市政執行方針(平成28年2月)


市政執行方針(平成28年2月)
目次
1.はじめに
2.市政運営の基本姿勢
3.平成28年度の主要施策
(1)自然と共生する安全・安心のまちづくり
(2)豊かな心と文化を育てるまちづくり
(3)支えあい、一人ひとりを大切にするまちづくり
(4)活力を生み出す産業振興のまちづくり
(5)住む喜びを実感できる生活優先のまちづくり
(6)市民とつくる信頼と協働のまちづくり
4.むすび
市長

1.はじめに

 

 平成28年第1回定例北見市議会の開会にあたり、新年度の市政執行に対する私の所信を申し上げます。

 私が市長に就任してから5か月が経過しようとしております。

 この間、市民の皆さま、議員の皆さまのご理解とご協力を賜わり、心から感謝申し上げます。

 世界情勢に目を向けますと、中東地域を中心としてテロ行為が多発し、それに伴い、欧州に多くの難民が流入しており、東アジアにおいても、隣国で核実験やミサイルの発射が行われるなど、平和が脅かされています。こうした動きや中国をはじめとする新興国の景気減速懸念などから世界的なリスク回避の動きとなり、経済市況についても年初より株式相場が大きく下落するなど先が見通せない状況となっております。

 わが国では、少子高齢化、人口減少の影響から、従来の社会システムの随所において大きな歪みが顕著となっております。

 経済面では、デフレ脱却と経済再生を確実に実現するため、大規模な金融政策を実行するなど一連の経済施策を実施しており、輸出産業や都市部を中心に一定程度、効果が表れているものの、脱デフレは道半ばの状態であると言えます。

 特に地方においては、好景気の波はいまだ実感できず、また、TPPが大筋合意されるなど、農林水産業が基幹産業である北海道、とりわけ本市にとって大きな懸念材料もあるところであります。

 一方で、世界や日本を見渡せば、様々なチャンスや可能性が広がっています。新興国を中心に多くの外国人観光客が日本を訪れ、大きな経済効果をもたらし、産業分野においては、人工知能、ビッグデータといった情報技術が急速に進化しつつあり、ICTを活用した新たなサービスも生まれています。また、地域おこし協力隊をはじめ、職住近接のライフスタイルを志向し、都市部から地方に移住する意欲のある若者も増えつつあります。  

 この北海道においても、豊かで魅力あふれる自然環境、それに裏打ちされた安全・安心でおいしい農水産物などにより、北海道ブランドは、国内はもとより海外でも広く認知されており、多くの観光客の来道と共に農水産物の輸出なども大きな可能性が広がっております。

 本市においては、近年、北見赤十字病院の改築など医療体制の構築をはじめ、カーリングホール、市民温水プール、中央図書館など社会教育施設の整備を行い、都市再生事業に着手するなどオホーツクの中核都市としての都市基盤が整いつつあるところであります。ふるさと北見の明日を築くためには、この都市基盤を基礎とし、本市の強みを最大限活用していく必要があります。

 市町村合併から10年を経て、本市のまちづくりは新たなステージに進みます。少子化、超高齢社会、人口減少など厳しい状況の中、これからのまちづくりは、地域の総合力が試されると共に、従前のシステムにとらわれない柔軟で大胆な発想力が求められる時代を迎えております。

 私は、関係者の英知を結集すると共に、多くの市民の皆様の参画をいただきながら、まちづくりの先頭に立って取り組んでまいりたいと考えております。

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2.市政運営の基本姿勢

 それでは、新年度の市政運営の基本的な考え方について申し上げます。

 

 本市では、「まち・ひと・しごと創生法」により策定が求められている地方創生総合戦略の立案のため、昨年より産学官金労言の各界有識者および公募委員からなる「北見市地方創生総合戦略策定委員会」と私が本部長である「北見市地方創生推進本部」が連携調整を行い、今月23日に同戦略を策定したところであります。

 本市の将来人口については、2040年、平成52年段階で、国立研究所の予測が約9万人、今回の議論の起点となった民間組織である日本創成会議、増田レポートの予測が約8万6千人のところ、合計特殊出生率と現在、流出超過が続いている社会増減を段階的に改善することにより、9万7千人まで人口減少幅を縮小させる目標とし、平成31年度末までの期間において、集中して対策を講じるため、4つの基本目標の下、諸施策をまとめたところであり、この戦略に従い、積極的な事業展開を図ってまいります。

 また、本年3月5日には、平成18年の1市3町の合併からちょうど10年を迎えます。

 この間、各自治区の歴史に根差した文化や産業等について継承すると共に、新市として一体感の醸成および合併効果を得るための行財政改革に努めてきたところであります。

 すでにスタートしている合併検証の取組では、この10年を振り返るだけではなく、10年後、20年後といった将来に対し、その課題を整理し、今後の目指すべき方向性を示すことが重要であると考えます。より多くの市民の皆様にこの課題についてご意見をいただき、新年度中に方向性をまとめてまいります。

 

 また、一大事業であります都市再生整備事業につきましては、先般、市民説明会を実施したところでありますが、いただいたご意見を踏まえつつ、スケジュールに沿い、取り組んでまいります。

 その他、社会福祉の充実や教育環境整備、安全・安心なまちづくりなど、市民ニーズを的確に捉えた事業展開を図り、今後とも市民の笑顔がひろがり、活力ある街、きらめく中核都市であるよう、まちづくりを進めてまいります。


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3.平成28年度の主要施策

 本市においては、今日、少子高齢化、人口減少、厳しい財政状況など様々な課題がある中で、地方創生への対応や自治区の振興発展、特色あるまちづくり、時代の変化への機敏な対応が求められています。さらに、市民の皆様とのお約束である私の公約についても、行政課題として位置付ける一方、必要性・効率性・緊急性といった側面からの検討も考慮する必要があります。これらを踏まえ、「北見市総合計画」後期基本計画の具体的な施策である実施計画について、今般、第8次となる計画を策定したところであります。    

 総合計画に掲げる将来像「ひと・まち・自然きらめくオホーツク中核都市」-安心な活力都市 北見-の実現に向け、着実な実行を図ってまいります。

 それでは、「北見市総合計画」の6つの基本目標に沿って、新年度の主要施策について申し上げます。


(1)自然と共生する安全・安心のまちづくり

 第一は、「自然と共生する安全・安心のまちづくり」であります。

 

 本市の恵まれた自然環境を守り育て、未来へと引き継ぐことは、今を生きる私たちの大きな責務であると考えており、未来の市民に対し、恥ずかしくないよう努めなければなりません。また、東日本大震災からまもなく5年となりますが、わが国は、自然災害大国とも言われており、地震、津波、台風など多くの災害への備えが求められていると共に、本市には、雪による災害や厳冬期における対応にも心配りが必要であります。

 まず、防災の強化については、災害に強いまちづくりを目指し、これまでハザードマップの更新や津波に備えた避難路の設置、災害備蓄品など防災・減災に関する整備の充実、自主防災組織の育成に取り組んでまいりましたが、これら事業を継続して進めると共に、今や本市の業務遂行上、情報通信インフラは、なくてはならない基盤であることから、ICT部門における災害発生時からの初動対応とシステム復旧のために業務継続計画の策定を行います。

消防体制整備では、昨年から着手しております消防本部・消防署庁舎と消防団統合詰所を併設して建設し、それに伴う通信指令システムの移設と機器の更新を行ってまいります。また、留辺蘂支署庁舎の移転改築を行うほか、消防車両・救急救助資機材等の更新についても計画的に実施してまいります。さらに今後、経験豊富なベテラン職員の退職に伴い、若い職員の練度向上が求められることから、各種訓練に応じた施設を新たに設け、技術の向上および警防救助体制の強化を図ります。

 次に、環境保全、エネルギー関係では、市内小河川の水生生物について北見工業大学と共同で調査研究を開始し、河川水質の総合的評価と外来生物等の対策を強化してまいります。

長年、ソーラーのまちとして実施している住宅用太陽光発電システム導入費に対する助成については、太陽光発電と定置用蓄電池の組み合わせを新たに助成対象とするほか、市内中小企業などによるメガソーラー設備導入に対し、引き続き支援を継続していきます。また、町内会等が設置する防犯灯のLED化についてもランニングコストの縮減および環境負荷の低減を図るため、引き続き、助成を行ってまいります。

 ごみ処理につきましては、環境への負荷の少ない循環型のまちづくりをめざし、排出抑制、資源リサイクルを推進すると共に、廃棄物処理場施設の長寿命化を図るため、ごみ焼却施設の基幹的整備工事を引き続き実施し、大和最終処分場については、第2期かさ上げ拡張整備に向け、事業を開始いたします。また、周辺自治体との広域連携事業として民間の資金、経営能力、技術的能力を活用したPFIの手法により事業を行っている留辺蘂自治区の北見市(ほか)2町一般廃棄物最終処分場については、平成30年度末に運営期間の終了が予定されていることから、その期間を延長するよう進めてまいります。

 次に、快適な生活空間の実現のため、都市公園等の計画的な整備や遊具の更新、修繕に努め、街路樹の適正な維持管理を図ってまいります。また、誰もが安全で安心して利用できるよう、東陵公園のバリアフリー園路の新設を行うと共に、ふるさと銀河線跡地を活用した「上ところ銀河公園」の整備を引き続き行うほか、とん田公園内の市民会館において大きなイベントが実施された場合に駐車場が不足していることから、旧中央図書館の跡地を駐車場として確保し、利便性を向上させてまいります。


(2)豊かな心と文化を育てるまちづくり

 第二は、「豊かな心と文化を育てるまちづくり」であります。

 

 人は生涯を通して学び、豊かな文化に触れ、スポーツに親しむことで、より健康で充実した生活を送ることができます。まちづくりにおける教育、文化、スポーツの充実と振興は、今後ともますます重要であり、明日を担う子どもたちの健全育成と共に、生涯を通した学びの機会の創出や文化振興を積極的に進めてまいります。

また、本年度から、「地方教育行政の組織および運営に関する法律」の改正により、首長と教育委員会の連携強化を図るため、総合教育会議が制度化されたところであります。本市においても同会議を開催すると共に、「北見市総合計画」の基本理念を踏まえ、教育分野の個別計画と整合を図りながら、教育、学術および文化の振興に関する総合的な施策の基本理念、重点的な目標を定めた「北見市教育大綱」を策定したところであり、今後とも同大綱の理念・目標に沿って施策を進めてまいります。

 

 まず、生涯学習では、市民待望の中央図書館が昨年12月にオープンいたしました。ゆったりとした落ち着きのある空間と学習室や閲覧室などの読書スペース、電子書籍、視聴覚コーナーなど、新たなサービスが付加され、大変多くの市民の皆様のご利用をいただいております。引き続き、市民の皆様の期待に応えるよう、蔵書の整備を図ると共に、子育て世代の父母に好評をいただいている乳幼児絵本スタート事業を進め、乳児期からの読書習慣の醸成に努めてまいります。

学校教育では、実施設計を行っている留辺蘂小学校の改築事業について、平成29年度までの2か年事業で建築工事を行うほか、学校耐震化事業についても計画的に進めると共に、学校ネットワークシステムの更新を行ってまいります。

また、児童・生徒の学力向上を図るための教育活動支援講師ならびに、いじめ・不登校対策や特別支援を要する児童・生徒の課題解決に対応するため、専門職の配置を引き続き行います。さらに、特別支援教育においては、支援員の配置に加え、新たに、教員免許を有する支援講師の配置を行ってまいります。

学校司書につきましては、一部学校でモデル配置しておりましたが、児童・生徒の読書機会の増加や授業貢献の面で大きな効果を挙げていることから、職員を増員いたします。

また、子どもたちの将来が家庭事情等に影響されることのないよう、高校進学における奨学金支給を引き続き実施すると共に、母子父子家庭の児童・生徒に対し、大学生などの学習支援員が個別学習指導を行う「母子父子家庭児童健全育成事業」を通じ支援を行ってまいります。

 

 青少年の健全育成では、昨年、北見で初めて開催したアジア国際子ども映画祭の本選大会が、次回、通算10回目の開催となることから、記念大会として開催してまいります。

児童館につきましては、東相内児童センター、留辺蘂児童館の建設事業を継続して実施すると共に、現在、フレンドセンター事業のみを実施していた上ところ地区において、新たに放課後児童クラブを開設いたします。

芸術・文化活動の振興では、建築後19年を経過した芸術文化ホールの設備改修に取り組むと共に、芸術文化に触れる機会を市民の皆様に多く提供するため、自主文化事業、企画展等を行ってまいります。

 スポーツの振興では、子どもの運動意欲向上や新しい競技に触れることにより競技選択の幅を広げるため、小学生を対象とした多種目体験型スポーツ教室「ジュニアアスリートチャレンジアカデミー事業」を新たに実施いたします。

スポーツ施設の整備では、東陵運動公園のテニスコート休憩所の改築に着手するほか、各施設の芝グランド維持管理強化など必要な環境整備に取り組みます。また、スポーツ合宿事業につきましては、交流人口の拡大を図るための有力な事業であり、来北したチームが今後とも満足していただけるよう体制整備に努めてまいります。

 

 文化財の保護・継承につきましては、史跡常呂遺跡の世界遺産登録に向けて課題整理に取り組むと共に、老朽化した復元竪穴住居の再建を行います。



(3)支えあい、一人ひとりを大切にするまちづくり

 第三は、「支えあい、一人ひとりを大切にするまちづくり」であります。

 「生涯にわたって健康でありたい」、これは、全ての市民の願いであると思います。そして、健康に不安が生じた時に、地域医療が充実し、福祉環境が整い、高齢者や障がい者をはじめ、多くの市民の皆様が安心して暮らせるまちを創ることが求められています。また、子育て環境の充実は、未来を担う子どもたちや子育て世帯の方々だけではなく、人口減少という全市に跨る課題であり、地方創生総合戦略においても進めて行くべき施策であります。

 地域医療の充実では、昨年12月に完成した北見赤十字病院とこの夏に移転改築が完了する道立北見病院など基幹病院から地域の医療機関までの連携を進めるほか、常呂自治区唯一の医療機関である常呂厚生病院の医療機器更新に対して助成を行います。さらに、北見医師会看護専門学校の学生に対する看護師等修学資金貸付と医師会や社会福祉協議会などで構成される医療福祉情報連携協議会が取り組む医療福祉情報コミュニティ活動への支援も継続し、市民の皆さまが安心できる地域医療体制を確保してまいります。

 市民の健康づくりでは、子宮頸がん、乳がん、大腸がん、胃がん、肺がんの5大がん全ての受診勧奨を行うなどがん検診の総合支援事業に引き続き取り組みます。また、新年度より食育推進計画を包含した「第3期北見市健康増進計画」の策定に取り組み、健康寿命の延伸に向けた包括的な検討をスタートしてまいります。それに先立ち、本人のみならず、社会全体の課題となっている認知症を予防するために、認知症機能検査や予防講座、講演会の実施など認知症予防事業を先行実施いたします。

 「赤ちゃんが欲しいけれどもなかなか授からない」と、近年の晩婚化などに伴い、多くのご夫婦の方々が悩み、不妊治療を受ける方が増加しております。特定不妊治療には、大きな経済的負担が生じることから、国では地方創生の取組の一環で、治療に対する助成を拡充することとなりましたが、未だ一定程度、経済負担が残ることが予想されます。本市としても、現在実施している上乗せ補助について拡充して未来のお母さんお父さんに対し支援してまいります。

 児童福祉では、子育て相談センターを併設した中央保育園の改築事業、病児保育事業、幼稚園型一時預かり事業の実施など「子ども・子育て支援事業計画」の着実な実施を図ると共に、利用者増加により狭隘化している小泉保育園と併設している子育て相談センターの拡張についても取り組んでまいります。

 また、雨天時や降雪期などに子どもが体を動かし、のびのびと遊べる場所をより充実させるため、市内に15か所ある児童館、児童センターに幼児用遊具を整備し、小学校が授業中である午前中等に安心して遊べる環境を整えると共に、現在、イベントスペースとして利活用している、まちきた大通ビル5階催事場を活用し、新たに幼児向けの遊戯場を開設いたします。

 さらに、現在、未就学児の通院および小学生までの入院、訪問看護にかかる医療費の一部を助成しておりますが、新たに中学生の入院、訪問看護まで助成範囲を拡大してまいります。

 高齢者福祉では、第7期となる「北見市高齢者保健福祉計画および介護保険事業計画」について、市民アンケートの実施や外部委員会の議論を通じて広くご意見を伺うなど、策定に着手すると共に、障がい者福祉では、「第2期北見市障がい者計画」についてもまとめてまいります。また、個別事業といたしましては、今回、一部負担をいただくこととなったバス料金助成事業について引き続き実施するほか、在宅の重度障がい者に対するタクシー料金への助成、特定疾患患者や透析患者への交通費助成について制度を拡充いたします。



(4)活力を生み出す産業振興のまちづくり

 第四は、「活力を生み出す産業振興のまちづくり」であります。 

 

 経済のグローバル化や少子高齢化、人口減少など社会・経済環境が大きく変化する中、活力ある地域経済を創出するため、基幹産業である農林水産業の持続的な発展と共に、若者の安定した雇用を生み出す取組が必要であります。こうしたことから、北見工業大学や公設試験研究機関の知見を生かすと共に、様々な地域資源を有する本市の特色や強みを活用した振興策を実施するなど、総合的な産業振興計画である「第2次北見市産業振興ビジョン」の着実な実行を図ってまいります。

 まず、雇用対策では、大学新卒者の北見地域での雇用を目指し、地元企業合同による会社説明会を開催すると共に、大卒者や季節労働者などへのきめ細かなサポートを行うほか、技能振興の推進では、地場産品を活用した新製品開発を行うための講習会を開催するなど、技能・ものづくりに関する普及啓発事業を実施いたします。

 農業の振興では、TPPの大筋合意を踏まえ、持続可能な農業の実現のため、担い手の育成・確保への支援や主要畑作品目の生産振興を推進し、高品質で安定的な農業生産体制の確立を目指し、重点振興品目に位置付けられたにんにく、豆類の作付振興に対する助成を行ってまいります。また、地産地消の取組として、生産者と消費者の相互理解を深める交流イベントの実施や学校給食の地場産物利用の推進などに引き続き取り組むと共に、現在、農業被害の原因となり、有害駆除を実施しているエゾシカについて、地域資源化するための方策を探る「エゾシカ利活用調査事業」を実施してまいります。

 畜産関係では、高品位な和種繁殖を目指し、引き続き支援を行うと共に、草地の整備を行う酪農畜産農家に対し、経費の一部を助成するほか、新たに飼料作物であるデントコーンの種子代の一部についても助成を実施いたします。

 農業基盤整備では、道営畑地帯総合整備事業等の実施により、農業用用排水施設の整備や土地改良事業を計画的に進めると共に、地域が共同で行う農地、水路、農道等の質的向上を図る活動に対し支援を行ってまいります。

 林業振興では、山林の無立木地の解消を図るため、民有林の植栽および下刈り・除間伐に対する助成を行うと共に、市有林の適正管理に引き続き取り組みます。また、林産業振興策として、木材加工場等の設備投資に対し助成を行うと共に、地産地消のエネルギー対策として、一般住宅等への木質ペレットストーブおよびボイラーの導入促進を図ります。

 水産業振興では、北海道が進める漁港漁場整備事業計画に基づき常呂漁港の拡張整備を計画的に実施すると共に、栄浦漁港の機能保全事業を引き続き進めてまいります。また、最後の改修から22年が経過しているトウフツ物揚場の整備に係る調査設計を行います。

 工業振興および新産業創出の関係では、本年度、総務省より受託した「ふるさとテレワーク推進事業」の実証成果を生かし、より多くの企業が当地で仕事を行えるよう環境整備を図ると共に、テレワークの適地として北見を売り出していくため、首都圏企業に対するプロモーションを強化し、IT技術者など人材供給で強みのある北見工業大学といった当地の特長を活かした企業誘致活動をはじめ、既存立地企業へのアフターフォローについても、積極的に活動いたします。

 また、豊富な農林水産物を活用した付加価値の高い商品の開発や北見工業大学、公設試験研究機関と地元企業が連携して取り組む産業クラスターの形成についても引き続き推進してまいります。

 中小企業振興では、本市で事業展開をしている企業の大部分を占める中小企業が、自らが地域経済の重要な担い手として創意工夫を生かして変化に挑戦することが大切であり、中小企業の振興は、雇用の受け皿としても大変重要なことから、「北見市中小企業振興基本条例」の基本理念等に基づき、本市の中小企業の振興に関する施策を総合的に進めてまいります。さらに、同条例により設置している「北見市中小企業振興審議会」でいただいた提言等を踏まえ、起業・創業を促すための環境整備や中小企業向けの資金需要に対する支援を引き続き進め、活力ある中小企業の成長発展を目指してまいります。

 観光物産振興では、自然・温泉・食などの地域資源を活用し、地域が主体となり、付加価値を付けた、地元ならではの新たな観光の提供を行う、着地型観光を推進いたします。また、本市全体を広くPRするシティ・プロモーションにより、本市の魅力を発信するほか、全道中核都市や国道39号沿線自治体など関係者との連携により、広域的な事業展開についても進めてまいります。近年、増加が著しい外国人観光客への対応につきましては、多国語パンフレット等の製作を行い、対応強化を図ってまいります。

 昨年12月より「ふるさと北見応援寄附金」に対する返礼品制度を創設し、約1か月で1億円を超える寄附をいただいたところでありますが、全国の多くの方々に当地の魅力ある物産を知っていただくため、今後ともPRに努めてまいります。



(5)住む喜びを実感できる生活優先のまちづくり

 第五は、「住む喜びを実感できる生活優先のまちづくり」であります。

 

 市民の皆様が将来にわたり、「北見で住み続けたい」と思っていただけるためには、優れた都市環境を整備していく必要があります。しかし同時に、今後避けては通れない人口減少と少子高齢化に対応し、将来を見据えた明日に備えるまちづくりも合わせて取り組むことが求められております。市民ニーズを的確に捉えると共にコンパクトで効率の良いまちづくりを志向し対応してまいります。

 都市再生事業については、市民説明会やこれまでの議会議論を踏まえつつ、合併特例債の期限である平成32年度の事業完了に向け、全力で取り組んでまいります。また、適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の生活環境に影響を及ぼしていることから、空家の実態調査を進めると共に、対策計画をまとめます。

 交通関係では、北海道横断自動車道について、端野町川向・美幌町高野間の早期事業着手および訓子府・陸別町陸別間の整備促進、さらには、当面着工しない区間となっている陸別町陸別・足寄間についても整備着手するよう国に対して強く要請してまいります。また、市道や橋(りょう)の整備修繕につきましても、優先度を勘案しながら計画的に進めます。

 地域公共交通では、「北見市地域公共交通計画」に基づき、地域の実情に合った運行の見直しなど、引き続き地域住民の利便性向上のための利用促進策を実施してまいります。

 住宅関係では、住宅省エネ・バリアフリー化改修費助成事業を通して、環境負荷の低減や安全・安心で快適な住環境整備を促進すると共に、地域経済の活性化を図ってまいります。

 市営住宅の整備では、高栄団地の建替事業を継続して行うほか、長寿命化計画に基づいたユニットバス化など、居住環境の改善を図ると共に、端野町親交団地および常呂町末広団地の整備、留辺蘂町の(仮称)第2東町団地整備に係る基本実施設計を行います。

 上下水道事業においては、老朽化した管の計画的な布設替や設備の定期的な更新を行い、より効率的な維持管理に努め、市民の皆さまに安全で安心いただける事業運営に努めてまいります。

 除排雪体制につきましては、現在、雪堆積場としている北上地区の常呂川河川敷が河川改修事業により使用不可能となることから、新たな雪堆積場を確保いたします。また、近年の大雪や暴風雪などの頻発化に対応するため、委託業者へ貸し出す除雪車両について増車を行うなど、必要な資機材の確保に努めてまいります。



(6)市民とつくる信頼と協働のまちづくり

 第六は、「市民とつくる信頼と協働のまちづくり」であります。

 人口減少、高齢化の進行により、町内会活動など地域コミュニティの活動が弱まりつつあります。このため、まちづくりの最高規範である「北見市まちづくり基本条例」の理念を生かし、市政への市民参画を促進すると同時に、市民が共に手を携えて力を出し合う協働によるまちづくりをより進めていく必要があります。

 行政運営にあたっては、効率的かつ効果的な運営を目指し、本年度、「北見市公共施設マネジメント基本計画」の策定を進めていますが、新年度には、同計画に基づき、モデルケースとして個別施設の再配置計画策定に取り組みます。また、新年度末に行財政改革大綱の期間終了を迎えることから、今後の行財政改革に向けた検討に着手すると共に、引き続き効率的な行政運営に努めてまいります。

 行政サービスの向上につきましては、市民に分かりやすい窓口サービスを目指し、ワンストップサービスの運用体制構築に取り組んでおりますが、新たなシステムを活用しながら、手続きや情報提供の手法について改善を進め、窓口に訪れるお客様に対し、より丁寧かつ迅速に対応できるよう推進いたします。

 公共施設を一体で整備する東相内公共施設複合化整備事業につきましては、新年度に住民センターと児童センターの完成を見込むなど、引き続き計画的に進めてまいります。

 国際交流・姉妹友好都市交流では、姉妹都市提携周年事業として、昨年中止となった韓国・晋州(ちんじゅ)()との30周年記念事業、高知市との30周年記念事業、カナダ・バーヘッド町との25周年記念事業、宮城県丸森町(まるもりまち)との20周年記念事業などを通して、友好・親善を一層深めると共に、市民レベルでの交流と相互理解の促進を図ってまいります。

 住民自治活動の推進につきましては、自治の基本であり地域コミュニティーの根幹である町内会活動の活性化を促すため、北見市北見自治会連合会へ引き続き支援いたします。また、本年度、制度変更を行った住民自治推進交付金制度につきましては、全国各地のさまざまな事例を研究すると共に、地域コミュニティーのあり方について検討してまいります。

 各自治区の特長を生かした地域振興では、市民が自ら考え、自ら実践する自主的な自治区ごとの取組に対し、まちづくりパワー支援補助金により、引き続き助成してまいります。また、合併後10年を節目とし、本市が進めてきた合併の効果や事業の進捗状況の調査など、今後の本市のさらなる発展を図ることを目的とした合併10年検証作業に取り組みます。

 男女共同参画社会の実現に向けた取組につきましては、仕事と子育てなどの家庭生活を両立できる仕組みづくりなど、男性を含めた社会全体の意識改革が求められております。「北見市地方創生総合戦略」では、ワーク・ライフ・バランス認定事業所制度の創設や働く女性の支援などについて取り組むこととしており、新年度より策定に着手する「第2次北見市男女共同参画基本計画」について、本年4月に完全施行となる女性活躍推進法に基づく推進計画と一体のものとして策定し、より具体的で実効性ある事業計画となるよう取り組んでまいります。


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4.むすび

 以上、平成28年度の市政運営の基本的考え方と主要施策について申し上げました。

 今日の地方都市は、少子高齢・人口減少の波に飲み込まれつつあり、将来の希望が見えにくい話題に事欠きません。

 しかし、それに対し、意気消沈していても、私たちのまち、北見のまちづくりは一歩も進みません。

 これら課題に対する対応、地方創生への取組、挑戦は、始まったばかりであり、一つひとつ前進させることが、次の世代、将来の北見市民に対する責任ではないかと私は考えております。

 アイルランド出身のノーベル賞作家、ジョージ・バーナード・ショーは、「グラスに入っているワインを見て、『ああ、もう半分しか残っていない』と嘆くのが悲観主義者。『お、まだ半分も残っているじゃないか』と喜ぶのが楽観主義者である」と言いました。

 私は、本市の未来を前向きに捉えていきたいと思います。

 北見は、海、山、川、四季折々の景観が美しい、自慢のできる自然環境があります。その自然環境からの恵みである良質で豊富な農林水産物があります。知の拠点である北見工業大学、日本赤十字北海道看護大学の2大学、管内最大の医療拠点である北見赤十字病院などの施設もあります。そして何より、地域を想い、活動する優れた人材がいます。これらの宝をうまく活かすことにより、「まだまだ北見はできる。底力を発揮できる」と私は思います。

 ショーは、また、こうも言っています「もし君と僕が、リンゴを交換してもリンゴは1つずつだが、アイデアを交換したら持っているアイデアは2つずつになる」と。多くの市民がアイデアを持ち寄り、共に力を合わせ、ふるさとの将来に向け、挑戦していけば、かならずや北見の創生が叶うと私は思います。

 私は、今を生きる市民の皆様のご意見に耳を傾け、市民生活の向上に努めると共に、未来の市民にも誇れるまちづくりのため、次代への布石にもしっかり取り組み、将来にわたり、笑顔がひろがるふるさと北見の実現を図ってまいりたいと考えております。

 最後に、市民の皆さま、議員の皆さまのご支援、ご協力を引き続き賜りますよう心からお願い申し上げ、新年度の市政執行方針の結びとさせていただきます。


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