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「ところ遺跡の森」便りは北見市常呂自治区内で『広報きたみ』に折込で配布されている社会教育情報内に毎号掲載しているものです。
イベント案内をはじめ、考古・自然など「ところ遺跡の森」に関連する情報を毎月お届けしています。
(毎月初め更新予定。ここに掲載したものは、写真・文章は当初掲載時のものから一部変更している場合があります。)
以前の記事は以下のリンクからご覧ください。
実りの季節である秋には、様々な草木が実をつけます。紅葉で黄色く色づいた森の中で、特に目につくのは赤い実です。遺跡の森で見られるものだけでも、エゾニワトコ、ユキザサ、コウライテンナンショウ、マイヅルソウなど、赤い実のなる植物にはいろいろあります。
なかでも変わった形の実をつけるのがマユミやオオツリバナなど、ニシキギの仲間(ニシキギ属)の木です。これらは濃い桃色の実を結ぶのですが、熟すと実の下部が割れ、内側の赤い種子が吊り下がって見えるようになります(写真1)。花は初夏に咲くのですが、黄緑色の小さなものであまり目立ちません。実のほうが鮮やかな色で、下向きに咲いた花のように見えます。この赤い種子、野鳥は食べるようですが、じつは毒があり、人が口にするとおなかをこわしてしまいます。そのためなのか、すぐに動物に食べ尽くされてしまうということもなく、実が冬まで残っていたりします。
一方、ニシキギの仲間は材がよくしなり丈夫なため、弓の材料として使われたことが知られています。なかでもマユミの木が良質とされ、そのため「マユミ=真弓」という名前が付けられています。常呂川河口遺跡ではアイヌ文化期の木製の弓が発見されていますが(写真2)、やはりニシキギの仲間が使われていたという調査結果が得られています。食用にはなりませんが、古くから利用されてきた身近な木だったのです。
今年も8月後半から9月前半にかけて、東京大学による大島1遺跡の発掘調査が行われました。昨年から継続して擦文時代の竪穴住居跡が調査され、土器や焼けて炭化した住居の部材などが発見されています。
今年度の調査は、写真のような状態から発掘が開始されました。調査途中の発掘現場では、このように十字形の帯状に一部を掘り残した状態を目にすることがよくあります。この帯状の部分はセクションベルトと呼ばれ、調査のためわざと掘り残されたものです。発掘の際には、土の堆積状況を確認しながら掘り進める必要があります。たとえば今回のような竪穴住居跡の場合、土中に掘った竪穴が土で埋まっているわけで、その土と土との境目を見分けなければなりません。さらにややこしいことに、通常は竪穴の縁の部分が崩れ、その土が竪穴内に流れ込んでしまっています。この場合、上から面的に掘り下げていくよりも、垂直方向から見たほうが土の重なりを見分けやすくなります。そこで、発掘は次の手順で進められます。最初にセクションベルトに沿った部分を溝状に発掘し、土の堆積状況を確認します。そしてここで得られた情報を元に、周囲を掘り広げます。最後にセクションベルト部分を発掘するわけです。
発掘調査は単なる「宝さがし」とは異なり、こうした地味で繊細な作業の積み重ねで行われているのです。
お問い合わせ |
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北見市教育委員会社会教育部 ところ遺跡の森 郵便番号:093-0216 住所:北海道北見市常呂町字栄浦371番地 電話:0152-54-3393 FAX:0152-54-3538 |