「ところ遺跡の森」便り【2022年4月~2022年9月】

 「ところ遺跡の森」便りは北見市常呂自治区内で『広報きたみ』に折込で配布されている社会教育情報内に毎号掲載しているものです。
 イベント案内をはじめ、考古・自然など「ところ遺跡の森」に関連する情報を毎月お届けしています。
 (毎月初め更新予定。ここに掲載したものは、写真・文章は当初掲載時のものから一部変更している場合があります。)

以前の記事は以下のリンクからご覧ください。

2022年9月号 北見市内のチャシ跡

 北見市周辺のチャシ跡について、昨年9月と今年5月のこのコーナーで採り上げてきましたが、今回は北見市内のチャシ跡についてご紹介します。市内では、トコロチャシ跡以外にも2か所のチャシ跡が知られています。
 1つは相内チャシ(北見市豊田)です。場所は無加川南岸の山林内で、現地へ行くのは難しい位置にありますが、崖に面して空堀で半円形に区画した構造になっています。発掘調査では鎧の断片や、投石用に蓄えられたと考えられる丸い小石などが発見されました。出土品の一部は北網圏北見文化センターで展示されています。

相内チャシ跡の測量図
相内チャシ跡の測量図(灰色の部分が空堀:『北見市史』上巻より)
断面V字状に掘られた空堀の跡の写真
相内チャシに残る空堀の跡

 もう1つは協和20遺跡(端野町協和)です。遺跡のそばを常呂川の支流チャシポコマナイ川が流れていますが、この川の名はアイヌ語で「チャシの下にある川」という意味とされています。ただし、明治時代の鉄道建設工事で壊されてしまったともいわれており、発掘調査でもチャシ跡である証拠は見つかっていません。
 なお、ところ遺跡の森の中にもチャシ跡ではないかとされる場所がありますが、こちらも発掘調査では明確な証拠は得られていません。
 現在整備を進めているトコロチャシ跡は、遺跡の保存状態がよく、現地にアクセスもしやすい貴重な遺跡となっています。

2022年8月号 「遺跡見学会」のお知らせ

「遺跡見学会」は申し込みが定員に達したため、参加募集を締め切りました。

 例年8月に開催している「遺跡見学会」を8月27日(土)に実施します。最近2年は中止となったため、3年ぶりの開催となります。ぜひご参加ください。
 今回は、東京大学考古学研究室が実施中の大島2遺跡の発掘現場と、現在整備工事中のトコロチャシ跡遺跡群(令和6年度公開予定)の2個所をめぐります。
 大島2遺跡では、東京大学の熊木俊朗教授より、発掘調査の状況について解説いただきます。また、工事中のため、通常非公開のトコロチャシ跡遺跡群も特別公開します。
 ご参加には事前の申し込みが必要です。以下の内容をご確認の上、電話にてお申し込みください。

〇日時:8月27日(土) 10:30~12:00
〇集合場所:常呂総合支所前
〇定員:10人(先着順)
〇申込:8月2日(火)より受付。(受付時間9:00~17:30、休館日は受付しません。)
 ところ遺跡の館 (0152)54-3393まで、お電話にて「遺跡見学会」参加希望とお伝えいただき、(1)見学会への参加者氏名と、(2)当日の連絡先(中止等の場合ご連絡します)をお知らせください。

 集合場所から会場までは車にてご案内します。歩きやすい靴・汚れてもよい服装で、虫よけ対策をしてご参加ください。
 荒天の場合は中止となります。中止の場合は当日9:00~9:30に電話連絡します。

 同日の13:00~16:00には、常呂町公民館1階にて「遺跡出土品展示会」も開催しますので、お気軽にお立ち寄りください。
 ※「遺跡見学会」ご参加の方は、展示会場も12:00までの見学コースに含まれています。

2022年7月号 続縄文時代人と化石

 常呂川の河口付近には、常呂川河口遺跡と呼ばれる遺跡があり、発掘調査で大昔の竪穴住居跡や墓が多数発見されています。この遺跡で発見された約2000年前(続縄文時代)の墓の1つから、写真のようなものが見つかりました。

巻貝の化石の写真

 巻貝の形をしていますが、実物は石でできています。実はこれは、巻貝の化石なのです。
 常呂川の東側には小高い丘が南北に連なっていますが、ここには「常呂層」と呼ばれる地層が堆積しています。これは、約2000万年前、地質学的には新第三紀中新世と呼ばれる時代に、海の底で堆積した地層です。長い年月をかけてせり上がって陸地になり、現在では海面よりはるかに高い位置になっているわけです。この「常呂層」、場所によっては二枚貝類や腹足類(巻貝の仲間)など、海の生物の化石を含んでいることがあります。例えば、北見市端野町・森と木の里付近や、網走市・卯原内ダム周辺には、そうした化石が産出する場所のあることが知られています。

常呂層の二枚貝化石の写真
常呂層から産出した二枚貝化石

 常呂川には、周辺から岩石が流れ込んでくるので、それに化石が混じっている場合もあります。最初に紹介した化石も、遺跡の近くに落ちていても不思議でないものです。このため、化石がたまたま墓に入ってしまったということもあり得ます。ですが、昔の人も気づいていれば「石でできた不思議な貝」として注目したことでしょう。宝物として墓に入れた、と想像してみたくなる資料です。

2022年6月号 「遺跡の森」に咲くスミレの仲間

 遺跡の森では、4月末から6月前半にかけて、多くの草花が見られます。今回はその中から、スミレの仲間を採り上げてみます。
 遺跡の森で見られるスミレの仲間にはスミレ、ミヤマスミレ、アイヌタチツボスミレ、アカネスミレ、オオバタチツボスミレ、オオタチツボスミレ、エゾノタチツボスミレ、ツボスミレなどがあります。この中から、5月末から6月初め頃に見られる代表的な4種類をご紹介します。

 オオタチツボスミレは径約2cmの紫色の花を付けます。丈が低く、大きくても20cm程度までですが、ひとかたまりに密集して咲いていることが多い種類です。見た目はアイヌタチツボスミレとよく似ていますが、アイヌタチツボスミレは開花時期が早く、5月半ばころには花が終わってしまいます。

オオタチツボスミレの花の画像
【オオタチツボスミレ】

 エゾノタチツボスミレはオオタチツボスミレよりも丈が高めで、30cmくらいになっているものもあります。径約2cmの薄紫色の花が咲きます。

エゾノタチツボスミレの花の画像
【エゾノタチツボスミレ】

 オオバタチツボスミレも、エゾノタチツボスミレと同じくらい丈が高くなります。ここでご紹介しているスミレの中では、最も大きな花が咲く種類で、径3cm近くにもなります。青紫色の地に、濃い青紫色の筋が入る花で、鮮やかな色彩がひときわ目を惹きます。

オオバタチツボスミレの花の画像
【オオバタチツボスミレ】

 ツボスミレは、今回紹介する中では最も小ぶりで、ほとんどの場合、高さ15cm以下です。あまり目立たず、周りにほかの植物があると見つけにくいかもしれません。径約1cmの、白っぽい色の花を付けます。

ツボスミレの花の画像
【ツボスミレ】

 かなり簡単にご紹介しましたが、スミレの仲間は種類が多く、上記以外のものが咲いていることもあります。機会があれば、少し注意して見てみてください。
 スミレの仲間は多年草なので、無事に年を越せば同じ場所に花を咲かせてくれます。ただし、踏まれると弱ってしまい、葉や茎が生えてこなくなってしまいます。背が低く、目立たない種類も多いですが、花を見つけたら大切に見守るよう、ご協力をお願いします。


2022年5月号 北見市周辺のチャシ跡(その2)

 過去に掲載した記事(下記リンク先のページ内に掲載)で北見市周辺の訪問・見学可能なチャシ跡をご紹介しました。今回はその続編として、前回より範囲を広げて採り上げてみます。

陸別町・ユクエピラチャシ

 陸別町のユクエピラチャシ跡は、近隣では最も規模が大きいチャシ跡であり、国の史跡にも指定されています。利別川の西岸、陸別町市街地を一望できる断崖に面した場所に築かれています。
 3条の深い空堀を組み合わせて配置した構造をしており、その一部はGoogleマップの航空写真でも確認することができます。発掘調査で、チャシの周りに白い火山灰が敷きつめられていたことが分かっており、その状態が復元整備されています。

ユクエピラチャシ跡の遠景写真
【ユクエピラチャシ跡】写真奥の、木立の中がチャシ跡です。
ユクエピラチャシの空堀を横方向から見た写真
【ユクエピラチャシの空堀】

小清水町・アオシマナイチャシ

 小清水町のアオシマナイチャシも規模が大きく、見応えがある遺跡です。トウフツ湖の南東側、段丘崖に面した場所に築かれています。
 チャシの周辺は「アオシマナイ遺跡」として知られている場所で、道路わきに標柱と解説の看板も立てられています。チャシ跡は、この看板の後ろに広がる空き地を越えた、林の中にあります。空堀で囲んだ半円形の区画を、2つ組み合わせた構造になっています。

「アオシマナイ遺跡」の看板の写真
【「アオシマナイ遺跡」の看板】写真奥の林の中がチャシ跡。
アオシマナイチャシの空堀の写真
【アオシマナイチャシの空堀】

斜里町・ウトロチャシ、オロンコ岩チャシ

 斜里町・ウトロ地区の海岸にはウトロチャシ、オロンコ岩チャシがあります。
 この2つのチャシは、海に突出した岩山に立地しており、切り立った崖に囲まれた地形を利用したものです。

ウトロチャシ跡の遠景写真
【ウトロチャシ跡の遠景】遠くから見た形から「カメ岩」とも呼ばれる岩山に位置します。
オロンコ岩の遠景写真
【オロンコ岩チャシ(写真中央)】

 オロンコ岩には散策路が整備されており、眺めの良い景勝地として親しまれています。
 ウトロチャシは、この記事の掲載時点では、岩山のふもとまでしか立ち入りができません。同じ岩山の上にはチャシコツ岬上遺跡(オホーツク文化の集落遺跡)があり、2019年、国の史跡に指定されました。このときには特別に遺跡の見学会も行われましたが、安全な通路がないことから、現時点では山の上の一般公開はされていません。

 春先、地面に草が生い茂る前のこの季節は、チャシのような遺跡を見るのに最適な時期です。機会があれば訪れてみてください。


2022年4月号 「北海道デジタルミュージアム」公開

 3月15日に、ウェブサイト「北海道デジタルミュージアム」が公開になりました。北海道内の博物館・美術館等の施設情報や、そこに収蔵されている資料の情報が集められたサイトです。「ところ遺跡の森」からも情報の掲載を行っており、所蔵資料や展示物など約80点を紹介しています(2022年3月末時点)。代表的な資料を網羅するかたちで写真と解説を掲載していますので、常呂の遺跡とその出土品について、より詳しく知っていただけるものと思います。
 また、遺跡の森に限らず、道内各地の施設が掲載されていますので、博物館・美術館めぐりの参考にもなります。今後も情報の追加掲載が行われていく予定ですので、以下のリンクからアクセスしてみてください。

北海道デジタルミュージアムへのリンク

 この「ところ遺跡の森」のウェブサイト内でも、遺跡の森の展示品や所蔵資料についてページを設けてご紹介しています。

 その他、以下のウェブサイトでも常呂の遺跡や出土品についてご紹介しています。合わせてご覧ください。

 「文化遺産オンライン」は文化庁が公開しているサイトです。国宝・重要文化財など、国や地方自治体の指定文化財の紹介がメインですが、それ以外の文化財も多数掲載されています。


お問い合わせ
北見市教育委員会社会教育部
ところ遺跡の森
郵便番号:093-0216
住所:北海道北見市常呂町字栄浦371番地
電話:0152-54-3393
FAX:0152-54-3538
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