MENU
CLOSE
「ところ遺跡の森」便りは北見市常呂自治区内で『広報きたみ』に折込で配布されている社会教育情報内に毎号掲載しているものです。
イベント案内をはじめ、考古・自然など「ところ遺跡の森」に関連する情報を毎月お届けしています。
(毎月初め更新予定。ここに掲載したものは、写真・文章は当初掲載時のものから一部変更している場合があります。)
以前の記事は以下のリンクからご覧ください。
北見市では来年春の公開を目指して、トコロチャシ跡遺跡群の整備工事を実施しています。ここは、アイヌ文化のチャシ跡とともに、オホーツク文化の集落跡としても重要な遺跡です。
オホーツク文化は5~9世紀頃、サハリンから北海道に移住してきた人々が残した文化で、オホーツク海沿岸を中心に栄えていました。トコロチャシ跡遺跡群を含む史跡常呂遺跡も代表的な遺跡の1つですが、市外でも多数の遺跡が知られています。そこで今回は、オホーツク文化について見学できる現在公開中の施設をいくつかご紹介したいと思います。
オホーツク文化を代表する遺跡として最も有名なのは史跡最寄貝塚(網走市)でしょう。遺跡内には竪穴住居跡や墓地のようすが屋外展示されており、園路をめぐって見ることができます(冬季は非公開)。
遺跡に併設されたモヨロ貝塚館は全体がオホーツク文化の展示に当てられています。多くの土器、石器、骨角器、金属器のほか、発掘現場の再現展示などもあり、この文化を扱う博物館としては最も充実していると言える内容のものです。
オホーツク文化の出土品には、国の重要文化財が2件あります。そのうちの1つ、「北海道目梨泊遺跡出土品」を見られるのがオホーツクミュージアムえさしです。重要文化財の出土品の中で特に注目されるのは金銅装の刀です。遺跡の出土品なので刀身は錆びてしまっていますが、彫金の施された豪華な刀装具は、同時代の北海道では例を見ない大変貴重なものです。
オホーツク文化にかかわる重要文化財のもう1つは「北海道松法川北岸遺跡出土品」で、羅臼町郷土資料館で展示されています。こちらでは、多様な木製品の出土が注目されます。通常は地中で腐食・分解されてしまう木製品が炭化した状態で残ったもので、特にクマ形のデザインをもつ容器が印象的です。
いずれの施設でも、オホーツク文化を知る上では欠かせない貴重な資料を見ることができます。機会があればぜひめぐってみてください。まだ紹介できていない施設もたくさんありますので、いずれ採り上げてみたいと思います。
8月31日(土)、「遺跡見学会~東京大学の遺跡発掘現場を特別公開」を開催します。参加申し込みを8月1日(木)より受け付けします。詳しくは以下のページをご覧ください。
今回の遺跡見学会で行く大島1遺跡では現在、竪穴住居跡の発掘調査が行われています。
遺跡の発掘では、土器や石器など遺物を見つけることも大切ですが、建物跡や穴・溝を掘った跡などの遺構を調査することも重要です。たとえば竪穴住居は、土の中に掘りこんで作られており、それが土で埋まった状態で残っています。そこで、竪穴住居の床や壁、柱穴などは土の違いを見分けながら発掘し、昔の人が作った状態を明らかにしていく必要があります。
下の写真は、かつての発掘調査で発見された擦文時代の竪穴住居の「かまど」跡です。白っぽい土でできた筒状の構造物がありますが、これは「かまど」から出た煙を下から上へ出すための煙道にあたります。現在発掘が進められている大島1遺跡の竪穴住居跡でも、同じような煙道が見つかっていますので、見学会に参加される方は確認してみてください。
発掘調査では、このように土の中から土で作られた構造物も見つけなければなりません。写真の「かまど」は比較的分かりやすい例ですが、中には土の区別がつきにくく、判断に迷うような遺構が出てくる場合もあります。その都度検討を加えながら、丁寧に発掘調査が進められています。
常呂遺跡は、1974年3月12日に国の史跡に指定されました。従って今年は、指定からちょうど50 年の記念すべき年となります。
常呂に古い時代の集落遺跡が存在することは、明治時代にはすでに知られていました。しかし、当初は遺跡を保存するような取り決めがなかったため、土地の開発で失われてしまった遺跡もあります。常呂地域で最も大規模な遺跡は、海岸沿いに広がる森林の中に広がっています。この区域が1974 年、史跡に指定されました。この遺跡には、大昔の竪穴住居の跡が現在でも大きな穴として地表に残されています。新しいものでも800 年以上昔に作られた住居の跡が今でも残っており、たくさんの穴が並んだ少し不思議な景観の場所となっています。
その後、1990 年にサロマ湖東岸の「ところ遺跡の森」の地区、2002 年に常呂川東岸の「トコロチャシ跡遺跡群」の地区が史跡常呂遺跡として追加指定されました。このため、現在「常呂遺跡」と呼ばれる場所は複数の区域にわたって広がっています。史跡の範囲は合計で約128 万平方メートルに及びます。
北海道は、竪穴住居の跡が地表に残る遺跡が多数存在する地域でした。例えば札幌近郊でも、開拓前にはこうした遺跡がたくさんあったことが記録されています。現在でも道東部を中心に、竪穴住居跡の存在する遺跡は少なからず残されています(図)。とはいえ、常呂遺跡のように広範囲にわたる集落の遺跡が保存されているところはごくわずかであり、非常に貴重なものです。
ちょうど1 年前には、「常呂川河口遺跡墓坑出土品」が新たに重要文化財に指定されました。常呂遺跡とともに、地域の歴史を物語る重要な歴史遺産となっています。
5月から6月にかけての遺跡の森は、野鳥でにぎやかになります。多くの鳥が繁殖期を迎え、あちこちで鳴き声を響かせています。こうした鳥の中には何種類もの声を使い分けているものもいます。有名なのはシジュウカラで、鳴き声で仲間同士コミュニケーションをとっていることが知られています。鳴き声を文字で表現してもなかなか伝わりづらいのですが、いくつかご紹介してみましょう。平常時、なわばり宣言をするさえずりは「ツピ、ツピ」というものです。これに対し、「ピーツピ」で「警戒しろ」、「ジジジジジ」で「集まれ」という意味があるそうです。「ツピ、ツピ」と鳴いているところに人が近づくと、「ピーツピ」に変わることがよくあります。「ジジジジジ」はエサを見つけたときにも使うようですが、「ピーツピ、ジジジジジ」とつなげた場合は「警戒して集まれ」という意味になり、集まって敵を追い払うときに発せられる声とのことです。
遺跡の森にはシジュウカラに近い種の鳥もいます。特に多いのはハシブトガラで、やはりいろいろな声で鳴き、仲間同士おしゃべりしているように見えることもあります。シジュウカラの「ジジジジジ」に似た鳴き声もあり、やはり「集まれ」と言っているようです。
鳥の鳴き声を覚えておくと、野外を歩くときの楽しみが1つ増えます。遺跡の森のウェブサイトでも、森の中で聞こえる鳥の鳴き声をいくつかご紹介していますので参考にしてみてください。
東京大学文学部常呂実習施設が正式に設置されてから、2023年で50周年を迎えました。このことを記念した書籍『オホーツクの古代文化』(東京大学文学部常呂実習施設・考古学研究室編、新泉社より刊行)がこのほど出版されました。同施設・研究室におけるこれまでの研究の歩みを反映して、北海道をはじめ東北アジアの古代文化にまつわる様々なテーマが採り上げられています。最新の研究成果も含めて分かりやすく紹介した内容で、各テーマ数ページ程度のコンパクトな長さにまとめられているのも特徴です。途中からでも、興味のあるページから読み進めることができます。
執筆者は東京大学の教職員や関係者を中心に集められており、ところ遺跡の森の職員も寄稿しています。書店、図書館等で見かけた折には、ぜひ手に取ってみてください。
ところ遺跡の森で、遺跡と自然を楽しむ観察会が開催されます。国の重要文化財「常呂川河口遺跡墓坑出土品」や春の草花を、講師の解説付きでゆっくりご覧いただけます。
参加をご希望の方は、下記の事項をご確認の上、お申し込みください。
日時 | 令和6年4月28日(日) 9時30分~12時 |
集合場所 | ところ遺跡の館前 |
定員 | 30人(先着順) |
参加費 | ところ遺跡の館入館料 (※中学生以下、70歳以上の方は無料) |
4月20日(土)、9時より北網圏北見文化センターにて電話受付(先着順)。
受付電話番号:(0157)23-6700
小学3年生以下は保護者同伴。歩きやすい服装と天候に応じ雨具をご用意ください。
大雨の場合、内容を一部が変更することがあります。
お問い合わせ |
---|
北見市教育委員会社会教育部 ところ遺跡の森 郵便番号:093-0216 住所:北海道北見市常呂町字栄浦371番地 電話:0152-54-3393 FAX:0152-54-3538 |