市政執行方針(令和5年3月)

北見市長

1.はじめに

 令和5年第1回定例北見市議会の開会に当たり、新年度の市政執行に対する私の所信を申し上げます。

 私はこれまで、生まれ育ったふるさと北見への熱い思いを胸に、解決すべき多くの課題に一つひとつ対応し、本市のさらなる発展に向け、強い決意で市政を運営してまいりました。
 平成27年9月の市長就任以来、時代は平成から令和へと移り、7年半が経ち、本年は2期目の締めくくりの年となります。

 WHO、世界保健機関のパンデミック宣言から3年、新型コロナウイルス感染症の世界的流行は、私たちの生活や社会、経済のありようを一変させました。
 本市においては、令和2年2月に感染者が確認されて以来、市民の命と生活を守ることを最優先に、迅速なワクチン接種や生活等緊急支援金の支給、プレミアム付商品券発行など種々の感染症対策や経済対策に全力を尽くしてまいりました。
 国においては、本年1月、コロナ禍前の日常を取り戻すため、5月8日から感染症法上の位置づけを現在の2類相当から季節性インフルエンザと同じ5類へと移行する方針を決定いたしました。
 長期化する新型コロナウイルス感染症への対応は、この春、新たな局面を迎えようとしております。
 
 私は、国や道と歩調を合わせ、ワクチン接種など必要な対策を引き続き講ずるとともに、ポストコロナ社会を見据えた新時代への対応を図る必要があると考えております。
 たとえば、コロナ禍は、物理的な距離を取らざるを得ない状況を生み、私たちにテレワークやオンライン会議といった働き方やライフスタイルの多様化をもたらしました。
 また一方で、町内会や自治会をはじめとする対面での交流を伴う活動の停滞は、人と人のつながりや地域の絆さえも大きく変容させ、それが徐々に当たり前となりつつありますが、時代が移っても、その大切さが変わることはありません。
 コロナ禍を乗り越えた先にあるポストコロナ社会に求められることは、つながりを再構築し、さらに災害時などにも頼りとなるよう強靭化していくことであります。
 コロナ禍によって中止や縮小を余儀なくされた活動が再開されつつある今、新たな発想も取り入れながら、誰もが心豊かに暮らせるよう、人と人のつながり、人と地域のつながりにより重きを置いた市政運営に努めてまいります。

 私は、およそ半世紀にわたり行政に携わってまいりましたが、今日ほど変化が激しく、不確実性が高い時代はなかったと、日々感じているところであり、2期目の仕上げとなる本年を、新たな挑戦を続け、さらにその歩みを進める年とするため、全身全霊を傾け取り組んでまいります。

2.市政運営の基本姿勢

 次に、新年度の市政運営の基本的な考え方について申し上げます。

 コロナ禍は、わが国の少子化や人口減少をも加速させ、生産年齢人口の減少による人手不足の影響は本市にも及んでおります。
 さらにウクライナ情勢等に伴う原油価格・物価高騰の影響も相まって、本市を取り巻く環境は大きく変化し続けております。
 こうした厳しい状況にあるからこそ、単にコロナ禍前を取り戻すのではなく、ようやく兆しが見えつつあるポストコロナ社会を見据え、本市を新時代にふさわしい姿へと進化させていくために、SDGsの理念を踏まえつつ、これまでの取組を土台として、デジタル化や脱炭素化を加速させ、持続可能な地域社会を創造してまいります。

 昨年3月の「北見市SDGs推進指針」策定、そして、昨年9月に、北見地域定住自立圏を形成する近隣4町と共同で提案した「地方圏において誰もが住み慣れた地域で暮らし続けられる仕組みづくりプロジェクト」が国から「広域連携SDGsモデル事業」に選定されたことを契機として、今後もSDGsの視点を取り入れながら、ローカルSDGsを推進してまいります。
 昨年の夏に開催された「夏のDigi田甲子園」の実装部門で、本市の「書かないワンストップ窓口」の取組がベスト4に選ばれたほか、国において、全国へ横展開できる先進事例としてご紹介いただくなど、本市のさらなるDX推進に向け、大変大きな励みとなったところであります。
 デジタル化の取組に向けては、昨年11月に本市のDXの司令塔として新たにDX推進室を設置し、専任の体制を整えたところであり、新年度においては、先月策定した「北見市DX推進指針」を基に「北見市DX推進計画」を取りまとめ、市民の利便性向上や業務効率化等の視点から、今後のデジタルを活用した変革の方向性と具体的な施策を推進すべく検討してまいります。
 また、これまでの取組に加え、先ほど申し上げました「広域連携SDGsモデル事業」の一環として、現在、市役所本庁舎と総合支所庁舎間で導入を進めている「リモート窓口」によるオンライン相談を開始し、広域な本市において、市民の皆さまの利便性向上を図るとともに、「書かないワンストップ窓口」に次ぐ窓口業務改革へとつなげるなど、市役所内部の業務の効率化にとどまらない、自治体DX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進してまいります。

 脱炭素化の取組に向けては、それを大きな成長戦略と捉えるとともに、昨年宣言を行ったゼロカーボンシティの実現に向け、温室効果ガス排出量の削減に向けた取組、GX(グリーン・トランスフォーメーション)を進めてまいります。
 断熱などの省エネ改修工事への支援や市有林から創出されたJ-クレジットの販売を行うほか、端野総合支所庁舎と3つの公共施設において照明設備をLED化するなど、今年度策定する「北見市地球温暖化防止実行計画(区域施策編)」の実践を通じて、GXを官民一体となって推進してまいります。

 ただいま申し上げました視点に加え、中長期的な視点から、激甚化し頻発する自然災害、本格的な少子高齢・人口減少社会の到来による社会構造の変化など、さまざまな課題に確実に対応していくという基本的な考え方のもと、今般、「第2期北見市総合計画」前期基本計画に掲げる各施策を具体的に進める第5次実施計画を策定いたしました。
 限られた財源の中で、より高い効果が生み出せるよう、戦略的に事業を採択したところであり、総合計画に掲げる将来像「ひと・まち・自然きらめく オホーツク中核都市―未来を拓く活力創造都市 北見―」の実現に向け、歩みを止めることなく、先頭に立って取り組んでまいります。

3.令和5年度の主要施策

 次に、「第2期北見市総合計画」の5つの基本目標に沿い、新年度の主要施策について申し上げます。

(1)健康で安心して暮らせるまちづくり

 まず、健康・福祉分野においては、「健康で安心して暮らせるまちづくり」を進めてまいります。

 1点目は、「希望あふれる子育て支援の充実」であります。
 「子どもたちこそ、北見の未来である」との強い思いのもと、全ての子どもたちを社会全体で健やかに育んでいくため、新たにこども家庭庁を設置する国の動向も見極めながら、引き続き子どもを産み育てやすい環境を整えてまいります。

(子育て支援の充実)
 母子健康手帳交付時の面談や産後ケア、保健師の乳児家庭全戸訪問に加え、新たに妊娠8か月前後のアンケートや希望者への面談など、必要な支援に結びつける伴走型の相談支援を行うとともに、出産・子育て応援給付金を支給し、妊娠から出産、子育てに至るまでの切れ目ない支援を充実させてまいります。
 また、4月下旬には、まちきた大通ビル6階に屋内子ども遊戯場「パラきたKids」をリニューアルオープンさせ、多くの皆さまに何度もご利用いただけるよう努めるとともに、中心市街地のにぎわい創出にもつなげてまいります。
 さらに、子育て世代の経済的な負担を軽減するため、骨髄移植等により免疫を失った子どもへの予防接種の再接種費用助成を開始するほか、物価高騰の影響に伴う学校給食費の改定に対し、新年度は、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し、増額分全額を助成いたします。
 加えて、「子ども家庭総合支援拠点」を本年4月に開設し、児童相談所など関係機関と連携しながら、虐待の発生予防と早期発見、早期対応に向けた相談支援体制を強化してまいります。

(児童福祉と幼児教育の充実)
 次に、児童福祉と幼児教育については、「第3期北見市子ども・子育て支援事業計画」策定に向けて、子育て世代の多様なニーズを把握する市民アンケートなどを行ってまいります。
 また、新年度からとん田保育園において新たに一時預かりを開始するほか、私立の保育所等における送迎用バスの安全装置導入への助成など、子どもの安全を守るために必要な支援を行ってまいります。

(青少年の健全育成活動の推進)
 次に、青少年の健全な育成に向けては、今年度全ての市立児童館、フレンドセンターに整備した無線LAN環境に対応するタブレット端末や大型デジタルテレビを配置し、インターネットを活用した新たな育成活動を展開するとともに、オンライン会議の導入などによる業務の効率化により、職員が児童と向き合う時間を増やすことで、放課後児童クラブの質の向上を図ってまいります。

 2点目は、「健康に暮らせる保健・医療の充実」であります。

(健康づくり推進体制の充実)
 市民の生涯を通じた健康づくりを推進する新たな拠点となる保健センターについては、本年11月上旬の供用開始を目指し、まちきた大通ビル4階での整備を引き続き進めてまいります。

(自ら取り組む健康づくりの促進)
 次に、市民のさらなる健康意識の向上と健康寿命の延伸に向けては、新たに毎日のウォーキングや健診の受診などに応じてポイントを付与する「健康づくりポイント」を開始し、楽しみながら継続的に取り組む健康づくりを促進してまいります。
 さらに、若い世代の健康づくり意識を高めるため、30歳代の市民を対象とした若年層健康診査を開始いたします。
 また、「第4期北見市健康増進計画」と「第2期北見市食育推進計画」を包含して「第2期北見市健康づくり計画」を策定いたします。

(地域医療の充実)
 次に、地域医療では、コロナ禍の経験も踏まえ、将来にわたり市民が安心して医療を受けられる体制を維持するため、医療機関を市内に新規開設する医師または医療法人に対する支援制度を創設し、誘致活動を強化してまいります。
 さらに、休日夜間急病センターについては、令和6年7月の供用開始を目指し、中央大通沿道地区への移転整備を進めてまいります。
 また、医療、福祉情報の連携強化に向け、医療福祉情報コミュニティ活動への支援を拡充してまいります。

3点目は、「支えあう福祉の推進」であります。

(地域福祉活動の促進)
 障がいのある方の地域生活支援と成年後見制度の普及利用促進によって、高齢者と障がいのある方の権利を守り、その生活を北見地域定住自立圏全体で支えていく取組については、国から「広域連携SDGsモデル事業」に選定されたところであり、行政、社会福祉協議会、障がい福祉サービス事業所など関係機関が連携を強化し一体となって、引き続き、誰もがいきいきと自分らしく暮らし続けることができるやさしい共生社会の実現を目指してまいります。


(高齢者福祉の充実)
 次に、高齢者福祉については、高齢者施策の方向性や介護保険事業の円滑な運営方策などを示す「第9期北見市高齢者保健福祉計画及び北見市介護保険事業計画」を策定いたします。
 また、自分の思いを人に伝えることが難しい認知症の方などに「希望をかなえるヘルプカード」を配布し、社会参加を応援するとともに、援助や配慮を必要としている方々への理解をより一層深める取組を進めてまいります。

(障がい者福祉の充実)
 次に、障がい者福祉については、障がい福祉サービスの提供体制の確保方策などを示す「第7期北見市障がい福祉計画」を策定いたします。
 また、コミュニケーション支援の充実を図るため、聴覚障がいのある方への要約筆記者の派遣を開始するとともに、手話通訳者等の確保、養成に取り組んでまいります。
 さらに、多様な人材の活躍を推進するため、現在行っている事業所へのアンケート調査も踏まえ、障がい者就業・生活支援センターなどとも連携しながら、障がいのある方の就労支援に取り組んでまいります。

(2)豊かな心と文化を育むまちづくり

 2つ目の教育・文化分野においては、「豊かな心と文化を育むまちづくり」を進めてまいります。

 1点目は、「豊かな心を育む教育の推進」であります。

(学校教育の充実)
 学校教育については、児童生徒1人に1台ずつ整備したタブレット端末などICT機器の積極的な活用により、国のGIGAスクール構想を着実に推進し、個別最適な学びと子ども同士の学び合いを一層進めてまいります。
 また、新たに指導者用デジタル教科書を導入し、教育効果を高めるとともに、準備時間の短縮など業務の効率化により、教員が児童生徒と向き合う時間を増やし、授業の質の向上を図ってまいります。
 さらに、令和8年度をめどとして、全市立学校の2校に1人を配置する計画である学校司書の増員を行うなど、子どもたちの読書環境の充実に取り組んでまいります。
 このほか、学校施設の長寿命化では、東小学校と南小学校において現況調査を行うほか、相内小学校と光西中学校において基本・実施設計を進め、安全で快適な教育環境の計画的な整備を行ってまいります。

(地域との連携による教育の推進)
 市立学校における部活動については、新たに専任職員を配置し、本市の実情に即した地域移行のあり方の議論を深めてまいります。
 また、本市の地域資源であるカーリングを核としたスポーツ・健康まちづくりの取組の一環として、市立学校におけるカーリング授業を引き続き推進してまいります。

(高校・大学等教育の充実)
 次に、高校・大学等教育については、経済的理由により修学困難な生徒及び学生に対する奨学金や入学準備金貸付などを継続してまいります。
 また、本市に所在する北見工業大学及び日本赤十字北海道看護大学をはじめとする高等教育機関と連携し、大学の研究成果などを持続可能なまちづくりにつなげてまいります。

 2点目は、「ともに学びあう生涯学習の推進」であります。

(生涯学習の充実)
 生涯学習の拠点である図書館については、現在の端野図書館と端野町歴史民俗資料館を機能集約し、新たな端野図書館として令和9年度のリニューアルオープンを目指し、基本・実施設計に着手いたします。

(生涯スポーツの推進)
 また、子どもの運動意欲向上を目的に平成28年度に開始した多種目体験型スポーツ教室「Jr.アスリートチャレンジアカデミー」については、児童に大変好評であり、新年度から対象を現在の小学2・3年生から小学6年生までに拡大し、誰もがスポーツに親しむことのできる生涯スポーツをさらに振興してまいります。

 3点目は、「地域文化を育む文化活動の推進」であります。

(芸術・文化活動の振興)
 市民ホールや公民館における音楽や演劇等の公演、北網圏北見文化センターにおける美術企画展などを通じて、市民の皆さまに質の高い芸術・文化を身近に感じていただける機会を提供し、感動や楽しさをお届けしてまいります。

(文化財の保護・継承)
 文化財の保護・継承については、常呂川河口遺跡墓坑出土品の価値が認められ、新年度に国の重要文化財に指定される見込みとなったことから、引き続き東京大学と連携し、地域の歴史や魅力を象徴する文化財の保存に取り組んでまいります。
 また、これを契機と捉え、令和6年9月の供用開始を目指し整備を進めている史跡常呂遺跡のトコロチャシ跡遺跡群とともに観光資源としての魅力を高める取組を進めてまいります。
 さらに、北海道遺産及び市指定文化財であるピアソン記念館とかつての北見ハッカ隆盛期を象徴する昭和12年築の仁頃ハッカ御殿において、改修計画の検討に向けた現況調査を行ってまいります。

(地域間・国際理解の推進)
 本年は、高知県佐川町と姉妹都市提携を結んで35周年、岐阜県大野町と友好都市提携を結んで25周年を迎える節目の年であります。
 両町との記念式典をはじめ国内外の姉妹友好都市などとの多様な交流を通じ、友好関係をさらに深めてまいります。
 また、本市と近隣4町で形成する北見地域定住自立圏については、定期的に首長会議を開催し、圏域の将来像についての意見を交わすなど、今後も中心市としての役割を果たしながら、連携をより強固なものにしてまいります。
 さらに、多文化共生に向けては、技能実習などにより外国人の増加が見込まれることから、本市在住外国人に対して行った日常生活の困りごとに関するアンケート調査なども踏まえ、必要とされる支援の検討を行ってまいります。

(3)にぎわいと活力あふれるまちづくり

 3つ目の産業・観光分野においては、「にぎわいと活力あふれるまちづくり」を進めてまいります。

 1点目は、「魅力と活力ある産業振興」であります。
第1次産業は本市の産業の根幹をなすものであり、持続可能な第1次産業なくして、北見の未来はありません。

(持続的に発展する農業の振興)
 まず、農業では、今年度策定する「第4次北見市農業振興計画」に基づき、全国一の生産量を誇るたまねぎをはじめ、てん菜、小麦、ばれいしょなどの土地利用型農業や酪農・畜産業について、未来へつながる力強い農業を目指してまいります。
 そのために、環境負荷低減に取り組むクリーン農業や農業者の高齢化などを踏まえた新規就農者等の担い手への支援を継続してまいります。
 また、ほ場整備など計画的な土地改良事業を進め、生産性の向上を図るほか、石れきの破砕、除去による土壌改良について、助成してまいります。
 さらに、農作業の省力化と効率化を図るため、防除などに用いる農業用ドローンの技能講習受講費用に助成し、スマート農業を一層推進してまいります。
 このほか、これまでの人・農地プランに替わる目標地図を含む本市の地域計画の策定に向けては、各地域における丁寧な協議を進めてまいります。

(豊かな林業の推進)
 林業では、ゼロカーボンシティの実現に向け、温室効果ガスを吸収する森林の役割が注目されており、森林資源の適正管理と循環利用を進め、持続的な林業の推進を図ってまいります。
 新年度においては、森林環境譲与税を活用した取組を拡充し、搬出間伐の促進に向けた支援を行うとともに、市内のイベント会場において、林業体験シミュレーターのブースを設置し、市民の皆さまの林業への関心を高めてまいります。

(活力に満ちた水産業の推進)
 水産業では、道が進める水産物供給基盤機能保全事業基本計画に基づき、引き続き、常呂漁港、栄浦漁港及び第2サロマ湖漁場の機能保全を図るほか、サロマ湖キムアネップ岬沖において常呂漁業協同組合が行う航路確保のための浚渫工事を支援してまいります。

(地域に根づいた工業の振興)
 次に、工業については、テレワークを主軸とした企業や人材の誘致と集積を図るため、従業員の移住と連動する本市独自の雇用助成制度やワーケーションの魅力など、本市の優位性を都市部のIT関連企業に発信してまいります。
 さらに、進出企業と地元企業とのマッチングによるICT産業創出に取り組み、デジタル技術を活用した地域産業の高度化を「地域の稼ぐ力」の向上につなげてまいります。

(活気ある商業活動の促進)
 商業については、中心市街地の拠点施設であるまちきた大通ビルの計画的な改修を進めてまいります。
 さらに、経済団体などと組織する北見市中心市街地活性化協議会と連携し、まちきた大通ビルでの屋内子ども遊戯場「パラきたKids」と保健センターの開設を機に、新たに生まれる人の流れを周辺の商店街や商業施設にも広げ、まちのにぎわい創出につなげる取組を進めてまいります。

(地域経済を支える中小企業の振興)
 本市の事業所のほとんどを占め、経済と雇用の基盤を支える中小企業を北見市中小企業振興基本条例に基づき振興し、その持続的な発展につなげるため「第2期北見市中小企業振興プラン」を策定いたします。
 また、新たなチャレンジを行う創業者を後押しし、創業の裾野を広げるため、創業支援制度による助成に加え、新たに創業時の制度融資に係る信用保証料補給を行うなど、開業前からの切れ目ない支援を行ってまいります。
 さらに、地域課題の解決とビジネスの両立による地域の活性化に向けて、異業種の若手人材などが参加する「北見未来創発プロジェクト」を開催し、本業を生かしてできるビジネスマッチングを通して、北見の未来を拓く新たなビジネスモデルの創出につなげてまいります。

 2点目は、「にぎわいと交流の観光振興」であります。

(着地型観光の推進)
 コロナ禍を通じた環境の変化等を踏まえ、新たな「北見市観光推進プロジェクト」を策定し、ポストコロナ社会の新時代に即した持続性の高い着地型観光の実現を目指してまいります。
 また、国内の観光需要を取り込むため、北見ぼんちまつりの70周年を記念するイベントを開催するとともに、山の水族館の出前水族館開催などを通じて北見の魅力を市内外に積極的に発信し、本市への誘客を促進してまいります。
 このほか、観光PRにとどまらず、自然と都市機能の調和といった本市の優位性を市内外へ広く発信するシティ・プロモーションを継続し、交流人口、関係人口、定住人口の拡大に向けた取組を進めてまいります。

(インバウンド対応の推進)
 さらに、ポストコロナ社会を見据え、海外における北海道ブランドの人気や円安基調を背景として、本市の魅力を広く国外に発信するとともに、ツール・ド・北海道の本市開催やアドベンチャー・トラベル・ワールド・サミットの道内開催などのまたとない機会を捉え、インバウンド再開に向けた受入体制を整えるなど機運を醸成し、広域で取り組んでいるサイクルアドベンチャーなどへの誘客につなげてまいります。

 3点目は、「創造性あふれる雇用環境の充実」であります。

(人材の定着・確保と雇用の促進)
 若者の地元への就労促進については、若者就活応援センターのウェブサイトに加え、今年度作成した企業紹介動画や「北見市移住しごとガイドブック」による情報発信を本格化させます。
 また、道と連携し、東京圏からのUJIターンによる就業・起業者及びテレワーク移住者に対する交付金を支給するなど、地域ぐるみで若者人材を確保し、地元企業との雇用マッチングを行ってまいります。

(多様な就労環境の創出)
 中心市街地にある宿泊機能を備えたコワーキングスペース「KITAMI BASE」は、国からも大きな期待をいただき、テレワークを活用してUターンした移住者やワーケーションでの来訪者などの交流の場として注目されております。
 市外の企業にこの施設を活用した「転職なき移住」やワーケーションなどの働き方を提案すると同時に、暮らしやすく働きやすいまち北見の魅力を積極的に発信し、都市部から本市へのより多くの人の流れを生み出してまいります。

(4)自然と調和する安全な住みよいまちづくり

 4つ目の環境・生活基盤分野においては、「自然と調和する安全な住みよいまちづくり」を進めてまいります。

 1点目は、「豊かな自然環境の保全」であります。

(自然共生と緑豊かな環境の創出)
 野付牛公園の再整備に向けた実施設計のほか、屯田の杜公園内の親水施設であるウォーターパークと周辺緑地帯の再整備に向けた実施設計を進め、自然とふれあえる生活環境を整えてまいります。
 また、良好な河川環境を維持するため、北見工業大学との共同研究により、計画的に市内の小河川における水質や底生生物等の調査を行い、河川の状況を総合評価してまいります。

(地球環境に配慮した低炭素型・循環型社会の構築)
 次に、脱炭素社会の構築については、ゼロカーボンシティの実現に向けて、今年度策定する「北見市地球温暖化防止実行計画(区域施策編)」を踏まえ、「第2次北見市環境基本計画」及び「第3次北見市役所地球温暖化防止実行計画」を改訂するとともに、温室効果ガス排出量の削減に向けた取組として、公用電動自動車の導入や公共施設における照明設備のLED化などを一部前倒して進めてまいります。
 次に、循環型社会の構築に向けては、多発している不法投棄を未然に防ぐため、監視カメラ等を増設するほか、廃棄物処理場のリサイクルプラザにおいて、将来にわたる温室効果ガス排出量とトータルコストを縮減させる基幹的整備を進め、廃棄物の安定した処理体制を整えてまいります。

 2点目は、「快適な生活空間の充実」であります。

(機能的な都市空間の創出)
 「北見市都市再生基本構想」における2拠点1軸の1軸として、民間事業者が行う中央大通沿道地区の第一種市街地再開発事業については、昨年12月に施行認可をしたところであり、今年度中の権利変換計画認可、そして新年度の着工に向け、引き続き、道などの関係機関と必要な協議を進めるとともに、円滑な事業遂行のための支援を行ってまいります。
 また、コンパクトなまちづくりの指針となる「北見市立地適正化計画」を策定いたします。

(道路網の充実)
 道路網の充実に向けては、各期成会などを通じた高規格道路網等の整備促進に向けた要望活動が良い結果につながりつつあり、北海道横断自動車道及び遠軽北見道路について、事業中区間の整備促進と未事業化区間の早期着手を引き続き国や道に強く働きかけてまいります。
 また、交通の利便性や安全性のさらなる向上のため、緊急性や必要性を勘案しながら市道の整備を順次進めてまいります。
 さらに、事業者へ貸し出す除雪車両の増車や除雪グレーダなどを計画的に更新し、冬期間における安定した除雪体制を確保してまいります。

(公共交通の確保)
 次に、公共交通の確保については、新年度がJR石北本線の維持・存続に向けて、地域の関係者とJR北海道が一体となり、5か年にわたり取り組んでいるアクションプランの最終年度であることから、オホーツク圏活性化期成会石北本線部会や市独自の利用促進活動などを継続し、持続的な鉄道網の確立に向け取り組んでまいります。
 また、「北見市地域公共交通網形成計画」に基づき、待合環境の整備や路線バス運行経路の見直しに係る実証運行などを行い、市民の皆さまが利用しやすい公共交通環境を整えてまいります。

(良質な住宅・住環境の形成)
 良質な住環境の形成に向けては、社会経済情勢の変化等を踏まえ、「北見市住宅マスタープラン」の見直しを行うほか、管理不全な空家等の除却費助成を行うなど対策を推進してまいります。
 また、市営住宅については、北見自治区の高栄団地及び若葉団地、端野自治区の親交団地、常呂自治区の北進町団地、留辺蘂自治区の公園団地の建替を継続するほか、「北見市公営住宅等長寿命化計画」に基づく外壁などの改修を行い、安全で良質な住環境を整えてまいります。

(水道水の安定供給と下水処理の確保)
 次に、上下水道事業については、日々の生活に欠かせないライフラインである水道水の安定的な供給と下水処理による衛生的な住環境維持及び公共用水域の水質保全を図るため、中長期的な視点から、アセットマネジメントの手法による計画的な施設更新を進めてまいります。

 3点目は、「地域の安全安心の確保」であります。

 本年は、関東大震災から100年の節目を迎えます。
 いつどこでも起こり得るリスクに対し、危機を未然に防ぎ、被害を最小限にとどめる取組を進め、迅速かつ的確に対応できる災害に強くしなやかなまちづくりを進めてまいります。

(防災の強化)
 まず、防災・減災の取組としては、「洪水ハザードマップ」と災害に対する心得などを掲載した「防災いつでもノート」を更新し、市内全戸に配布するとともに、スマートフォンなどに対応した「ウェブハザードマップ」と「3D洪水ハザードマップ」を導入いたします。
 また、災害時に自力で避難することが困難な高齢者や障がい者の方などが円滑に避難できるよう、個別避難計画の作成を進めてまいります。
 食料や発電機などの災害用備蓄品については、引き続き整備を進めるとともに、浸水想定区域外での防災備蓄倉庫の新設に向け、基本・実施設計を進め、防災備蓄機能の強化を図ってまいります。
 そのほか、暴風雪や豪雪災害発生時の除雪活動等の拠点となる新たな道路維持センターを本年5月に供用開始いたします。

(地域の安全の確保)
 次に、地域の安全の確保については、交通安全の確保に向けて、道路区画線の再塗装を計画的に行うほか、市民の皆さまに安心して公共施設をご利用いただけるよう、AEDを計画的に設置、更新してまいります。
 また、消防車両や消防水利施設を計画的に更新し、消防・救急救命体制の充実を図ってまいります。

(消費者保護の充実)
 次に、消費者保護の充実については、手口がますます多様化、巧妙化する悪質商法や特殊詐欺などについては、成年年齢引下げに伴う新たな対応など、身近な窓口である消費生活センターにおける相談体制を充実し、消費者被害防止に取り組んでまいります。

(5)市民による自主自立のまちづくり

 最後に5つ目の地域・自治分野においては、「市民による自主自立のまちづくり」を進めてまいります。

 1点目は、「市民主体の住民自治の推進」であります。

(市政への市民参画促進)
 市政への市民参画については、「市長への手紙」をはじめ、さまざまな広聴手段によりニーズを把握するとともに、「広報きたみ」や各種SNSを活用し、市政情報を公開することにより、課題を共有してまいります。
 また、審議会委員の公募やパブリックコメントなど、政策の意思決定過程に参画できる機会を創出し、市民の皆さまとともにまちづくりを推進してまいります。

(住民自治の推進)
 次に、市民主体の協働のまちづくりに向けては、町内会への加入促進に取り組むとともに、住民自治推進交付金制度を通じ、地域コミュニティの活性化を図ってまいります。
 また、地域の拠点施設として整備してきた常呂自治区の日吉地区複合施設を供用開始するほか、まちづくりパワー支援補助金により、市民が自ら考え、自ら実践する自主的なまちづくり活動を支援してまいります。

 2点目は、「互いに尊重する地域社会の形成」であります。

(多様性を認めあう社会の実現)
 コロナ禍の影響などにより不安等を抱える女性が社会とのつながりを回復し地域社会で活躍できるよう、相談支援や女性用品の提供といった取組を継続し、誰もが性別に関わりなく個性と能力を十分に発揮し活躍できる社会を実現してまいります。

(人権尊重のまちづくり)
 また、今年度から導入したLGBTQなど性的マイノリティの方々を対象とした「パートナーシップ宣誓制度」については、転入転出に伴う手続の負担軽減を図るため、現在、札幌市、江別市、苫小牧市及び岩見沢市と締結している市町村間の連携協定を広げるほか、パンフレットなどを用いて広く性の多様性への理解を促進する取組を継続し、人権が尊重される社会を目指してまいります。

 3点目は、「効率的な地域経営の推進」であります。

(行政運営の効率化・適正化)
 多様化、複雑化する市民ニーズに対応し、暮らしやすさを高めるためには、地域の限られた経営資源を最大限に活用することが必要であります。
 そのために、現在進めている全庁的な業務内容や課題を可視化する業務量調査を踏まえ、業務プロセス等の見直し、再構築を行うほか、公共施設配置の最適化など、行財政改革の取組を一層推進してまいります。
 また、健全な財政基盤を維持するための歳入確保に向けては、国や道の政策的予算の積極的活用に加え、ふるさと納税の返礼品を通して寄附者に本市の魅力を発信し、リピーターのさらなる増加につなげるとともに、企業版ふるさと納税制度についてもさらなる増加に向けた取組を進め、より効果的、効率的な行政運営に向けて着実な取組を進めてまいります。

(行政サービスの向上)
 また、市民の皆さまの利便性向上を図るため、先ほど申し上げました市役所本庁舎と総合支所庁舎間での「リモート窓口」によるオンライン相談を開始するほか、現在、市役所本庁舎で導入を進めているキャッシュレス決済やペーパーレス化の拡大を検討してまいります。
 さらに、将来を見据えた行政サービス向上につながるマイナンバーカードについては、引き続き、利便性周知のほか申請、受取窓口の延長や休日対応など、カードのさらなる交付率向上に向けた取組を進めてまいります。

4.むすび

 以上、令和5年度の市政運営の基本的な考え方と主要施策について申し上げました。

 市長就任以来、私は、いかなるときも一貫して、ふるさと北見に笑顔があふれることを目指してまいりました。
 すなわちそれは、「笑顔は人々に元気と希望をもたらし、必ずやこのまちの未来を切り拓く原動力になるもの」と確信しているからにほかなりません。

 「過去を変えることはできないし、変えようとも思わない。なぜなら人生で変えることができるのは、自分と未来だけだからだ。」貧しい境遇にありながら、幼い頃に負った左手のハンディキャップを乗り越え、黄熱病と闘った野口英世の言葉です。

 ポストコロナの兆しが見えてきた今こそ、一歩ずつ着実に困難を笑顔に変え、今を生きるあらゆる世代、そしてこれから生まれてくる世代の誰もが希望を持って歩むことができるよう、新時代に対応したふるさと北見の持続可能なまちづくりを一層推進し、未来への責任をしっかりと果たしてまいります。
 市民の皆さま、議員の皆さまのご支援とご協力を引き続き賜りますよう、心からお願い申し上げ、新年度の市政執行方針といたします。

お問い合わせ
企画財政部企画政策課政策係
電話:0157-25-1103
メール:kikaku@city.kitami.lg.jp
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