ヌプンケシ224号

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市史編さんニュース NO.224

タイトル ヌプンケシ

平成23年10月1日発行


◎『屯田兵および家族教令』と『兵員及家族教令』(1) 

◇『屯田兵および家族教令』

 現在編集中の仮称『北見の歴史案内』で、屯田兵制度が平民屯田に転換した時に制定され、屯田兵と家族の日常生活を厳しく律した『屯田兵および家族教令』を紹介しようと、『北見市史』上巻の該当部分を見たところ明白な誤字・脱字がありましたので、当市文化財課が所蔵する同教令のコピーを参照して、出きるだけ現用漢字に直したが下記の教令です。当て字や難しい漢字には( )で読み方を記しました。掲載の都合で活字ポイント数が小さくなり、見にくくなってご免なさい。

 

 屯田兵および家族教令

屯田兵は重き護国の任務を帯び且(かつ)拓地殖産の業務を担ふ者にして其責任軽からざるは言ふまでもなく世に比類(たぐい)なき厚き保護を受くる者なれば官の規則を厳重に守るべきは勿論(もちろん)(なお)此教令に従ひて其本務を完(まっと)ふし厚き保護の大恩に報ゆることを勗(つと)めざるべからず

 

一 汝等の服する屯田兵役は兵役相続の法ありて独り兵員の一身に止まらず延(ひい)て子弟にも及ぶものにて屯田兵の一家は取(とり)も直さず往昔(むかし)の武門武士の列に加はりたると等しければ兵員は勿論家族に至るまで専(もっぱ)ら忠節を重んじ武勇を尚(たっと)び廉恥(れんち)を思ひ志操を堅くし苟(かりそめ)にも武門武士たるの体面を汚す様の事之れあるべからず

 

二 汝等の身命は上(かみ) 天皇陛下に捧げ奉りしものにして自身の身命にはあらざるなり故に苟にも自己(おのれ)の不養生より疾病(やまい)を醸(かも)し又は其不心得より罪を犯す等の事之れあるべからず万一之れあるときは不忠此上なければ常に衛生に注意し言行を慎みて身命を大切にせざるべからず。

 

三 汝等は何時如何なる命令あるも直に其命令に従はざるべからざるが故に兵員は申(もうす)に及ばず家族に至るまで俄(にわか)の出戦等に臨みて聊(いささか)も差支へなき様平生より其万端の用意を整へ置かざるべからず。

 

四 汝等は当初(はじめ)或年限の間扶助米塩菜料の厚き給与を受くると雖(いえど)も其給与の止みたる後は拓地殖産の事業上より得る収益を以て一家の生計を立つるものなれば若し此事業にして発達せざるときは一家の生計立ざるに至るべし然るときは縦令(たとえ)軍事上の技倆は如何程人に過(すぐ)れたりとも護国の大任を尽すこと能はざるに立至るべければ能々(よくよく)此義を相弁へ一家心を協(あわ)せて農業を励まざるべからず。

 

五 兵員は戦時は勿論平時と雖も軍事上の任務を帯ぶるを以て農業にのみ従事するを得ざれば其家族たる者は兵員の力を頼まず互に心を励み力を協せて開墾耕稼の事に従ひ兵員をして一向(ひたすら)兵役の任務を尽さしむる様なさざるべからず。

 

六 上官の命令訓示等は汝等をして忠勇なる軍人たらしめ善良なる兵村民たらしむる基本(もとい)にして慈愛なる父母の其児女を撫育薫陶すると異らざれば兵員は勿論家族に至るまで上官は之れを父母と心得上官の命令訓示等は表裏(おもてうら)なく従順に之れを守らざるべからず。

 

七 武器は国を守り身を托する軍人の魂として観るべき大切の品なれば常に鄭寧(丁寧)に手入をなし一定の場所に架置(かけお)き兵員の外は父兄たりとも之に手を触るべからず。

 

八 被服は常に一定の場所に差置き兵員より補修洗濯を命じたる時の外家族は一切之れに手を触るべからず就中(なかんずく)靴は濫に用ひ易きを以て軍事用の外は暫時たりとも決して穿用(せんよう)せざる様精々注意すべし。

 

九 兵村は汝等が墳墓の地と定め子孫繁栄の基を開く場所にして汝等は乃(すなわ)ち其祖先なれば村内の風俗は極めて善良ならしめざるべからず是其祖先たる者の勗むべき義務なれば汝等は一人としては各(おのおの)其身の行状を正ふし父母を大切にし長上(めうえ)を敬ひ老たる者は之れを恤(いたわ)り幼き者は之れを導き夫婦和き兄弟互に睦み村友に信を失はざる様心掛け一家としては苦楽を共にし家内和合して波風立ぬ様心掛け一村としては利害相同ふし緩急相救ひ全村恰も一家親属に異ならざる如き良風美俗を養成する様心掛けざるべからず。

 

十 汝等は万事質素を旨とし勤倹を守り北海道の一弊害たる驕奢(きょうしゃ)の風に感染すべからず万一にも驕奢の風に感染するときは啻(ただ)に兵農の本務を完ふする能はざるのみならず汝等の不幸も亦(また)(はなはだ)しければ常に質素勤倹を守り驕奢(おごり)が間敷事之れなき様心掛けざるべからず。

 

十一 汝等は新(あらた)に北海道に移住し親属故旧に乏しきが上に隣保も又同時に移住せし者にて皆同様の有様なれば互ひに独立自営の覚悟をなし他人の助力を頼むべからず因(よっ)て常に用度を節し金穀を貯へ置きて不時の災害に備ふべし又天災地変等の大なる災害は到底一人一個の力にて之れを備へをなす能はざれば全村共同して予(あらかじ)め互救の法を設け置き万一の時困難せざる様心掛けざるべからず。

 

十二 子弟の風儀は兵村の面目に拘はるのみならず将来村の発達にも関すれば子弟の教育には尤(もっと)も重きを置き忠孝の道を重んじ武勇を尚び信義を守り礼儀を正ふし善良活発なる人とならしむる様訓誨誘導せざるべからず。

 

十三 葬祭には隣保互に相助くべきは勿論なれども漫(みだ)りに多人数打寄り飲食等をなし葬家をして不幸の悲哀(かなしみ)に加ふるに無用の費用を重ねしむるが如き不都合之れあるべからず又徒(いたずら)に金銭物品の贈答(やりとり)をなすが如き虚礼も亦なすべからず葬祭弔礼の要は各自互ひに嬉戯談笑を慎み起居動作の間にも弔意の顕はるゝ様なすに在れは弔意を表す事を専一とし之れより以外の虚礼に陥ゐらざる様心掛けざるべからず。

 

十四 婚嫁其他の祝儀には専ら質素を旨とし虚飾虚礼は之れを去りて儀式丈(だけ)を正格に執行(とりおこな)ふべし況()して平素漫りに打寄りて酒宴を催す様の事毛頭なすべからず。

 

十五 毎月指定の日には説教所に至り法話を聴聞して益(ますま)す徳義心を養ひ兼ては全村老幼談(はな)し合ひて親睦を図るべし。

 

十六 一身一家の利益を図るは素(もと)より大切なれども一身を益するが為め害を他人に及ぼし一家を利するが為め全村の公益を害するが如きは是れ私利私欲に迷ひたる僻事(ひがごと)なれば決してなすべからず兵村公共の為には一身一家の利益は顧ざる様心掛けざるべからず。

 

十七 博奕(はくえき)は勿論之に類似の遊戯は如何なる場合如何なる場所に於ても決してなすべからず。

 

十八 身体の健康は万事の基なれば宜(よろし)く衛生に注意し身体衣服は勿論兵屋の内外井戸の周囲(まわり)其他圊厠(かわや)に至るまでも清潔にし且溝渠(みぞ)の疎通方(さらいかた)を怠るべからず。

 

十九 汝等郷里の風習にも善良なるものあるべく又善良ならざるものも之れあるべしと雖も久しく耳目に慣るゝものは容易に其善悪(よしあし)を識別(しりわ)け難きものなれば郷里の風習にして此教令に違(たが)ふものは之れを捨て違はざるものは維持する様勗むべし。

 

二十 兵員および其家族にして一人たりとも此教令に違ひ不都合の言行のあるときは独り其者一身一家の名誉利害に拘はるのみならず延て兵村全体の名誉利害に関はれば一家内は申に及ばず他人に於ても其之れあるを知りたるときは密(ひそか)に其本人に訓戒忠告をなし速(すみやか)に改むる様互に相勗むべし訓戒忠告再三に及ぶも尚改めざるときは上官に申出で何分の処置を仰ぐべし。

右教令の件々堅く相守るべきもの也

  明治三十年五月

  屯田歩兵第四大隊

 

 一読して、如何でしたか。屯田兵と家族は「武門武士」になったのと同じだから、体面を汚すなとされ、身命は天皇陛下の所有物で病気等になるのは不忠そのものでした。屯田戸主は兵役が第一だから家族は戸主を当てにせず開墾すること、軍服・靴は軍事以外使用禁止、冠婚葬祭はじめ生活の細部に至るまで、息苦しいほどの厳しい指導があったことがお分かりになったでしょう。

(続く)

 

《分庁舎だより》☆勤務場所が分庁舎になって通勤コースも変った関係で、毎朝仁頃通りを通るのですが、「ここに神田館があったなあ~。ここら辺には馬宿が並んでいたのか。ここが野田義三郎宅で、夫人の弾くピアノの音が聞えたのか。」等々、一寸したタイム・トラベルを楽しんでいます。

 

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