ヌプンケシ225号

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市史編さんニュース NO.225

タイトル ヌプンケシ

平成23年10月15日発行


◎『屯田兵および家族教令』と『兵員及家族教令』(2)

◇『兵員及家族教令』 

 前号で紹介した、市文化財課から提供の『屯田兵および家族教令』には2種類あり、巻物になっていました。条文は平仮名で書かれ、難しい漢字には振り仮名や当て字がされています。

 筆者がこの『屯田兵および家族教令』以外の資料を探したところ、大正10(1921)1月発行の『湧別兵村誌』と、大正15(1926)12月発行の『野付牛町誌』に『兵員及家族教令』が載っていました。この2冊を照合して、整理した教令を下記に掲載します。なお、前号の『屯田兵および家族教令』と違う部分には下線と( )をしておきましたので、比較して見てください。

()家族教令

 屯田兵ハ重キ護国ノ義務ヲ負ヒ且ツ拓地殖産ノ任務ヲ担フモノニシテ其責任軽カラザルハ言フマデモナク世ニ比類ナキ政府ノ保護ヲ受クルモノナレバ官ノ規則ヲ厳重ニ守ルベキハ勿論猶此教令ニ従ヒテ()本務ヲ完フシ厚キ保護ノ大恩ニ報ユルコトヲ勗メザルラズ

 一 汝等ノ服スル屯田兵役ハ兵役相続ノ法アリテ独リ兵員ノ一身ニ止マラズ延ヒテ子弟ニモ及ブモノニテ屯田兵ノ一家ハ取モ直サズ往昔ノ武門武士ノ列ニ加ハリタル等シケレバ兵員ハ勿論家族ニ至マデ専ラ忠節ヲ重ンジ武勇ヲ尚ビ廉恥ヲ思ヒ志操ヲ堅クシ苟ニモ武門武士タル体面ヲ汚ス様ノ事之レアルラズ

 二 汝等ノ身命ハ上 天皇陛下ニ捧ゲ奉リシモノニシテ自身ノ身命ニハアラザルナリ故ニ苟モ自己ノ不養生ヨリ疾病ヲ醸シ又ハ()不心得ヨリ罪ヲ犯ス等ノ事之レアル可ラズ万一之レアルトキハ不忠此上ナケレバ常ニ衛生ニ注意シ言行ヲ慎ミテ身命ヲ大切ニセザルラズ

 三 汝等ハ何時如何ナル命令アルモ直ニ其命令ニ従ハザル可ラザルガ故ニ兵員ハ申ニ及バズ家族ニ至ルマデ俄カニ出戦等ニ臨ミテ聊モ差支ナキ様平ヨリ其万端ノ用意ヲ整置カザルラズ

 四 汝等ハ当初或ル年限ノ間扶助米塩菜料ノ厚キ給与ヲ受クルト雖()其給与ノ止ミタル後ハ拓地殖産ノ事業上ヨリ得ル収ヲ以テ一家ノ生計ヲ立ツルモノナレバ若シ其事業ニシテ発達セザルトキハ一家ノ生計立ザルニ至ルベシ然レドモ縦令軍事上ノ技倆ハ如何程人ニレタリトモ護国ノ大任ヲ尽スコト能ハザルニ至ルケレバ能々此義ヲ相弁へ一家心ヲ協ハセテ農業ヲ励マザルラズ

 五 兵員ハ戦時ハ勿論平時ト雖()軍事上ノ任務ヲ帯ブルヲ以テ農業ニノミ従事スルヲ得ザレバ其家族タルモノハ兵員ノ力ヲ頼マズ互ニ心ヲ励ミ力ヲ協セテ開墾耕稼ノ事ニ従ヒ兵員ヲシテ只管兵役ノ任務ヲ尽サシムル様ナサザルラズ

 六 上官ノ命令訓示等ハ汝等ヲシテ忠勇ナル軍人タラシメ善良ナル兵村民タラシムル基本ニシテ慈愛ナル父母ノ其児女ヲ撫育薫陶スルト異ラザレバ兵員ハ勿論家族ニ至マデ上官ハ之()ヲ父母ト心得上官ノ命令訓達ハ表裏ナク従順ニ之()ヲ守ラザルラズ

 七 武器ハ国ヲ守リ身ヲ托スル軍人ノ魂トシテ観ルベキ大切ノ品ナレバ常ニ寧ニ手入レヲナシ一定ノ場所ニ架置キ兵員ノ外ハ父兄タリトモ之触ルラズ

 八 被服ハ常ニ一定ノ場所ニ差置キ兵員ヨリ補修洗濯ヲ命ジタル時ノ外家族ハ一切之()触ルラズ就中靴ハ濫ニ用ヒ易キヲ以テ軍事用ノ外ハ暫時タリトモ決シテ穿用セザル様精々注意ス

 九 兵村ハ汝等ガ墳墓ノ地ト定メ子孫繁栄ノ基ヲ開ク場所ニシテ汝等ハ乃チ其祖先ナレバ村内ノ風俗ハ極メテ善良ナラシメザルラズ是其祖先タル者ノ勗ムベキ義務ナレバ汝等ハ一人トシテ()各其身ノ行状ヲ正フシ父母ヲ大切ニシ長上ヲ敬ヒ老ヒタル者ハ之()ヲ恤ハリ幼キ者ハ之()ヲ導キ夫婦和キ兄弟互ニ睦ミ村友ニ信ヲ失ハザル様心掛ケ(一家としては苦楽を共にし家内和合して波風立ぬ様心掛け)一村トシテハ利害相同フシ緩急相救ヒ全村恰モ一家親ニ異ナラザル如キ良風美ヲ養成スル様心掛ケザルラズ

十 汝等ハ万事質素ヲ旨トシ勤倹ヲ守リ北海()ノ一弊害タル驕奢ノ風ニ感染スベカラズ万一ニモ驕奢ノ風ニ感染スルトキハ啻ニ兵農ノ本務ヲ完フスル能ハザルノミナラズ汝等ノ不幸モ亦甚シケレバ常ニ質素倹約ヲ守リ驕奢ケ間敷事之ナキ様心掛ケザルラズ

十一 汝等ハ新ニ北海道ニ移住シ親族故旧ニ乏シキガ上ニ隣保モ同時ニ移住セシモノテ皆同様ノ有様ナレバ互()ニ独立自営ノ覚悟ヲナシ他人ノ助力ヲ頼ムラズ因テ常ニ用度ヲ節シ金穀ヲ貯へ置キテ不時ノ災害ニ備フベシ又天災地変等ノ大ナル災害ハ到底一人一個ノ力ニテ之レガ備()ヲナス能ハザレバ全村共同シテ予メ互救ノ法ヲ設ケ置キ万一ノ時困難セザル様心掛ケザルラズ

十二 子弟ノ風儀ハ兵村ノ面目ニ拘ハルノミナラズ将来()ノ発達ニモ関スルモノナレバ子弟ノ教育ニハモ重キヲ置キ忠孝ノ道ヲ重ンジ武勇ヲ尚ビ信義ヲ守リ礼儀ヲ正フシ善良活発ナル人トナラシムル様訓誨誘導セザルラズ

十三 葬ニハ隣保互ニ相助クベキハ勿論ナレドモ漫リニ多人数打寄リ飲食等ヲナシ葬家ヲシテ不幸ノ悲哀ニ加フルニ無用ノ費用ヲ重ネシムルガ如キ不都合之レアルラズ又徒ニ金銭物品ノ贈答ヲナスガ如キ虚礼モ亦ナスラズ葬祭弔礼ノ要ハ各自互()ニ嬉戯談笑ヲ慎ミ起動作ノ間ニモ弔意ノ顕ハルゝ様ナスモノナレバ弔意ヲ表ス事ヲ専一トシ之レヨリ外ノ虚礼ニ陥()ラザル様心掛ケザルラズ

十四 婚嫁其他ノ祝儀ニハ専ラ質素ヲ旨トシ虚飾虚礼ハ之()ヲ去リテ礼儀ヲ正格ニ執行ベシ況シテ平素漫リニ打寄リテ酒宴ヲ催ス様ノコトハ毛頭ナスラズ

十五 毎月指定ノ日ニハ説教所ニ至リ法話ヲ聴聞シテ益徳義心ヲ養ヒ兼テハ全村老幼合ヒテ親睦ヲ図ルベシ

十六 一身一家ノ利益ヲ図ルハ素ヨリ大切ナレドモ一身ヲ益スルガ為メ害ヲ他人ニ及ボシ一家ヲ利スルガ為メ全村ノ益ヲ害スルガ如キハ是レ私利私欲ニ迷ヒタル僻事ナレバ決シテナスラズ兵村公共ノ為メニハ一身一家ノ利益ハ顧ミザル様心掛ケザルラズ

十七 博奕ハ勿論之ニ類似ノ遊戯ハ如何ナル場合如何ナル場所ニ於テモ決シテナスラズ

十八 心身ノ健康ハ万事ノ基ナレバ宜ク衛生ニ注意シ身体衣服ハ勿論兵屋ノ内外井戸ノ周囲其他圊厠ニ至ルマデモ清潔ニシ且溝渠ノ疎通方ヲ怠ルラズ

十九 汝等郷里ノ風習ニモ善良ナルモノアルベク又善良ナラザルモノモ之レアルベシト雖()久シク耳目ニ慣ルゝモノハ容易ニ其善悪ヲ識別ケ難キモノナレバ郷里ノ風習ニシテ此教令ニ違フモノハ之()ヲ捨テ違ハザルモノハ維持スル様ムベシ

二十 兵員(および其)家族ニシテ一人タリトモ此教令ニ違ヒ不都合ノ言行アルハ独リ其者一身一家ノ名誉利害ニ拘ハルノミナラズ延テ兵村全体ノ名誉利害ニ関レバ一家内ハ申ニ及バズ他人ニ於テモ其之()アルヲ知リタルハ密ニ其本人ニ訓忠告ヲナシ速ニ改ムル様互ニ相勗ムベシ訓忠告再三ニ及ブモ尚ホ改メザルトキハ上官ニ申出デ何分ノ置ヲ仰グベシ

右教令ノ件々堅ク相守ルベキモノ也

    明治三十一年五月 日                       屯田歩兵第四大隊

 前号の教令と比較して、表題からして「屯田兵」と「兵員」で違います。配布された年は『屯田兵および家族教令』が「明治30(1897)5月」なのに、『兵員及家族教令』は1年後の「明治31年5月 日」で、本文は読みにくいカタ仮名書きになっています。不思議ですね。(続く)

《分庁舎だより》☆『広報きたみ』10月号に清水昭典先生の『北見史の広がりと深さ』が連載終了とありました。清水先生、本当にお疲れ様でした。先生にはまだまだご教示頂きたいことがたくさんありますので、今後ともよろしくお願いします。後任の伊藤公平さん、頑張ってください。

 
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