「ところ遺跡の森」便り【2024年4月~】

 「ところ遺跡の森」便りは北見市常呂自治区内で『広報きたみ』に折込で配布されている社会教育情報内に毎号掲載しているものです。
 イベント案内をはじめ、考古・自然など「ところ遺跡の森」に関連する情報を毎月お届けしています。
 (毎月初め更新予定。ここに掲載したものは、写真・文章は当初掲載時のものから一部変更している場合があります。)

以前の記事は以下のリンクからご覧ください。

2024年7月号 史跡常呂遺跡指定50年

 常呂遺跡は、1974年3月12日に国の史跡に指定されました。従って今年は、指定からちょうど50 年の記念すべき年となります。
 常呂に古い時代の集落遺跡が存在することは、明治時代にはすでに知られていました。しかし、当初は遺跡を保存するような取り決めがなかったため、土地の開発で失われてしまった遺跡もあります。常呂地域で最も大規模な遺跡は、海岸沿いに広がる森林の中に広がっています。この区域が1974 年、史跡に指定されました。この遺跡には、大昔の竪穴住居の跡が現在でも大きな穴として地表に残されています。新しいものでも800 年以上昔に作られた住居の跡が今でも残っており、たくさんの穴が並んだ少し不思議な景観の場所となっています。
 その後、1990 年にサロマ湖東岸の「ところ遺跡の森」の地区、2002 年に常呂川東岸の「トコロチャシ跡遺跡群」の地区が史跡常呂遺跡として追加指定されました。このため、現在「常呂遺跡」と呼ばれる場所は複数の区域にわたって広がっています。史跡の範囲は合計で約128 万平方メートルに及びます。
 北海道は、竪穴住居の跡が地表に残る遺跡が多数存在する地域でした。例えば札幌近郊でも、開拓前にはこうした遺跡がたくさんあったことが記録されています。現在でも道東部を中心に、竪穴住居跡の存在する遺跡は少なからず残されています(図)。とはいえ、常呂遺跡のように広範囲にわたる集落の遺跡が保存されているところはごくわずかであり、非常に貴重なものです。
 ちょうど1 年前には、「常呂川河口遺跡墓坑出土品」が新たに重要文化財に指定されました。常呂遺跡とともに、地域の歴史を物語る重要な歴史遺産となっています。

北海道内の竪穴住居跡が残る主な遺跡の分布図
【図】竪穴住居跡が残る主な遺跡の分布 1000基以上の竪穴住居跡の存在が記録されている遺跡は少ない。

2024年6月号 遺跡の森の野鳥~シジュウカラの鳴き声

 5月から6月にかけての遺跡の森は、野鳥でにぎやかになります。多くの鳥が繁殖期を迎え、あちこちで鳴き声を響かせています。こうした鳥の中には何種類もの声を使い分けているものもいます。有名なのはシジュウカラで、鳴き声で仲間同士コミュニケーションをとっていることが知られています。鳴き声を文字で表現してもなかなか伝わりづらいのですが、いくつかご紹介してみましょう。平常時、なわばり宣言をするさえずりは「ツピ、ツピ」というものです。これに対し、「ピーツピ」で「警戒しろ」、「ジジジジジ」で「集まれ」という意味があるそうです。「ツピ、ツピ」と鳴いているところに人が近づくと、「ピーツピ」に変わることがよくあります。「ジジジジジ」はエサを見つけたときにも使うようですが、「ピーツピ、ジジジジジ」とつなげた場合は「警戒して集まれ」という意味になり、集まって敵を追い払うときに発せられる声とのことです。
 遺跡の森にはシジュウカラに近い種の鳥もいます。特に多いのはハシブトガラで、やはりいろいろな声で鳴き、仲間同士おしゃべりしているように見えることもあります。シジュウカラの「ジジジジジ」に似た鳴き声もあり、やはり「集まれ」と言っているようです。
 鳥の鳴き声を覚えておくと、野外を歩くときの楽しみが1つ増えます。遺跡の森のウェブサイトでも、森の中で聞こえる鳥の鳴き声をいくつかご紹介していますので参考にしてみてください。

枝に止まるシジュウカラ
シジュウカラ
翼を広げたハシブトガラ
ハシブトガラ

2024年5月号 『オホーツクの古代文化』が刊行されました

 東京大学文学部常呂実習施設が正式に設置されてから、2023年で50周年を迎えました。このことを記念した書籍『オホーツクの古代文化』(東京大学文学部常呂実習施設・考古学研究室編、新泉社より刊行)がこのほど出版されました。同施設・研究室におけるこれまでの研究の歩みを反映して、北海道をはじめ東北アジアの古代文化にまつわる様々なテーマが採り上げられています。最新の研究成果も含めて分かりやすく紹介した内容で、各テーマ数ページ程度のコンパクトな長さにまとめられているのも特徴です。途中からでも、興味のあるページから読み進めることができます。
 執筆者は東京大学の教職員や関係者を中心に集められており、ところ遺跡の森の職員も寄稿しています。書店、図書館等で見かけた折には、ぜひ手に取ってみてください。

書籍「オホーツクの古代文化」表紙

2024年4月号 ところ遺跡の森と春の自然観察会

 ところ遺跡の森で、遺跡と自然を楽しむ観察会が開催されます。国の重要文化財「常呂川河口遺跡墓坑出土品」や春の草花を、講師の解説付きでゆっくりご覧いただけます。
 参加をご希望の方は、下記の事項をご確認の上、お申し込みください。

日時 令和6年4月28日(日)
9時30分~12時
集合場所 ところ遺跡の館前
定員 30人(先着順)
参加費 ところ遺跡の館入館料
(※中学生以下、70歳以上の方は無料)

参加申込

 4月20日(土)、9時より北網圏北見文化センターにて電話受付(先着順)。

受付電話番号:(0157)23-6700

その他注意事項

 小学3年生以下は保護者同伴。歩きやすい服装と天候に応じ雨具をご用意ください。
 大雨の場合、内容を一部が変更することがあります。

アイヌタチツボスミレの群落の写真
アイヌタチツボスミレ(昨年4月下旬のようす)

お問い合わせ
北見市教育委員会社会教育部
ところ遺跡の森
郵便番号:093-0216
住所:北海道北見市常呂町字栄浦371番地
電話:0152-54-3393
FAX:0152-54-3538
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