「ところ遺跡の森」便り【2025年10月~】

 「ところ遺跡の森」便りは北見市常呂自治区内で『広報きたみ』に折込で配布されている社会教育情報内に毎号掲載しているものです。
 イベント案内をはじめ、考古・自然など「ところ遺跡の森」に関連する情報を毎月お届けしています。
 (毎月初め更新予定。ここに掲載したものは、写真・文章は当初掲載時のものから一部変更している場合があります。)

以前の記事は以下のリンクからご覧ください。

2026年1月 冬の野鳥

 冬は野鳥が少なめの時期ですが、天気のよい日には野鳥の声や姿に触れることができます。最もよく見られるのはハシブトガラ、シジュウカラ、ゴジュウカラといった鳥です。どれも似たような大きさの鳥で、遺跡の森では一年中見られるのですが、とくに冬には一緒に混じって群れをつくっています。比較的低い位置まで降りてくることも多いため、見つけやすい鳥です。
 このうちハシブトガラは、日本列島では北海道にしかいません。ただし外見は日本全国で見られるコガラという鳥とあまり変わらないものです。細かい違いがあるようなのですが、動き回る姿から特徴を見分けるのはなかなか難しそうです。最も分かりやすい違いはさえずりで、そこから遺跡の森にいるのはほとんどがコガラではなくハシブトガラであることが分かります。遺跡の森では12~2月の真冬にも、ハシブトガラが「ヒヨヒヨヒヨヒヨ」と高い声で朗々とさえずっていることがあります。小さな体からすると、驚くほどよく響く声です。
 冬にはハシブトガラやシジュウカラの群れにシマエナガが混じっていることもあります。人気のある鳥ですが、警戒心が強くなかなか姿は見せてくれません。鳴き声を知っておくとよいのですが、擬音にしにくく1回聞いて覚えたほうがよいです。
 遺跡の森でもウェブサイトで野鳥の声を紹介していますので、試しに聞いてみてください。

シマエナガ
シマエナガは見つけたとしてもかなり遠くの場合が多いので、観察には双眼鏡などの使用をおすすめします。

2025年12月 東京大学常呂資料陳列館・特別展示開催中

 ところ遺跡の森内にある東京大学常呂資料陳列館にて、特別展示「擦文文化の暮らし新発見-北見市大島2遺跡発掘調査速報展-」が開催されています(12月22日(月)まで、開館時間:9時~17時)。
 大島2遺跡は常呂森林公園などがある丘陵上の遺跡で、2017年から2022年にかけて東京大学常呂実習施設により発掘調査が行われました。発掘終了後、調査成果をまとめる作業が続けられていましたが、今回の展示はその成果を発表するものです。大島2遺跡には58基の竪穴住居跡が残されていますが、このうち5基が調査されました。いずれも擦文時代の終わり(12世紀)頃のものと考えられています。展示ではその中でも最後に行われた5号竪穴の調査の成果を中心に紹介しています。展示されている土器や紡錘車など当時の住居で使われた道具類は、今回初めて公開されるものです。また、オオムギやアワ、キビといった食料関連の出土資料も展示されています。これらは非常に微小なもので、発掘した土をふるいにかけて回収したという苦労の成果と言えるものです。こちらの見学は無料ですので、この機会にぜひ足を運んでみてください。

大島2遺跡出土の擦文土器
【写真】大島2遺跡出土の擦文土器

2025年11月号 オホーツク文化の楽器

 去る10月5日、トコロチャシ跡遺跡群内の竪穴住居保存展示施設にて、「古代遺跡で聴くトンコリの調べ」を開催しました。当初想定していた以上の集客で、ご来場いただいた方々には改めて御礼を申し上げます。
 竪穴住居に住んでいた昔の人々も、たき火を囲みつつ歌や音楽を楽しんだことはあったに違いないのですが、実際にその証拠が遺跡から発見されることはほとんどありません。
 楽器を連想させるものとして、トコロチャシ跡遺跡群では、オホーツク文化の住居跡から写真1のものが見つかっています。ちょうどトンコリの上部にそっくりな形状ですが、長さは8cm程度しかありません。実は、似た形状のものは縄文時代以降、日本各地で出土例があります。はっきりと分かっているわけではないですが、楽器ではなく弓の端部に付けた部品とする説が有力です。一方、オホーツク文化の楽器として間違いないものとしては、常呂川河口遺跡出土の鐸(たく)(写真2)があります。上端部しか残っていないのですが、本来はゆすると音が鳴る小形のベルだったと考えられるものです。

弦楽器の頭部に似た遺物
【写真1】トコロチャシ跡遺跡出土の角製品
ベルの断片
【写真2】常呂川河口遺跡出土の鐸断片

 当時の音楽を想像するにはかなり頼りない状態ですが、竪穴住居は音響的にも悪くはないようです。折を見てまた楽器演奏の機会を設けたいと考えていますので、今回来られなかった方もぜひお越しいただければと思います。

2025年10月号 トコロチャシ跡遺跡群公開特別企画「古代遺跡で聴くトンコリの調べ」のお知らせ

 10月5日、トコロチャシ跡遺跡群にて「古代遺跡で聴くトンコリの調べ」を開催します。遺跡の歴史解説と、トンコリをはじめとした民族楽器の演奏を楽しむ企画です。

○日時:令和7年10月5日(日)
14:00~15:00(13:30開場)
○会場:トコロチャシ跡遺跡群
竪穴住居跡保存展示施設
入場無料、定員30人としておりますが、立ち見などでもよろしければ定員を超えても受け入れを行う予定です。

 今回の演奏には民族楽器の演奏バンド「ルイカ」の皆さんをお招きしています。アイヌ伝統のリズムをアレンジしたオリジナル楽曲の演奏で、道内各地のイベントで活躍されている方々です。樺太アイヌの竪琴であるトンコリに、縄文太鼓、筝、大形の笛であるディジュリドゥ、打楽器のティンシャを加えた独特の編成となっています。アイヌの楽器そのものではないものも入っていますが、笛や太鼓など同種の楽器はあったことが知られていますので、似たような音の構成を想定したものとなっています。
 トンコリは、遺跡の森内の「ところ埋蔵文化財センター」でも民族資料として展示しています。この機会に、その実際の音色にもぜひ接してみてください。

トンコリの画像
トンコリ(ところ埋蔵文化財センター)

お問い合わせ
北見市教育委員会社会教育部
ところ遺跡の森
郵便番号:093-0216
住所:北海道北見市常呂町字栄浦371番地
電話:0152-54-3393
FAX:0152-54-3538
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