MENU
CLOSE
「ところ遺跡の森」便りは北見市常呂自治区内で『広報きたみ』に折込で配布されている社会教育情報内に毎号掲載しているものです。
イベント案内をはじめ、考古・自然など「ところ遺跡の森」に関連する情報を毎月お届けしています。
(毎月初め更新予定。ここに掲載したものは、写真・文章は当初掲載時のものから一部変更している場合があります。)
以前の記事は以下のリンクからご覧ください。
前々回にサハリン産のコハク玉について扱いましたが、これは続縄文時代前半の墓から見つかるものでした。続縄文時代後半になると、コハク玉と入れ替わるように鉄製品とガラス玉が墓に入れられるようになります。
当時の北海道では製鉄は行われていなかったため、鉄製品は道外から入手してきたものと見られます。続縄文時代後半には、北海道でも鉄製の刀子やナイフが使われ始めましたが、数はまだ少なかったようです。
ガラス玉は水色と濃青色の2種類が見つかっています。成分分析によって中国大陸産の原料が使われていることが推定されており、やはり道外に由来するものと考えられます。本州の古墳時代遺跡でも類似したガラス玉が見つかっていることから、本州方面から持ち込まれた可能性が考えられるものです。
これらは、道外から入手したという点でコハク玉と同様に貴重品だったと考えられるものですが、コハク玉のように1つの墓で大量に見つかることはありません。少量ずつしか入ってこない、非常に入手困難なものだったことが窺われます。また、こうした貴重品が死者のために使われていることから、死者が大変尊重されていたことが分かります。
このコーナーでは最近4回にわたり、「常呂川河口遺跡墓坑出土品」についてご紹介してきました。ゴールデンウィークから、これまでご紹介してきた出土品を含め、その全容をお見せする展示を行います。
東京国立博物館で開催された「新指定国宝・重要文化財展」(令和5年1月31日~2月19日)出品資料のほか、通常は陳列されていない出土品も含めて展示します。コーナーを拡大した特別展示となりますので、この機会にぜひご覧ください。
〇日 時 令和5年4月29日(土・祝)~7月2日(日)※月曜休館
午前9時~午後5時
〇会 場 ところ遺跡の館
〇料 金 入館には所定の観覧料がかかります。
一般280円、高・大学生160円、
中学校以下・70歳以上無料
展示の会期中は、遺跡の森をめぐるスタンプラリーも開催中です。6つのスタンプを集めると、常呂川河口遺跡墓坑出土品に関連した記念品が当たります。合わせてお楽しみください。
また、ところ遺跡の館で上映している解説動画が新しくなりました。東京大学常呂実習施設の制作で、同施設の公式YouTubeチャンネル(https //www.youtube.com/@tokoro1957/featured)上でも配信されています。常呂の遺跡について知る入門編として、ぜひご覧ください。
今回は、「常呂川河口遺跡墓坑出土品」の中からコハク製の玉についてご紹介します。コハク玉は、北海道東部を中心に、続縄文時代前半の遺跡で発見されます。穴を開けて紐で連ね、首飾りとして使われたようです。
常呂川河口遺跡の出土品には、発見されたコハク玉の数が多く、形の種類も豊富な点に特色があります。玉の基本的な形は円盤状ですが、原石の形をそのまま使った楕円形のものや、加工して星形にしたものなどもあります。
コハクは植物の樹脂が化石化してできた宝石であり、産地は限られています。国内では岩手県久慈市が有名ですが、北海道の遺跡から見つかるものは主にサハリン産と考えられています。いずれにしても容易に手に入るものではなく、当時としては大変な貴重品でした。墓を発掘した結果からは、誰でも持っていたのではないことが分かっています。コハク玉がある墓は、こうした貴重品を入手できる地位の高い人のものだったと推定することができるわけです。中には、1つの墓から2000点以上のコハク玉が見つかった例もあります。これは当時の北海道全体で比べても豪華なものと言え、この時代の常呂が大変栄えていたことを窺わせるものです。
新しく国の重要文化財に指定される「常呂川河口遺跡墓坑出土品」は現在、「ところ遺跡の館」にてその一部を展示公開しています。令和5年4月29日(土・祝)より、通常展示していない出土品も含めて特別展示を行う予定です。
お問い合わせ |
---|
北見市教育委員会社会教育部 ところ遺跡の森 郵便番号:093-0216 住所:北海道北見市常呂町字栄浦371番地 電話:0152-54-3393 FAX:0152-54-3538 |