市政執行方針(令和6年2月)

北見市長

1.はじめに

 令和6年第1回定例北見市議会の開会に当たり、新年度の市政執行に対する私の所信を申し上げます。

 昨年5月、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類へと移行し、再開された多くの行事、イベントで賑わいや笑顔を拝見するにつけ、アフターコロナに向けた世の中の動きが確実なものになっていると日々感じております。
 3年余り続いたコロナ禍が新たな局面へと移り、私たちの日常が戻りつつある中、明るい未来への希望を抱き、新年を迎えられた市民の皆さまも多かったことと思います。

 まさにその1月1日、石川県能登地方を震源とする最大震度7の大きな地震が発生し、多くの尊い命が失われ、甚大な被害をもたらしました。
 亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
 市といたしましても、応急給水支援活動として、上下水道局から給水車1台、職員4名を現地に派遣したほか、日本赤十字社を通じて義援金を贈り、被災された方の一時的な住まいとして市営住宅を無償で提供する体制を整えるなど、能登半島地震による被害への支援に取り組んでおり、被災地の一刻も早い復旧・復興を願うばかりであります。
 私は、昨年9月の市長選挙におきまして、市民の皆さまのご支持をいただき、現在3期目の市政を担わせていただいており、その職務と責任の重さを再認識しつつも、私自身の確固たる信念を胸に、この4年間邁進してまいる所存であります。

 人口減少・少子高齢化の急速な進展に加え、私の就任以降、新型コロナウイルス感染症のパンデミックなどの影響を受け、市民の皆さまの生活や価値観も大きく変化しております。
 さらには、市民生活や経済活動に深刻な影響を及ぼしている物価高騰や社会情勢の目まぐるしい変化などに加え、昨年8月には、道内全域に熱中症警戒アラートが発出されるほどの記録的な猛暑に見舞われ、とりわけ子どもたちの命を守る熱中症対策の重要性が高まりました。
 このように、本市を取り巻く環境は年々厳しさを増すとともに変化を続けております。

 先を見通しにくい大きな時代の転換期にあっても、しっかりと未来を見据え、新たな時代を切り拓く一歩を確実に踏み出していかなければなりません。
 今後のふるさと北見の未来を展望する上で、私の3期目の4年間は極めて重要な時期であり、これまでの延長線上ではない新たな挑戦と改革に不退転の決意と覚悟をもって取り組んでまいります。

2.市政運営の基本姿勢

 次に、新年度の市政運営の基本的な考え方について申し上げます。

 昨年12月、国立社会保障・人口問題研究所は我が国の地域別将来推計人口を公表し、北見市の人口は、2020年から2050年にかけて、約4万人の減少が見込まれるとともに、15歳から64歳までの生産年齢人口は、ほぼ半減するという結果が示されたところであります。
 このままでは、産業や医療・福祉、行政などあらゆる分野において担い手不足がますます深刻化し、私たちがこれまで当たり前だと考えていた社会のあり方を維持することは困難になることが懸念されます。

 本市にとって、人口減少・少子高齢化への対応は極めて難しい課題でありますが、困難な課題に向き合い、たゆまず前進していくことこそが、新たな時代に向けた挑戦にほかなりません。
 引き続き、人口減少・少子高齢化のペースをできる限り緩やかなものとする取組はもとより、本市が将来にわたって持続可能なまちであり続けていくための基盤づくりに、危機感を持って早急に取り組んでいかなければなりません。

 確実に進む少子高齢化に対応していくためには、結婚前から妊娠、出産、子育てに至る各段階での切れ目ない支援の充実を図るとともに、地域共生社会の実現に向けて地域包括ケアシステムを推進していくことがますます重要になっております。
 さらには、急速に発展するデジタル技術により地方の社会課題を解決する自治体DX(デジタル・トランスフォーメーション)に加え、GX(グリーン・トランスフォーメーション)、防災・減災、国土強靭化などを着実に前に進め、それらを活力ある地域社会の実現につなげていく必要があります。
 新年度におきましては、これらの視点なども十分踏まえ、「北見市人口ビジョン」の改訂を行うとともに、「第3期北見市地方創生総合戦略」を策定し、本市の目指すべき姿をお示しいたします。
 
 政府は、昨今のロシアによるウクライナ侵攻を背景とした国際的な原材料価格の高騰や円安の影響等によるエネルギー・食料価格の高騰に打ち勝つため、持続的な賃上げを目指しており、その実現なくして日本経済の発展はないと私も認識しております。
 しかしながら、物価高騰やインフレ基調の経済により影響を受けている私たちの家計と同様に、本市の財政もまた、大きな影響を受けていることは歴然とした事実であります。

 加えて、歳出面では、2025年問題の到来などによる社会保障関係経費の増、給与改定や制度改正などによる人件費の増など義務的経費が増加する一方で、歳入面では、根幹となる市税や地方交付税収入について、これらを賄うだけの大きな伸びは期待できない状況となっており、これまで以上に厳しい財政運営が予想されております。
 このような状況の中、新年度予算については、新規事業を抑制し、必要性、緊急性の観点からの事業の取捨選択を行い、さらに選択した事業についても可能な限り事業費の縮減を図りつつ、子ども・子育て支援や教育環境の整備といった「未来への投資」には予算を配分するなど、メリハリをつけて編成したところであります。

 来るべき令和6年度は、こうした基本的な考え方のもと、各分野での取組を進め、「第2期北見市総合計画」に掲げる将来像「ひと・まち・自然きらめく オホーツク中核都市―未来を拓く活力創造都市 北見―」の実現に向け、北見の特徴や地域の宝を最大限に活かし、市民の皆さま、さまざまな分野の皆さまとともに、全身全霊を傾けて取り組んでまいります。

3.令和6年度の主要施策

 次に、「第2期北見市総合計画」の5つの基本目標に沿い、新年度の主要施策について申し上げます。

(1)健康で安心して暮らせるまちづくり

 まず、健康・福祉分野においては、「健康で安心して暮らせるまちづくり」を進めてまいります。

 1点目は、「希望あふれる子育て支援の充実」であります。
 少子高齢化が進む本市において、最も有効で優先すべきことは、北見の未来を担う子どもたちへ向けた投資であります。
 昨年12月、政府が「こどもまんなか社会」の実現を目指し閣議決定した「こども大綱」も踏まえ、結婚前から妊娠、出産、子育てに至る各段階での切れ目ない必要な支援を充実させてまいります。

(子育て支援の充実)
 まず、子ども医療費助成については、私の就任後、1期目には、中学生の入院、2期目には、小学生の通院を対象とし、段階的に制度の拡充を図ってまいりましたが、子ども・子育て支援の最重要施策として、本年8月から高校生世代の18歳まで助成対象を拡大いたします。
 また、訪問型支援として、保健師の乳児家庭全戸訪問に加え、新たに本年4月から家事・育児等に対して不安や負担を抱えた子育て家庭、妊産婦やヤングケアラー等がいる家庭に訪問支援員を派遣し、家事・育児等の支援を行ってまいります。
 さらに、物価高騰の影響に伴う学校給食費の増額分の半額について、公費による助成を行います。

(児童福祉と幼児教育の充実)
 次に、児童福祉と幼児教育では、保育所や認定こども園などの保育料について、これまで市独自に軽減を図ってまいりましたが、とりわけ経済的理由で、2人以上の子どもを育てたいという願いをあきらめることのないよう、本年4月から収入や第1子の年齢にかかわらず、第2子以降の保育料を一律無償化いたします。

(青少年の健全育成活動の推進)
 次に、青少年の健全な育成に向けては、地域で子どもを見守る子ども食堂の運営について新たに支援し、子どもたちが安全で安心して過ごせる多様なニーズに応じた居場所づくりを推進してまいります。

 2点目は、「健康に暮らせる保健・医療の充実」であります。

(健康づくり推進体制の充実と健康寿命の延伸)
 昨年11月にまちきた大通ビル4階で供用を開始した保健センターを拠点に、生涯を通じた健康づくりを推進し、市民の皆さまの健康をしっかりと支えてまいります。

(自ら取り組む健康づくりの促進)
 市民の皆さまの健康意識の向上と健康寿命の延伸に向け、今年度開始した「健康づくりポイント」を付与する取組にデジタル技術を活用し、さらに多くの市民の皆さまに気軽にご参加いただき、健康づくりに取り組めるよう、スマートフォンアプリの導入について検討を進めてまいります。

(地域医療の充実)
 次に、地域医療では、中央大通沿道地区へ移転整備を進めている新たな休日夜間急病センターについて、本年秋の供用開始を目指すとともに、北見地域定住自立圏を構成する訓子府町及び置戸町と連携し、持続可能な休日等昼間の一次救急医療体制を整えてまいります。

 3点目は、「支えあう福祉の推進」であります。

(地域福祉活動の促進)
 引き続き、北見地域定住自立圏域における障がいのある方の地域生活支援と成年後見制度の普及、利用促進などを通じ、誰もがいきいきと自分らしく暮らし続けることができるやさしい共生社会の実現を目指してまいります。

(高齢者福祉の充実)
 次に、高齢者福祉については、高齢者の多様なニーズに対応するため、既存の介護事業所だけではなく、ボランティアなど地域の多様な主体を活用した介護予防・日常生活支援を促進してまいります。

(障がい者福祉の充実)
 次に、障がい者福祉については、多様な人材の活躍を推進するため、障がい者就業・生活支援センターなどとも連携しながら、農福連携を柱とした障がいのある方の就労支援に取り組むほか、市役所における障がいのある職員の執務環境を整えてまいります。 

(2)豊かな心と文化を育むまちづくり

 2つ目の教育・文化分野においては、「豊かな心と文化を育むまちづくり」を進めてまいります。

 1点目は、「豊かな心を育む教育の推進」であります。

(学校教育の充実)
 今月20日に気象庁が発表した予報によると、本年の夏も全国的に猛暑となる見込みであり、喫緊の課題である子どもたちの命を守る熱中症対策として、新年度の夏までに全ての小学校と義務教育学校、令和7年度の夏までに全ての中学校の普通教室及び保健室にエアコンを設置いたします。
 また、相内小学校と光西中学校において学校施設の長寿命化改修を進め、安全で快適な教育環境を計画的に整備してまいります。

(地域との連携による教育の推進)
 市立学校における部活動については、新年度以降、受け入れ環境が整った種目から地域クラブ化を図り、段階的に学校単位から地域単位へと移行してまいります。
 また、本市ならではのスポーツ・健康まちづくりの取組の一環として、市立学校におけるカーリング授業を推進してまいります。

(高校・大学等教育の充実)
 次に、高校・大学等教育については、経済的理由により修学困難な生徒及び学生に対する奨学金や入学準備金貸付などを継続いたします。
 また、本市に所在する北見工業大学及び日本赤十字北海道看護大学をはじめ、常呂実習施設を有する東京大学などの高等教育機関との連携を強め、その知見などを持続可能なまちづくりにつなげてまいります。

 2点目は、「ともに学びあう生涯学習の推進」であります。

(生涯学習の充実)
 生涯学習の拠点である図書館については、現在の端野図書館と端野町歴史民俗資料館を機能集約した新たな端野図書館のリニューアルオープンを目指し、基本・実施設計などを進めてまいります。

(生涯スポーツの推進)
 また、誰もがスポーツに親しむことのできる生涯スポーツを振興するため、子どもの運動意欲向上を目的に平成28年度に開始した多種目体験型スポーツ教室「Jr.アスリートチャレンジアカデミー」などを継続してまいります。

 3点目は、「地域文化を育む文化活動の推進」であります。

(芸術・文化活動の振興)
 市民ホールや公民館における音楽や演劇等の公演に加え、北網圏北見文化センターにおける企画展の開催などを通じ、市民の皆さまが身近に質の高い芸術・文化に触れる機会を提供してまいります。

(文化財の保護・継承)
 また、今年度、国の重要文化財に指定された常呂川河口遺跡墓坑出土品と史跡常呂遺跡のトコロチャシ跡遺跡群を教育・観光資源として、その魅力を高める取組を進めてまいります。
 さらに、市指定文化財となっているピアソン記念館、北見ハッカ記念館及び武華駅逓などの建造物について、専門家による定期点検を行い、文化財を適切に保護・継承してまいります。

(地域間・国際理解の推進)
 本年は、アメリカ合衆国エリザベス市と姉妹都市提携を結んで55周年を迎える節目の年であります。
 新型コロナウイルス感染症が5類へと移行したことにより、国内外の姉妹友好都市などとの親善交流が再開したことは、大変喜ばしいことであり、記念式典をはじめ、今後も引き続き、友好関係を深めてまいります。
 また、オホーツク圏活性化期成会の会長として、オホーツク地域の未来のために地域の課題を的確に捉え、国、道そして管内市町村と緊密な連携を図るほか、北見地域定住自立圏域の将来像について意見を交わす首長会議を定期的に開催し、中心市としての役割を果たしてまいります。
 さらに、多文化共生に向けては、本市在住外国人に対する日常生活の困りごとに関するアンケート調査なども踏まえ、技能実習などにより増加が見込まれる外国人のニーズに的確に対応してまいります。

(3)にぎわいと活力あふれるまちづくり

 3つ目の産業・観光分野においては、「にぎわいと活力あふれるまちづくり」を進めてまいります。

 1点目は、「魅力と活力ある産業振興」であります。
 食料安全保障への国民の関心が高まる中、本市の産業の根幹をなす第1次産業の果たす役割はますます重要となっております。

(持続的に発展する農業の振興)
 まず、未来へつながる力強い農業の確立に向けては、「第4次北見市農業振興計画」に基づき、全国一の生産量を誇るたまねぎをはじめ、てん菜、小麦、ばれいしょなどの土地利用型農業や酪農・畜産業について、持続的な生産体系の構築を図ってまいります。
 そのために、環境負荷低減につながる有機農業の取組について新たに助成するとともに、新規就農者等の担い手への支援や、農作業の効率化が見込まれるスマート農業実装への支援を継続してまいります。
 また、畑地の高機能化や農地集積の加速化を推進することにより、生産効率や安全性の向上を図るため、ほ場の排水改良や大区画化などの土地改良事業を計画的に進めるほか、農業生産活動の基盤となる営農用水施設を更新いたします。

(豊かな林業の推進)
 ゼロカーボンシティの実現に向けては、温室効果ガスを吸収する森林の役割が注目されており、市有林から創出されるJ-クレジットの販売を促進し、市有林の適正管理を行うとともに、森林環境譲与税を活用し、担い手不足等の課題解決に向けたスマート林業実装に係る費用について新たに助成し、林業の生産性の向上を図ってまいります。

(活力に満ちた水産業の推進)
 水産業では、常呂漁業協同組合が行う貯氷施設の整備に対して助成するほか、道が進める水産物供給基盤機能保全事業基本計画に基づき、引き続き、常呂漁港、栄浦漁港及び第2サロマ湖漁場の機能保全を図ってまいります。

(地域に根づいた工業の振興)
 工業については、デジタル化は新しい付加価値を生み出し、地域課題を解決する鍵となることから、市がこれまで進めてきたテレワークの活用によるIT企業進出の波及効果を地域産業のデジタル化に展開するため、進出企業と地元企業のマッチングによるICT産業創出に取り組んでまいります。

(活気ある商業活動の促進)
 商業については、まちなかの賑わい創出と雇用の促進を図るため、中心商店街において新規出店を行う事業者に対し、新たに助成を行ってまいります。
 また、経済団体などと組織する北見市中心市街地活性化協議会と連携し、まちきた大通ビルにリニューアルオープンした屋内子ども遊戯場「パラきたKids」によって生まれた新たな人の流れを周辺の商店街や商業施設にも広げ、まちのにぎわい創出につなげてまいります。

(地域経済を支える中小企業の振興)
 本市の事業所のほとんどを占め、経済と雇用の基盤を支える中小企業については、創業を促す助成などにより、新たなチャレンジを行う創業者を後押しすることで、創業の裾野を広げ、開業前からの切れ目ない支援を行ってまいります。

 2点目は、「にぎわいと交流の観光振興」であります。

(着地型観光の推進)
 新たな「北見市観光推進プロジェクト」に基づき、本年4月から北見ファミリーランド及び山の水族館でデジタル入場券を導入するなど、持続性の高い着地型観光の実現を目指してまいります。
 また、秋のイベントであるきたみ菊まつり、北見オクトーバーフェスト及びオホーツク北見ハロウィーンフェスティバルを(仮称)きたみ秋まつりとして開催し、北見の魅力を市内外に積極的に発信することで本市への誘客を促進してまいります。
 さらに、オールオホーツク魅力発信委員会との連携により、オホーツクの多様な魅力を内外に発信し、イメージの向上を図るほか、観光PRにとどまらない、自然と都市機能の調和といった本市の優位性を市内外へ広く発信するシティ・プロモーションを継続し、交流人口、関係人口、定住人口の拡大に向けた取組を強化してまいります。

(インバウンド対応の推進)
 私は昨年11月、鈴木直道北海道知事などとともにベトナム北部クアンニン省の省都ハロンを訪れ、北海道の食や観光を発信するイベント「北海道フェスティバルinハロン」に参加し、インバウンド需要の高まりを肌で感じたところであります。
 本市におきましても、この機運を逃すことなく、アジアのみならず各国からのインバウンドへの対応をさらに推進してまいります。

 3点目は、「創造性あふれる雇用環境の充実」であります。

(人材の定着・確保と雇用の促進)
 若者の地元への就労促進については、若者就活応援センターのウェブサイトに加え、企業紹介動画や「北見市移住しごとガイドブック」による情報発信を行ってまいります。
 また、道と連携し、東京圏からのUJIターンによる就業・起業者及びテレワーク移住者に対する交付金を支給するなど、地域ぐるみで若者人材を確保し、地元企業との雇用マッチングを一層強化してまいります。

(多様な就労環境の創出)
 また、市外の企業に「転職なき移住」やワーケーションなどの働き方を提案すると同時に、暮らしやすく働きやすいまち北見の魅力を積極的に発信し、都市部から本市へのより多くの人の流れを生み出してまいります。
 さらに、ワーク・ライフ・バランスの実現やハラスメントのない職場づくりの推進など、働きやすい環境整備を推進してまいります。 

(4)自然と調和する安全な住みよいまちづくり

 4つ目の環境・生活基盤分野においては、「自然と調和する安全な住みよいまちづくり」を進めてまいります。

 1点目は、「豊かな自然環境の保全」であります。

(自然共生と緑豊かな環境の創出)
 野付牛公園の計画的な再整備及び屯田の杜公園内の親水施設であるウォーターパークと周辺緑地帯の再整備に着手し、自然と触れあえる生活環境を整えてまいります。
 また、北見工業大学との共同研究により、良好な河川環境を維持するため、計画的に市内の小河川における水質や底生生物等の調査を行い、河川の状況を総合評価してまいります。

(地球環境に配慮した脱炭素・循環型社会の構築)
 ゼロカーボンシティの実現に向けては、環境と経済の循環が極めて重要であることから、市民環境部で所管する温室効果ガスの排出抑制、商工観光部で所管する新エネルギーの導入促進、都市建設部で所管する既存住宅の省エネルギー化などを一元化し、本市の司令塔として、地球温暖化対策からエネルギーまでを一貫して所管する「ゼロカーボン推進室」を本年4月に新設するほか、新たに次世代自動車の購入に対する助成を行ってまいります。
 次に、循環型社会の構築に向けては、廃棄物処理場のリサイクルプラザで基幹的整備を計画的に進め、将来にわたる温室効果ガス排出量とトータルコストを縮減させるとともに、廃棄物の安定した処理体制を整えてまいります。

 2点目は、「快適な生活空間の充実」であります。

(機能的な都市空間の創出)
 「北見市都市再生基本構想」における2拠点1軸の1軸として、昨年6月に着工した民間事業者が行う中央大通沿道地区の第一種市街地再開発事業については、引き続き、竣工に向けた円滑な事業遂行のための支援を行ってまいります。

(道路網の充実)
 道路網の充実については、各期成会などを通じた高規格道路網等の整備促進に向けたたゆまぬ要望活動によって、事業化への環境が整いつつあります。
 北海道横断自動車道網走線及び遠軽北見道路について、事業中区間の整備促進と未事業化区間の早期着手を引き続き国や道に強く働きかけてまいります。
 また、交通の利便性や安全性のさらなる向上のため、緊急性や必要性を勘案しながら、市道の整備を順次進めてまいります。
 さらに、迅速かつ的確な除排雪を行う体制を整え、冬期間の道路交通を確保してまいります。

(公共交通の確保)
 次に、公共交通の確保については、とりわけ路線バスの乗務員の確保が急務であることから、北見地域定住自立圏を構成する美幌町と連携し、本市初となる民間企業等受入型の地域おこし協力隊制度を活用した取組を進めてまいります。
 また、JR石北本線の維持・存続については、オホーツク圏活性化期成会石北本線部会や市独自の利用促進活動などを継続するほか、期成会などを通じた持続的な鉄道網の確立に向けた国や道への要望活動を進めてまいります。

(良質な住宅・住環境の形成)
 市営住宅については、北見自治区の高栄団地及び若葉団地、常呂自治区の北進町団地、留辺蘂自治区の公園団地の建替を継続するなど、安全で良質な住環境を整えてまいります。
 また、本年4月から市外からの移住希望者や新規就労者、外国人技能実習生などを含め、59歳以下の単身者も市営住宅に入居できるよう、入居者要件を緩和いたします。

(水道水の安定供給と下水処理の確保)
 次に、上下水道事業については、日々の生活に欠かせないライフラインである水道水の安定的な供給と下水処理による衛生的な住環境維持及び公共用水域の水質保全を図るため、中長期的な視点から、アセットマネジメントの手法による計画的な施設更新を進めてまいります。

 3点目は、「地域の安全安心の確保」であります。

 私は、今般の能登半島地震による被害状況の大きさを報道等で目の当たりにし、また、現地派遣職員からの報告を受ける中で、いつ北見で起こるかもしれない災害への対策を強化していくことの重要性を再確認したところであります。

(防災の強化)
 まず、防災・減災の取組としては、食料や発電機などの災害用備蓄品について引き続き整備を進めるとともに、浸水想定区域外における新たな防災備蓄倉庫の令和8年度供用開始を目指し、整備を進め、防災備蓄機能の強化を図ってまいります。

(地域の安全の確保)
 次に、地域の安全の確保については、交通安全の確保に向けて、道路区画線の再塗装を計画的に行うほか、市民の皆さまに安心して公共施設をご利用いただけるよう、AEDを計画的に設置、更新してまいります。
 また、消防・救急体制の充実強化については、北見地区消防組合の通信指令システム及び消防救急デジタル無線の更新に向けた実施設計を行うほか、消防水利や水槽付き消防ポンプ自動車、高規格救急自動車の更新を計画的に進めてまいります。

(消費者保護の充実)
 次に、消費者保護については、身近な窓口である消費生活センターの存在をより多くの方に知っていただくための啓発を行うとともに、手口がますます多様化、巧妙化する悪質商法や特殊詐欺などを踏まえた相談体制を強化し、消費者被害防止に取り組んでまいります。

(5)市民による自主自立のまちづくり

 最後に5つ目の地域・自治分野においては、「市民による自主自立のまちづくり」を進めてまいります。

 1点目は、「市民主体の住民自治の推進」であります。

(市政への市民参画促進)
 市政への市民参画については、「移動市長室」や「市長への手紙」などさまざまな広聴手段によりニーズを把握するとともに、「広報きたみ」や各種SNSを活用し、市政情報を公開することにより、課題を共有してまいります。
 また、審議会委員の公募やパブリックコメントなど、政策の意思決定過程に参画できる機会を創出し、市民の皆さまとともにあるまちづくりを推進してまいります。

(住民自治の推進)
 次に、市民主体の協働のまちづくりに向けては、町内会への加入促進に取り組むとともに、住民自治推進交付金制度を通じ、地域コミュニティの活性化を図ってまいります。
 また、まちづくりパワー支援補助金により、市民が自ら考え、自ら実践する自主的なまちづくり活動を支援してまいります。

 2点目は、「互いに尊重する地域社会の形成」であります。

(多様性を認めあう社会の実現)
 誰もが性別に関わりなく個性と能力を十分に発揮し活躍できる社会を実現するため、不安等を抱える女性が社会とのつながりを回復し地域社会で活躍できるよう、相談支援などの取組を継続してまいります。
 また、児童生徒の皆さんが安心して学校生活を送ることができるよう、新年度から全市立学校のトイレに生理用品を配置いたします。

(人権尊重のまちづくり)
 昨年11月、LGBTQなど性的マイノリティの方々や障がい者、外国人などを含めた、市民誰もが尊ばれ、互いに多様性を認め合う社会の実現を目指し、人権施策を一元的に所管する部署として、ダイバーシティ推進室を設置したところであり、人権まちづくりの理念を定めるため、(仮称)人権まちづくり条例の制定に向けた検討を進めてまいります。
 また、LGBTQなど性的マイノリティの方々を対象とした「パートナーシップ宣誓制度」については、市町村間の連携協定を広げるほか、「ファミリーシップ制度」の導入に向けた取組を進めてまいります。

 3点目は、「効率的な地域経営の推進」であります。

(行政運営の効率化・適正化)
 さまざまな環境変化に伴う市民ニーズの多様化、複雑化により、さらなる増加が見込まれる行政需要に対して、従来の手法で応えていくことは困難になりつつあります。
 そのため、業務内容を可視化して課題を洗い出す業務量調査を昨年度全庁で行ったところであり、その結果を踏まえ、業務プロセス等の見直し、再構築を行ってまいります。
 さらに、ソフトウエア型ロボットによる作業の自動化や、人工知能の活用などにより行政内部の業務の効率化を進め、それにより得られた職員のリソースを有効に活用するなど、行財政改革の取組を一層推進してまいります。
 また、歳入確保に向けては、国や道の政策的予算の積極的活用に加え、ふるさと納税の返礼品を通して寄附者に本市の魅力を発信し、リピーターのさらなる増加につなげるとともに、企業版ふるさと納税制度についても寄附のさらなる増加に向けた取組を進めてまいります。
 加えて、新年度におきましては、将来を見据えた事業の必要性や負担のあり方などについて、既存事業についてもゼロベースで見直すほか、さらなる歳入確保に向けた検討を行うなど、財政の健全化に向けた取組をより具体的に前に進めてまいります。

(行政サービスの向上)
 行政サービスの向上については、オンライン申請の拡充によるペーパーレス化の推進やキャッシュレス決済の拡大を進めてまいります。
 さらに、市役所本庁舎と総合支所庁舎間での「リモート窓口」によるオンライン相談の拡大を検討するなど、市民の皆さまの利便性向上につなげてまいります。

4.むすび

 以上、令和6年度の市政運営の基本的な考え方と主要施策について申し上げました。

 本市は、平成18年の1市3町による市町合併を経て、オホーツク圏域の中核都市としての歩みを進めてまいりました。
 しかしながら、これまでの成果や成功は、未来のふるさと北見の豊かさを保証してくれるものでは決してありません。
 現在を生きる私たちには、このふるさと北見を次の世代に確実に引き継いでいく責任があります。

 「今、この瞬間が未来につながり、未来の結果を左右する。」本市ともゆかりが深く、企業再建にも携わった実業家である稲盛和夫さんの言葉です。
 変化の激しい時代だからこそ、私は、時機を逸することなく、これまで一貫して目指してきた「ふるさと北見にもっと笑顔を」との理念のもと、SDGsの視点も踏まえ、持続可能なまちづくりの実現に向けた改革に確固たる決意を持って取り組んでまいります。

 市民の皆さま、議員の皆さまのご支援とご協力を引き続き賜りますよう、心からお願い申し上げ、新年度の市政執行方針といたします。

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