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「ところ遺跡の森」便りは北見市常呂自治区内で『広報きたみ』に折込で配布されている社会教育情報内に毎号掲載しているものです。
イベント案内をはじめ、考古・自然など「ところ遺跡の森」に関連する情報を毎月お届けしています。
(毎月初め更新予定。ここに掲載したものは、写真・文章は当初掲載時のものから一部変更している場合があります。)
以前の記事は以下のリンクからご覧ください。
動物の骨や角は、古くから道具の材料として使われてきました。こうした骨角製品の中でも、今回は少し変わったものをご紹介します。写真はトコロチャシ跡遺跡・オホーツク文化後期(8~9世紀頃)の竪穴住居跡から出土した板状の骨角製品です。写真では分かりにくいかもしれませんが、上端部を2個所くり抜いて把手を作り、下端部側は縁を波形に仕上げています。そして裏面は突出部を削り、全体が平らな形に整えられています。何か目的があって作られたものであることは間違いないのですが、用途はよく分かっていません。住居内の祭祀的な空間である骨塚の近くから発見されたことから、供物を並べるお盆のようなものだったのではないかと想像されています。最も特筆されるのは、その大きさです。クジラの肩甲骨を素材としたもので、幅約90cmもあります。骨角製品としては国内最大級と考えられる大きさです。
この骨角製品は東京大学常呂実習施設の発掘調査で発見されたものですが、このたび同施設より借り受けて、ところ遺跡の館にて展示することとなりました。機会がありましたらお立ち寄りください。
北海道にはエゾリスとエゾシマリス、2種類のリスの仲間がいます。遺跡の森では以前からエゾシマリスが暮らしており、時折人目に触れる場所に姿を見せてくれることもあります。エゾシマリスは名前の通り、背中に縦の縞模様があるリスです。
一方、今年の夏以降、遺跡の森でエゾリスの姿を見ることも多くなりました。エゾリスはエゾシマリスより一回り体が大きく、おなかが白い以外は暗灰色になっています。何匹かいるらしく、最近は毎日のように見かけます。これほどエゾリスが現れるのは、最近10年間ではなかったことです。どうやらこの秋はドングリなどの木の実が不作で、食べ物を求めて普段行かない場所にもやって来ているようです。確かに遺跡の森で実っているドングリも、昨年より少なめに感じられます。
エゾシマリスは木登りも得意ですが、巣は地面に穴を掘って作ります。毎年11月頃には冬眠に入るようです。エゾリスは木の上に住み、冬でも活動します。どちらも人の姿に気付くと逃げ去ってしまいますが、笹薮に隠れてしまうエゾシマリスに比べると、木の上に逃げるエゾリスは比較的姿を見つけやすいです。「ガシッ、ガシッ」と音を立てて木に登っていくこともあれば、見つからないよう静かに動きを止めていることもあり、気付くと木の上からじっとこちらの様子をうかがっていたりします。紅葉の季節、森の動物にも注目してみてください。
常呂では毎年8~9月に、東京大学常呂実習施設による発掘調査が行われています。昨年度までは大島2遺跡の発掘調査が行われていましたが、今年度からはその東に隣接する大島1遺跡で発掘調査が始まりました。
大島1遺跡は常呂町字東浜の国道238号線南側、市有林内に広がる遺跡です。1970年に測量調査が行われており、竪穴住居跡と考えられる窪みが169基分布していることが確認されています。それとともに縄文時代晩期から続縄文時代、擦文時代の土器片が回収されており、さまざまな時代にわたって利用された遺跡であることが分かっています。竪穴住居跡については正方形をした擦文時代と推定されるものが多いようですが、ほかの時代と考えられる形のものもあり、長い年代にわたり繰り返し集落が形成された場所であったようです。しかし、まだ完全に発掘された竪穴住居跡はなく、詳しいことは今後の調査で解明していく必要があります。
今年度は1基の竪穴住居跡の発掘が進められました。現在のところ、この住居跡は擦文時代のものであることが分かっています。12世紀前半ころのものが中心だった大島2遺跡よりも、少し古い時期のものだったようです。かまどの一部と考えられる施設の跡も見つかり、住居内の構成が分かりつつあるところです。この調査は来年度も継続して行われる予定です。
お問い合わせ |
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北見市教育委員会社会教育部 ところ遺跡の森 郵便番号:093-0216 住所:北海道北見市常呂町字栄浦371番地 電話:0152-54-3393 FAX:0152-54-3538 |