学校に導入したコミュニティ・スクールを中心に、地域とともにある学校づくりをさらに進めてまいります。
 また、市立学校において、ふるさと北見を愛する心を育むため、地域資源を活かした自然体験やカーリングなどの授業を行い、ふるさと教育の取組を一層推進してまいります。

(高校・大学等教育の充実)
 次に、高校・大学等教育については、経済的理由により修学困難な生徒及び学生に対する奨学金や入学準備金貸付などを継続するほか、本市に所在する北見工業大学及び日本赤十字北海道看護大学をはじめとする高等教育機関が持つ研究成果を地方創生に活かすため、連携を強めてまいります。

 2点目は、「ともに学びあう生涯学習の推進」であります。

(生涯学習の充実)
 生涯学習の拠点である公民館については、改築を進めてきた西地区公民館を本年4月に供用開始いたします。
 また、地域の知の拠点である図書館については、子どもの読書意欲を高めるため、「第4次北見市子どもの読書活動推進計画」を策定するほか、新たな端野図書館のあるべき姿を基本構想として取りまとめてまいります。
 そのほか、老朽化が進んだ社会教育施設の維持管理や更新に係るトータルコストの縮減や平準化を図り、施設の機能・性能を確保するため、新たに社会教育施設の長寿命化計画を策定いたします。

(生涯スポーツの推進)
 次に、生涯スポーツについては、各種スポーツ教室の充実など市民の皆さまがスポーツに親しむきっかけを創出するとともに、本市の地域資源であるカーリングを核としたスポーツによる地方創生、いわゆるスポーツ・健康まちづくりの取組を一層推進してまいります。

 3点目は、「地域文化を育む文化活動の推進」であります。

(芸術・文化活動の振興)
 市民ホールや公民館における音楽や演劇等の公演のほか、北網圏北見文化センターにおける美術企画展など、市民の皆さまの心に感動や安らぎをもたらす質の高い芸術・文化の鑑賞機会を提供してまいります。

(文化財の保護・継承)
 文化財の保護・継承については、令和5年度の供用開始を目指して、史跡常呂遺跡におけるトコロチャシ跡遺跡群の整備を進めるほか、北海道指定天然記念物である温根湯エゾムラサキツツジ群落など貴重な文化財の保存に取り組み、まちづくりや観光などの分野とも連携した活用を進めてまいります。

(地域間・国際理解の推進)
 本年は、ロシアのポロナイスク市との友好都市提携50周年記念事業のほか、昨年、延期といたしました高知市との姉妹都市提携35周年記念式典をはじめ国内外の姉妹友好都市などとの多様な交流を通じ、今後一層の友好関係を築いてまいります。
 また、本市と近隣4町で形成する北見地域定住自立圏の活性化については、既存の枠組みにとらわれることなく、柔軟でスピード感を持った連携を図るため、今後も中心市としての役割をしっかりと果たしてまいります。

(3)にぎわいと活力あふれるまちづくり

 3つ目の産業・観光分野においては、「にぎわいと活力あふれるまちづくり」を進めてまいります。

 1点目は、「魅力と活力ある産業振興」であります。
 
 全国一の生産量を誇るたまねぎをはじめ、小麦、ばれいしょ、てん菜などに代表される農業はもとより、ホタテ、サケなどの水産業は本市の強みであります。
 SDGsやカーボンニュートラルの実現に向けて、本市の農林水産業においても、その強みを活かし、国の「みどりの食料システム戦略」等を踏まえつつ、持続的な発展を目指した取組を進めてまいります。

(持続的に発展する農業の振興)
 まず、本市の基幹産業である農業については、農産物及び酪農・畜産の生産力向上と持続性の両立に向け、「第4次北見市農業振興計画」を策定いたします。
 さらに、化学肥料・化学合成農薬の使用を低減するクリーン農業やICT等を活用したスマート農業の推進、計画的な土地改良事業によるほ場の大区画化や排水改良など、生産性向上に取り組んでまいります。
 また、農業者の高齢化などを踏まえ、新規就農者等の担い手への支援を拡充してまいります。

(豊かな林業の推進)
 林業については、伐って、使って、植えて、育てるという森林資源の適正管理と循環利用を進めるとともに、市有林における温室効果ガス吸収量のクレジット化などカーボンニュートラルに資する取組の促進により、持続的な林業の推進を図ってまいります。

(活力に満ちた水産業の推進)
 水産業については、道が進める水産物供給基盤機能保全事業基本計画に基づき、常呂漁港、栄浦漁港及び第2サロマ湖漁場の機能保全を図るほか、近年、オホーツク管内におけるケガニの資源が急激に減少していることから、道や漁業団体などとともに栽培漁業に向けた基礎研究に取り組んでまいります。

(地域に根づいた工業の振興)
 次に、工業については、テレワークという新たな働き方が定着しつつある今、アフターコロナを見据えた地方への「転職なき移住」を都市部に強く発信し、テレワークを軸とした企業及び人材の誘致・集積を図ってまいります。
 さらに、デジタル技術を活用した地域産業の高度化を図るため、進出企業と地元企業とのマッチングによるICT産業創出に取り組むほか、北見工業大学との連携による地域のイノベーション創出に向けた取組を進めてまいります。

(活気ある商業活動の促進)
 商業については、中心市街地の拠点施設であるまちきた大通ビルを計画的に改修してまいります。
 また、経済団体などと組織する北見市中心市街地活性化協議会と連携し、昨年1月の市役所新庁舎開庁により生まれた新たな人の流れが将来にわたって周辺の商店街や商業施設にも広がるよう、まちのにぎわい創出につながる取組を進めてまいります。
 さらに、商工会議所や商工会などと連携し、消費拡大につながる地域イベントなどの取組に支援するなど、地域経済の持続性を高めてまいります。

(地域経済を支える中小企業の振興)
 長引くコロナ禍は、飲食や宿泊、観光業を中心に中小企業への影響を長期化させていることから、低利融資のあっせんや各種相談への対応など、国や道と連携し、引き続き、厳しい経営状況にある中小企業の事業継続を支援してまいります。
 さらに、この困難な時代にあっても、起業・創業に果敢に挑戦する皆さまを応援するため、開業前の創業促進に係るこれまでの助成に加え、販路拡大のための経費を新たに助成対象とし、取組のさらなる強化を図ってまいります。

 2点目は、「にぎわいと交流の観光振興」であります。

(着地型観光の推進)
 ウィズコロナ、アフターコロナといった新しい時代における着地型観光を戦略的に推進するため、新たな「北見市観光推進プロジェクト」の策定に着手いたします。
 また、山の水族館のリニューアル10周年やきたみ菊まつりの70周年を記念するイベントを開催するとともに、北見の魅力を市内外に積極的に発信し、観光客誘致に取り組んでまいります。
 このほか、観光PRにとどまらず、自然と都市機能の調和といった本市の優位性を市内外へ広く発信するシティ・プロモーションを継続し、交流人口、関係人口、定住人口の拡大に向けた取組を進めてまいります。

(インバウンド対応の推進)
 さらに、インバウンドについては、世界的なイベントであるアドベンチャー・トラベル・ワールド・サミットが令和5年に北海道で開催されることを絶好の契機と捉え、本市の観光資源を広く国内外に発信するとともに、広域で取り組むサイクルアドベンチャーと集客につながる多様なコンテンツとの相乗効果を図りながら、ウィズコロナ、アフターコロナにおける誘客を促進してまいります。

 3点目は、「創造性あふれる雇用環境の充実」であります。

(人材の定着・確保と雇用の促進)
 地元企業の雇用につながる若者の地元定着を促進し、若者就活応援センターのウェブサイトによる情報提供やインターンシップなどを推進するとともに、道と連携し、東京圏からのUJIターンによる就業・起業者及びテレワーク移住者に対する交付金を支給するなど、産業人材を確保し、地域のニーズとのマッチングを行ってまいります。

(多様な就労環境の創出)
 本年4月には、本市がこれまで取り組んできたふるさとテレワークの拠点であるサテライトオフィス北見に簡易宿泊機能が加わりリニューアルされます。
 今後は、この施設も活用しながら、ふるさとテレワークのみならず、本市と自然豊かなオホーツクの魅力を活かしたワーケーションを一層推進するなど、社会の大きな変化を捉え、都市部から地方への人の流れを加速させてまいります。

(4)自然と調和する安全な住みよいまちづくり

 4つ目の環境・生活基盤分野においては、「自然と調和する安全な住みよいまちづくり」を進めてまいります。

 1点目は、「豊かな自然環境の保全」であります。

(自然共生と緑豊かな環境の創出)
 自然とふれあえる生活環境を整えるため、100年を超える歴史を持つ野付牛公園の再整備に向けた基本設計を進めてまいります。
 また、動画共有サイトを活用した配信をはじめとする環境保全に関する啓発活動など、環境分野におけるSDGsの取組を引き続き推進してまいります。

(地球環境に配慮した低炭素型・循環型社会の構築)
 次に、脱炭素社会の構築に向けては、先ほど申し上げましたとおり、本市における温室効果ガスの排出量と吸収量を2050年までに均衡させるゼロカーボンシティの実現に向けて、事業者の皆さまのご協力もいただきながら、新たに「北見市地球温暖化防止実行計画(区域施策編)」を策定するほか、電動自動車の導入や照明のLED化など、温室効果ガスの排出量削減につながる取組を進めてまいります。
 次に、循環型社会の構築に向けては、食品ロス削減のための啓発活動を推進するほか、廃棄物処理場におけるリサイクルプラザの老朽化に対応するとともに、将来にわたるトータルコストを縮減させるため、基幹的整備の実施設計を行い、計画的に廃棄物の安定した処理体制を整えてまいります。
 また、本市と北見地域定住自立圏を形成する津別町、訓子府町及び置戸町と連携し、3町のスプレー缶を廃棄物処理場で受け入れる広域処理を行ってまいります。

 2点目は、「快適な生活空間の充実」であります。

(機能的な都市空間の創出)
 都市空間の創出としては、「北見市都市再生基本構想」における2拠点1軸の1軸として、民間事業者が計画している中央大通沿道地区の第一種市街地再開発事業について、昨年12月に都市計画審議会でご議論いただいたところであります。
 本年5月の都市計画決定、そして、令和5年度の着工に向け、引き続き、道などの関係機関と必要な協議を進めるとともに、円滑な事業遂行のための支援を行ってまいります。
 さらに、コンパクトなまちづくりの実現に向け、新たに「北見市立地適正化計画」の策定に着手いたします。

(道路網の充実)
 道路網の充実に向けては、悲願であった端野高野道路が着工されるなど、これまでの各期成会などの活動を通じた高規格道路網等の整備促進の取組が実を結びつつあります。
 引き続き、北海道横断自動車道及び遠軽北見道路について、事業中区間の整備促進と未事業化区間の早期着手を国や道に強く働きかけてまいります。
 また、交通の利便性や安全性のさらなる向上のため、緊急性や必要性を勘案しながら市道の整備を順次進めるとともに、除雪事業者へ貸し出す除雪車両の増車や除雪グレーダなどの計画的更新により、冬期間における安定した除雪体制を確保してまいります。

(公共交通の確保)
 次に、公共交通の確保に向けては、JR石北本線の維持存続問題について、新型コロナウイルス感染症による影響にも留意しながら、オホーツク圏活性化期成会石北本線部会や市独自の利用促進活動など、地域の関係者とJR北海道が一体となり、持続的な鉄道網の確立に向け、第2期アクションプランの取組を進めてまいります。
 また、「北見市地域公共交通網形成計画」に基づき、地域の生活拠点と連携した交通結節点における利用しやすい公共交通環境などを整えてまいります。

(良質な住宅・住環境の形成)
 良質な住環境の形成に向けては、住宅の省エネルギー化やバリアフリー化に係る改修費の助成を継続するほか、管理不全な空家等の除却費助成の範囲を拡大するなど、計画的な空家等対策を進めてまいります。
 また、市営住宅については、北見自治区の高栄団地、端野自治区の親交団地、常呂自治区の北進町団地、留辺蘂自治区の公園団地の建替に加え、新たに北見自治区の若葉団地の建替に着手するなど、安全で良質な住環境を整えてまいります。

(水道水の安定供給と下水処理の確保)
 次に、上下水道事業については、日々の生活に欠かせないライフラインである水道水の安定的な供給と下水処理による衛生的な住環境維持及び公共用水域の水質保全を図るため、中長期的な視点から、アセットマネジメントの手法による計画的な施設更新を進めてまいります。

 3点目は、「地域の安全安心の確保」であります。

(防災の強化)
 近年、気候変動により災害が頻発化しており、過去の災害から得た経験と教訓やコロナ禍における災害への対応を踏まえ、市民の皆さまが安全で安心して暮らせるまちづくりを推進していかなければなりません。
 まず、災害による被害を防止・軽減するため、災害ハザードマップと防災のしおりについて、内容を充実し、より分かりやすく、見やすいものへと更新を進めてまいります。
 また、引き続き、食料や発電機などの災害用備蓄品を充実するとともに、本庁舎と各総合支所に緊急支援物資を運搬するための車両を新たに配置いたします。
 さらに、大規模災害発生時に処理すべき応急対策業務などを具体的に定めた「北見市地域防災計画」の関連計画を策定いたします。
 そのほか、暴風雪や豪雪災害発生時の除雪活動等の拠点である道路維持センターの整備を引き続き進めてまいります。

(地域の安全の確保)
 次に、地域の安全の確保については、交通安全の確保に向けて、街路樹の適正管理を行うほか、市民の皆さまに安心して公共施設をご利用いただけるよう、AEDを計画的に更新してまいります。
 また、消防車両や消防水利施設の計画的な更新のほか、より精度の高い心電図解析が可能となるベッドサイドモニターの救急車両への搭載を進めるなど、消防・救急救命体制の充実を図ってまいります。

(消費者保護の充実)
 次に、悪質商法や特殊詐欺については、コロナ禍に便乗したものなど、その手口がますます多様化、巧妙化しております。
 身近な窓口である消費生活センターにおける相談体制を充実し、被害の未然防止に努めてまいります。 

(5)市民による自主自立のまちづくり

 最後に5つ目の地域・自治分野においては、「市民による自主自立のまちづくり」を進めてまいります。

 1点目は、「市民主体の住民自治の推進」であります。

(市政への市民参画促進)
 市政への市民参画については、「市長への手紙」をはじめ、さまざまな広聴手段によりニーズを把握するとともに、「広報きたみ」や各種SNSを活用し、市政情報を公開することにより、課題を共有してまいります。
また、審議会委員の公募やパブリックコメントなど、政策の意思決定過程において参画できる機会を創出し、市民の皆さまとともにまちづくりを推進してまいります。

(住民自治の推進)
 次に、市民主体の協働のまちづくりに向けては、町内会への加入促進に取り組むとともに、住民自治推進交付金制度を通じ、地域コミュニティの活性化を図ってまいります。
 また、地域の拠点施設として、常呂自治区の日吉地区複合施設建築工事に着手するほか、まちづくりパワー支援補助金により、市民が自ら考え、自ら実践する自主的なまちづくり活動を支援してまいります。

 2点目は、「互いに尊重する地域社会の形成」であります。

(多様性を認めあう社会の実現)
 誰もが性別に関わりなく個性と能力を十分に発揮し活躍できる社会を実現するため、コロナ禍において不安等を抱える女性が社会とのつながりを回復し、地域社会で活躍できるよう相談支援や女性用品の提供といった取組を一層推進してまいります。

(人権尊重のまちづくり)
 また、多様な性のあり方や人権が尊重される社会を目指し、本年4月からLGBTQなど性的マイノリティの方々を対象とした「パートナーシップ宣誓制度」を導入し、制度の趣旨について周知を図るとともに、6月から宣誓書の受領を開始いたします。

 3点目は、「効率的な地域経営の推進」であります。

(行政運営の効率化・適正化)
 多様化・複雑化する市民ニーズに対応し、暮らしやすさを高めるためには、限られた地域の経営資源を最大限に活用することが必要であります。
 そのために、新たに全庁的な業務内容や課題を視覚化し、そのプロセス等を見直す調査に着手するほか、公共施設配置の最適化など、行財政改革の取組を一層推進してまいります。
 また、自主財源の確保に向けては、ふるさと納税の返礼品を通して寄附者に本市の魅力を伝え、リピーターのさらなる増加につなげるとともに、企業版ふるさと納税制度についても活用を進めるなど、より効率的・効果的な行政運営に向けて着実な取組を進めてまいります。

(行政サービスの向上)
 また、市民の皆さまの利便性向上を図るため、行政サービスのデジタル化の一環として、本年5月から、水道料金及び下水道使用料等のスマートフォン用アプリ決済を導入いたします。
 さらに、マイナンバーカードについて、利便性の周知や商業施設の臨時窓口開設など、カードのさらなる交付率向上の取組を進め、将来を見据えた行政サービス向上に努めてまいります。

4.むすび

 以上、令和4年度の市政運営の基本的な考え方と主要施策について申し上げました。

 「小事も、積んでは大事となる。」という言葉があります。
努力の積み重ねが力になる、という意味が込められたこの言葉は、日本の資本主義の父と称され、再来年から新しい一万円札の顔となる渋沢栄一が著書「論語と算盤」で記したものです。

 新型コロナウイルス感染症が、今なお、本市に大きな影響を与えている中、人口減少社会の到来、気候変動や激甚化する自然災害、大きな社会変革などに対応し、本市の未来を切り拓いていくためには、多くの困難を乗り越えていかなければなりません。
 そのために、今できる最善の努力を重ね、一歩一歩、丁寧かつ確実に課題を克服していくことが、ふるさと北見の新たな局面を拓く挑戦となり、私は、全身全霊でこの挑戦に臨んでまいります。

 市民の皆さま、議員の皆さまのご支援とご協力を引き続き賜りますよう、心からお願い申し上げ、新年度の市政執行方針といたします。

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