市政執行方針(令和3年2月)


市政執行方針(令和3年2月)
目次
1.はじめに
2.市政運営の基本姿勢
3.令和3年度の主要施策
(1)健康で安心して暮らせるまちづくり
(2)豊かな心と文化を育むまちづくり
(3)にぎわいと活力あふれるまちづくり
(4)自然と調和する安全な住み良いまちづくり
(5)市民による自主自立のまちづくり
4.むすび

市長写真

1.はじめに

 令和3年第1回定例北見市議会の開会に当たり、新年度の市政執行に対する私の所信を申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、世界各地で拡大する中、我が国では、昨年4月に新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が全国に発出され、かつて経験したことのない長期間の外出自粛などは、私たちの日常生活を大きく変化させ、当たり前に過ごしてきた日常の大切さを改めて実感したところであります。

 その後、国内において昨年末からさらに急激な感染拡大が進行し、本年1月には、1都2府8県に緊急事態宣言が再び発せられるなど、未だ収束が見通せない状況にあります。

 本市におきましても、昨年2月22日に初の感染者が確認されて以降、およそ1年が経過しておりますが、今なお、地域医療の最前線で闘いが続いており、日々ご尽力いただいている医療従事者や保健所の皆さまに心から敬意を表し、感謝を申し上げます。

 市といたしましても、市民の命と生活を守ることを最優先に、これまで新型コロナウイルス感染症対策として、道や北見医師会など関係機関と連携を図りながら、北見市PCR検査センターの開設・運営に関する支援を行ったほか、75歳以上の方および障がいのある方へのマスクの配布、コロナ禍でも災害発生時に市民の皆さまの安全を守るための体制整備などを進めてきたところであります。

 さらに経済対策としては、国の特別定額給付金の給付、飲食店・タクシー応援割引クーポンの配布、プレミアム付商品券の発行、就職機会を失った市民の積極的な緊急雇用対策、各種事業の継続支援などに取り組んでまいりました。

 また、新型コロナウイルス感染症は、生命や健康だけではなく、社会生活、経済、人々の意識・行動や価値観に大きな影響を与え、私たちの暮らしに大きな変化をもたらしております。

 首都圏などでは、企業でリモートワークなどが進んだ結果、地方の価値が再認識され、コロナ禍以前から本市が積極的に取り組んできたふるさとテレワークが注目されております。

 今後、こうした社会の大きな変化を捉え、新たな時代の要請にしっかりと対応してまいります。

 さて、私が平成27年の市長就任以来、常に追い求めてきたことは、このふるさと北見が笑顔にあふれることであります。

 新型コロナウイルス感染症の拡大という国難ともいうべき事態に直面しつつも、待望の市役所新庁舎が無事完成し、先月4日に供用を開始したところであり、また、地方創生の新たな拠点として昨年10月に供用を開始したアルゴグラフィックス北見カーリングホールについても、先月末には来館者が延べ7千人を超え、大変好評を博しており、その一歩を踏み出すことができたと考えているところであります。

 このコロナ禍にあっても、さまざまな行政課題について、一つ一つ着実に前進することができたのも、ひとえに市民の皆さま、議員の皆さまの市政に対するご理解とご協力の賜物であると心から感謝申し上げます。

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2.市政運営の基本姿勢

 

 次に、新年度の市政運営の基本的な考え方について申し上げます。

 

 新年度においては、市民の命と生活を守るため、引き続き新型コロナウイルス感染症への対応を最優先に取り組んでまいります。

 まず、ワクチン接種については、今月1日に新型コロナウイルスワクチン接種推進室を設置し、専任の体制を整えたところであり、薬事承認されたワクチンが供給され次第、速やかにワクチン接種を開始すると共に、接種に関する市民からの相談にもしっかりと対応してまいります。

 また、関係機関と連携を進めながら、市内の介護保険事業所および障がい者福祉施設の従事者等を対象としたPCRスクリーニング検査を実施し、無症状者の早期発見により、施設内でのクラスターの発生を防ぐなど、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に全力を尽くしてまいります。

 その上で、新型コロナウイルス感染症の影響により生活困窮状態となった方が早期に自立できるよう、住居確保給付金の支給などによる支援を継続すると共に、落ち込んだ市内経済の状況を見極めながら、国の新型コロナウイルス対応地方創生臨時交付金などを活用し、国や道と連携した取組を推進するなど、市として必要な施策をしっかりと進め、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図ってまいります。

 今般、「第2期北見市総合計画」前期基本計画に掲げる指標の達成に向け、具体的な施策を進める第3次実施計画を策定いたしました。

 限られた財源の中で、より高い効果が生み出せるよう、戦略的に事業を採択したところであり、新型コロナウイルス感染症による影響への適切な対応を図りつつ、さまざまな行政課題についても中長期的な視点を持って取り組み、第2期総合計画に掲げる将来像「ひと・まち・自然きらめく オホーツク中核都市―未来を拓く活力創造都市 北見―」の実現に向けて、国連が提唱する持続可能な開発目標・SDGsの理念も踏まえ、各分野の事業を一歩一歩着実に進めてまいります。


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3.令和3年度の主要施策

 

 次に、「第2期北見市総合計画」の5つの基本目標に沿い、新年度の主要施策について申し上げます。


(1)健康で安心して暮らせるまちづくり

 

 まず、健康・福祉分野においては、「健康で安心して暮らせるまちづくり」を進めてまいります。

 

 1点目は、「希望あふれる子育て支援の充実」であります。

 妊娠期から出産、子育て期と切れ目のない支援を強化し、誰もが安心して子どもを産み育てることができる環境のさらなる充実に取り組んでまいります。

(子育て支援の充実)

 とりわけこのコロナ禍にあっては、いわゆる「里帰り出産」を控えざるを得ないなど、家族などからの十分な支援が受けられず、出産・育児への不安をお持ちの方もいらっしゃると思います。

 4月からスマートフォン向けアプリケーションを活用したオンライン相談や情報発信などを開始すると共に、助産師等の専門職による産後ケアについても対象者の範囲を拡大し、子育てについての不安感などの軽減を図ってまいります。

 加えて、子どもの弱視を早期に発見し、速やかに適切な治療につなげるよう、3歳児健康診査において、新たに弱視スクリーニング検査を導入いたします。

 また、子育て世代の経済的な負担を少しでも減らすため、現在行っている特定不妊治療、産婦健康診査、新生児聴覚検査、インフルエンザ予防接種への助成や紙おむつ類無料回収に加え、産科医療機関までの距離が遠い地域にお住まいの妊産婦への交通費助成を開始すると共に、8月から通院に係る医療費助成の範囲を現在の未就学児から小学6年生までに拡大いたします。

(児童福祉と幼児教育の充実)

 次に、児童福祉と幼児教育については、常呂保育園が4月から認定こども園に移行することにあわせ、保育需要が高い低年齢児の受入れを拡充するため、0歳児保育や一時預かりを開始するほか、引き続き、市内で病児保育を利用できる体制を確保するなど、子育て世代の多様なニーズにしっかりと対応してまいります。

 また、国の幼児教育・保育の無償化の対象とならない費用について、北見市独自の保護者負担軽減を継続してまいります。

 さらに、とん田保育園における園舎の改築など、より安全で快適な教育・保育環境を整えてまいります。

 そのほか、屋内子ども遊戯場・パラきたKidsについては、子どもたちがのびのびと遊び、子育て世代の交流促進により、にぎわいが創出される空間として、まちきた大通ビルでの拡充整備に向け、基本・実施設計を進めてまいります。

(青少年の健全育成活動の推進)

 次に、青少年の健全な育成に向けては、利用者のニーズを踏まえ、豊地小学校に放課後子ども教室を新設し、上仁頃小学校と若松小学校ともあわせ活動時間を延長するなど、子どもたちがより安全に安心して過ごすことができる多様な居場所を確保してまいります。

 2点目は、「健康に暮らせる保健・医療の充実」であります。

(健康づくり推進体制の充実)

 市民の健康づくりを推進する拠点施設である保健センターについては、老朽化が進行していることから、まちきた大通ビルへの移転整備に向け、基本・実施設計を進めてまいります。

 また、コロナ禍における社会情勢や生活様式の変化により、全国的に自殺リスクがさらに高まるなど新たな課題が現れていることから、ストレス状況などを知ることができるウェブサイト「こころの体温計」の設置やゲートキーパーの養成などにより、市民のこころの健康づくりを進めてまいります。

(自ら取り組む健康づくりの促進)

 健康寿命の延伸に向けては、総合的ながん対策、予防接種、歯周病検診などを行うほか、インセンティブ制度の導入に向けた準備を進め、市民の健康意識の醸成などにより、継続的な健康づくりを推進してまいります。

(地域医療の充実)

 また、新型コロナウイルス感染症との闘いの最前線となっている地域医療の崩壊を招くことがないよう、新年度においても、北見医師会が運営する北見市PCR検査センターへの支援を継続するなど、関係機関と連携を進めながら、一層の対策を講じてまいります。

 さらに、安定的な医師、看護師の確保につなげるため、医学生等や北見医師会看護専門学校の学生に対して支援すると共に、常呂自治区唯一の医療機関である常呂厚生病院における施設・設備の整備等に対して必要な助成を行うなど、将来にわたり市民が安心して医療が受けられる医療提供体制の確保に努めてまいります。

 3点目は、「支えあう福祉の推進」であります。

(地域福祉活動の促進)

 人生100年時代において、SDGsの「誰一人取り残さない」という理念も踏まえ、誰もがいきいきと暮らし、地域内で互いに支え合う仕組みづくりを通じて、やさしい共生社会の実現に向けた取組を進めてまいります。

(高齢者福祉の充実)

 まず、高齢者福祉については、ごみ出しに困難を抱える高齢者等を対象に、ごみの戸別収集に加え、安否確認による見守りを行う支援制度を創設し、一定の支援が必要となっても住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう環境を整備してまいります。

(障がい者福祉の充実)

 次に、障がい者福祉については、障がいのある方が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、高齢化、重度化や「親亡き後」を見据え、本市と近隣4町が連携する北見地域定住自立圏において、新年度から基幹相談支援センターの運営を開始し、行政、医療、障がい福祉サービス事業所など関係機関の連携により、障がいのある方の生活を圏域全体で支える体制を整えてまいります。

 また、手話言語条例に基づき、手話通訳者の配置や手話動画の配信など、障がいのある方のコミュニケーションを支援してまいります。


(2)豊かな心と文化を育むまちづくり

 

 2つ目の教育・文化分野においては、「豊かな心と文化を育むまちづくり」を進めてまいります。

 

 1点目は、「豊かな心を育む教育の推進」であります。

(学校教育の充実)

 学校教育については、国のGIGAスクール構想による児童生徒1人1台のタブレット端末等を活用し、充実したICT教育を推進すると共に、市立学校の特別支援学級へのタブレット端末および大型デジタルテレビの配置を計画的に推進してまいります。

 また、学校司書の増員を行うほか、教育活動支援講師や各種コーディネーター、医療的ケア等を行う看護師の配置を継続し、個に応じたきめ細かな教育体制を一層充実してまいります。

 さらに、今年度策定する「北見市学校施設長寿命化計画」に基づく改修や修繕等により、学校環境の整備を推進してまいります。

(地域との連携による教育の推進)

 次に、地域との連携による教育については、全ての市立学校に導入したコミュニティ・スクールを通じて、学校・家庭・地域の連携を一層促進してまいります。

 また、地域資源であるカーリングについて、市立学校における授業での取組を拡充するなど、地域に根ざしたふるさと教育を一層推進してまいります。

(高校・大学等教育の充実)

 次に、高校・大学等教育については、経済的理由により修学困難な生徒および学生に対する奨学金や入学準備金貸付けなどを継続するほか、地方創生に向け、包括連携協定を締結している北見工業大学および日本赤十字北海道看護大学との連携を深めてまいります。

 2点目は、「共に学びあう生涯学習の推進」であります。

(生涯学習の充実)

 生涯学習の拠点である公民館については、働く婦人の家の一部機能を集約し、陶芸用の窯も備えた西地区公民館の改築を進めると共に、留辺蘂町公民館の耐震診断・現況調査を進めてまいります。

 また、中央図書館を核とした市内6館3室のネットワークと移動図書館を活用し、誰もが身近に本に親しみ、読書を楽しむことができるよう、きめ細かなサービスを提供してまいります。

(生涯スポーツの推進)

 次に、生涯スポーツについては、新たに地域おこし協力隊を配置し、昨年10月に供用開始したアルゴグラフィックス北見カーリングホールなどを拠点にプロモーションを展開するなど、カーリングの振興を図ってまいります。

 また、関係団体と連携したスポーツ教室などの開催により、市民の皆さまが誰でも、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しみが持てるよう、環境の充実を図ってまいります。

 3点目は、「地域文化を育む文化活動の推進」であります。

(芸術・文化活動の振興)

 市民ホールや公民館において音楽や演劇等の公演を開催するほか、北網圏北見文化センターにおいては、美術企画展やテーマを決めた所蔵品展の開催に加え、科学展示物の一部を更新し、芸術・文化の鑑賞機会を充実してまいります。

(文化財の保護・継承)

 文化財の保護・継承については、史跡常呂遺跡におけるトコロチャシ跡遺跡群の整備のほか、世界文化遺産登録に向けて東京大学との合同発掘調査や情報発信などを継続すると共に、観光資源としても活用してまいります。

(地域間・国際理解の推進)

 本年は、高知市と姉妹都市提携を結んで35周年を迎えます。その節目にあわせて、両市で記念式典を開催するなど、記念事業を進めてまいります。

 このような国内外の姉妹友好都市などとの多様な交流を通じ、これまでの友好関係を一層深めてまいります。

 また、新年度は、本市と近隣4町で形成する北見地域定住自立圏における取組の2年目となります。今後も圏域の活性化に向け、中心市としての役割をしっかりと果たし、1市4町が互いに独自性を尊重しながら、連携した取組を推進してまいります。


(3)にぎわいと活力あふれるまちづくり

 

 3つ目の産業・観光分野においては、「にぎわいと活力あふれるまちづくり」を進めてまいります。

 1点目は、「魅力と活力ある産業振興」であります。

 日米貿易協定、TPP11、日EU・EPAの相次ぐ発効により市場のグローバル化が一段と進む中にあっても、持続的に発展することができる農林水産業を確立していくことが重要であります。

(持続的に発展する農業の振興)

 まず、本市の基幹産業である農業については、全国一の生産量を誇るたまねぎをはじめ、小麦、ばれいしょ、てん菜などの基幹農産物および酪農・畜産の生産性向上を目指し、ほ場整備など土地改良事業を計画的に進めると共に、農業用機械の導入などを支援するほか、常呂町農業協同組合が建設した小麦乾燥調製貯蔵施設に係る固定資産税相当額を10年間助成し、利用者負担の軽減を図ってまいります。

 また、農業団体などと組織する北見産農産物輸出促進協議会を中心に、北見産たまねぎのロシアへの輸出促進や販路拡大を継続的に進めるなど、農業の競争力の強化を図るための取組を進めてまいります。

(豊かな林業の推進)

 林業については、健全な森林のさらなる整備を推進するため、国の森林環境譲与税を活用し、これまでの施策に加え、林業事業体に対して、安全装備品や作業負荷軽減装備品の購入費などの助成を新たに進めてまいります。

 また、森林は「緑の社会資本」として市民生活にさまざまな恩恵をもたらすことから、市有林の適正管理による温室効果ガス吸収の取組を継続すると共に、森林整備の必要性などについて理解促進を図ってまいります。

(活力に満ちた水産業の推進)

 水産業については、道が進める水産物供給基盤機能保全事業基本計画に基づき、引き続き、常呂漁港、栄浦漁港および第2サロマ湖漁場の機能保全を図ってまいります。

 また、関係企業や団体の皆さまの協力をいただきながら、ふるさと納税の返礼品として、当地域の水産加工品をはじめとする魅力ある商品を全国へとお届けしてまいります。

(地域に根づいた工業の振興)

 工業については、市外から進出するIT関連企業の雇用に対する補助要件を、移住者であれば1名から対象となるよう緩和するなど、テレワークを活用した地方進出を検討している企業のニーズに的確に対応すると共に、UJIターンを希望する個人のほか、テレワークによる移住を推進する企業の誘致・集積を図ってまいります。

(活気ある商業活動の促進)

 商業については、商店街振興や中心市街地の活性化に向け、経済団体などと組織する中心市街地活性化協議会を中心にイベントを開催すると共に、まちきた大通ビルの利活用を図るなど、まちのにぎわい創出や消費拡大につながる取組を進めてまいります。

(地域経済を支える中小企業の振興)

 また、このコロナ禍において、一層厳しい経営状況にある中小企業には、低利な融資あっせんや各種相談に対応するなど、事業継続を支援してまいります。

 さらに、起業・創業支援として、意欲ある取組に対し、開業時の家賃または改装費用に対する支援と、経営安定と基盤強化を図るための資金需要に対する支援との両輪により、開業前からの切れ目ない支援を行い、中小企業の振興につなげてまいります。

 2点目は、「にぎわいと交流の観光振興」であります。

(着地型観光の推進)

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、国内外の移動は大幅に制限されていますが、決して本市の持つ多彩な宝の魅力が失われたわけではありません。

 むしろ、本市は観光客が「密」とならず、適度な「疎」を保ちながら楽しめる観光スタイルに親和性が非常に高い地域であります。

 そこで、感染拡大防止策を徹底した上で、北見市観光協会とも連携し、「オール北見」でウィズコロナの時代におけるより厚みのある着地型観光を推進すると共に、観光PRにとどまらず、自然と都市機能の調和といった本市の優位性を市内外へ広く発信するシティ・プロモーションを強く推進してまいります。

 また、地域資源であるカーリングをモチーフとしたデザインのラッピングバスを市内路線で運行するほか、アルゴグラフィックス北見カーリングホールを核とした首都圏等でのプロモーションや合宿の誘致などにより、「カーリングのまち北見」のさらなる知名度向上と国内外からの交流人口や関係人口の拡大を図ってまいります。

(インバウンド対応の推進)

 さらに、アフターコロナを見据え、ところ遺跡の森において施設案内を多言語化するほか、観光商品を造成するなど、引き続きインバウンド対応を推進してまいります。

 3点目は、「創造性あふれる雇用環境の充実」であります。

(人材の定着・確保と雇用の促進)

 若者の地元定着を促進し、地元企業の雇用につなげられるよう、若者就活応援センターのウェブサイト「KITAMI WORKS」における就職情報提供やオホーツク合同企業説明会の道央圏での開催などに取り組むと共に、地域のものづくりを担う人材を確保するため、道立北見高等技術専門学院の入校生を対象とした奨励金制度を継続してまいります。

 また、道と連携し、東京圏からのUJIターンによる就業・起業者に対する交付金を支給し、地域のニーズと人材のマッチングを行ってまいります。

(多様な就労環境の創出)

 このコロナ禍を契機に地方への関心が高まっており、通勤ラッシュなどで過密状態になることも多い首都圏などの働き手にとって、豊かな自然に囲まれながら、余暇を兼ねて仕事ができる魅力的な環境への期待が広がっております。

 本市がこれまで取り組んできたサテライトオフィス北見を活用したテレワークの推進はもとより、本市の強みを活かし、観光地やリゾート地で休暇を取りながらテレワークするワーケーションを一層推進し、地方への人の流れを創出してまいります。


(4)自然と調和する安全な住み良いまちづくり 

 

 4つ目の環境・生活基盤分野においては、「自然と調和する安全な住み良いまちづくり」を進めてまいります。

 1点目は、「豊かな自然環境の保全」であります。

(自然共生と緑豊かな環境の創出)

 環境分野におけるSDGsの推進に当たっては、市民団体、企業などと組織する北見エコスクールSDGs協議会を通じ、環境保全に関する啓発活動に継続して取り組んでまいります。

 また、生活環境の悪化につながる犬や猫の不適正飼育を未然に防ぐため、新たに地域おこし協力隊を配置し、適正飼育に関する啓発などを行ってまいります。

(地球環境に配慮した低炭素型・循環型社会の構築)

 次に、低炭素型社会の構築に向けては、照明のLED化など、カーボン・マネジメントを着実に実践・評価すると共に、住宅等におけるエネルギー利用の効率化を図るため、定置用蓄電池を含めた住宅用太陽光発電システム導入や住宅等への木質ペレットを燃料とするストーブ導入に対する助成を継続してまいります。

 次に、循環型社会の構築に向けては、「食べ残しゼロ協力店」の認定など食品ロス削減に向けた啓発活動を推進するほか、廃棄物処理場については、リサイクルプラザの効率的な更新整備や保全管理に向けた長寿命化総合計画を策定し、廃棄物の安定的な処理体制を整えてまいります。

 また、「北見地域定住自立圏共生ビジョン」に基づき、4月から津別町の燃やすごみを廃棄物処理場で受け入れ、広域処理を行ってまいります。

 2点目は、「快適な生活空間の充実」であります。

(機能的な都市空間の創出)

 都市空間の創出については、民間事業者が中央大通沿道地区で計画している市街地再開発事業の実施に向け、今年度策定する「北見市市街地再生計画」に基づき、道などの関係機関と必要な協議を進め、中心市街地の活性化を一層推進してまいります。

 また、高速ブロードバンド環境未整備地域においては、将来的な5Gなどの情報通信基盤整備を見据え、引き続き、無線局を設置するために必要となる光ファイバ網の公設民営方式による整備を進めてまいります。

(道路網の充実)

 道路網の充実に向けては、北海道横断自動車道および遠軽北見道路について、高規格幹線道路網等の整備を促進するため、各期成会などの活動を通じ、事業中区間の早期完成と未事業化区間の早期整備着手を継続して国や道に強く働きかけてまいります。

 また、交通の利便性や安全性のさらなる向上のため、緊急性や必要性を勘案しながら市道や橋りょうの整備を順次進めると共に、除雪事業者へ貸し出す除雪車両の増車を行うほか、除雪グレーダなどを計画的に更新し、冬期間における安定した除雪体制を確保してまいります。

(公共交通の確保)

 次に、公共交通の確保に向けては、JR石北本線の路線維持存続問題が私たちの日常生活はもとより、地域の将来さえも左右しかねない重要な課題となっております。

 このため、JR北海道が線区ごとに策定したアクションプランに基づき、オホーツク圏活性化期成会石北本線部会での特急列車における車内販売や市独自の利用促進活動への助成など、マイレール意識の醸成に向けた取組を着実に実行してまいります。

 また、今年度策定した「北見市地域公共交通網形成計画」に基づき、留辺蘂自治区における交通システムの再編やバス待合施設の整備、路線バス運行経路の見直しに係る実証実験などを行い、市民が使いやすく、まちの変化にも対応した地域公共交通網の実現を目指してまいります。

(良質な住宅・住環境の形成)

 良質な住宅ストックの確保に向けては、住宅の省エネルギー化やバリアフリー化に係る改修費の助成を継続するほか、管理不全な空家等の除却費の助成などの空家等対策を計画的に推進してまいります。

 また、市営住宅については、北見自治区の高栄団地、端野自治区の親交団地、留辺蘂自治区の公園団地の建替に加え、新たに常呂自治区の北進町団地の建替に着手するほか、「北見市公営住宅等長寿命化計画」に基づく外壁などの改修を行い、安全で良質な住環境を整えてまいります。

(水道水の安定供給と下水処理の確保)

 次に、上下水道事業については、日々の生活に欠かせないライフラインである水道水の安定的な供給と衛生的な住環境を維持し、公共用水域の水質保全を図るため、中長期的な視点から施設の計画的な更新を行うほか、今月1日に供用を開始した上下水道局新庁舎の防災拠点機能を活かした運用を図ってまいります。

 3点目は、「地域の安全安心の確保」であります。

(防災の強化)

 本年1月に供用を開始した市役所新庁舎は、防災対策活動拠点施設として、防災無線をはじめとする災害時の情報通信機能と災害対策本部としての諸設備等を備えた庁舎となっており、災害時には「北見市地域防災計画」に基づく防災拠点としての機能を十分に発揮できるよう、運用体制を整えてまいります。

 あわせて、食料や発電機など従来の災害用備蓄品に加え、マスクや消毒液、パーティションなどを備え、感染症にも対応できる避難所の衛生環境を整えてまいります。

 また、今年度策定した「北見市強靭化計画」に基づき、市内普通河川の護岸改修などと共に、宅地耐震化に向けた大規模盛土造成地の調査を計画的に行い、より災害に強いまちづくりを推進してまいります。

 このほか、道路維持センターについては、暴風雪や豪雪災害発生時に除雪活動等の拠点として機能する新たな施設として整備するため、令和4年度の供用開始を目指し、基本・実施設計を進めてまいります。

(地域の安全の確保)

 次に、地域の安全の確保については、市民の皆さまに安心して公共施設を利用していただけるよう、自動体外式除細動器・AEDを計画的に設置、更新するほか、順次、用途廃止施設の解体・除却を進めてまいります。

 また、消防・救急救命体制については、新型コロナウイルス感染防止策を講じた活動を徹底するほか、消防車両や消防水利施設について計画的に更新いたします。

(消費者保護の充実)

 次に、消費者保護については、身近な窓口である消費生活センターにおいて、ますます多様化、複雑化する悪質商法や特殊詐欺などの消費生活相談に丁寧に対応し、被害の未然防止に努めてまいります。


(5)市民による自主自立のまちづくり

 

 最後に5つ目の地域・自治分野においては、「市民による自主自立のまちづくり」を進めてまいります。

 1点目は、「市民主体の住民自治の推進」であります。

(市政への市民参画促進)

 市政への市民参画については、「市長への手紙」によるニーズの把握と共に、動画共有サイトを活用した配信など、さまざまな機会を通じた市政情報の公開により、課題を共有してまいります。

 また、政策の意思決定過程において参画できる機会を創出し、市民の皆さまと共にまちづくりを推進してまいります。

(住民自治の推進)

 次に、住民自治については、市民主体の協働のまちづくりを一層推進するため、継続して町内会への加入を促進すると共に、住民自治推進交付金制度を通じ、地域コミュニティの活性化に努めてまいります。

 また、地域の拠点施設として、留辺蘂自治区の(仮称)温根湯温泉多目的住民センター整備を進めるほか、まちづくりパワー支援補助金により、市民が自ら考え、自ら実践する自主的なまちづくり活動を支援してまいります。

 2点目は、「互いに尊重する地域社会の形成」であります。

(多様性を認めあう社会の実現)

 多様性を認めあい、全ての人の人権が尊重され、誰もが性別に関わりなく個性と能力を十分に発揮し活躍できる社会を実現するため、「きたみワーク・ライフ・バランス認定事業所」の認定などの取組を一層推進してまいります。

(人権尊重のまちづくり)

 また、LGBTなど性的マイノリティの方々や性の多様性についての理解を促進するため、パートナーシップ制度の導入を見据えた市民啓発や職員研修など、人権尊重のまちづくり実現に向けた取組を推進してまいります。

 3点目は、「効率的な地域経営の推進」であります。

(行政運営の効率化・適正化)

 多様化・複雑化する市民ニーズに対応し、暮らしやすさを高めるためには、限られた地域の経営資源を最大限に活用することが必要であります。

 そのために、公共施設配置の最適化や民間活力のさらなる活用など、財政健全化の取組を一層推進すると共に、ふるさと納税については、返礼品を通して寄附者に本市の魅力を伝え、リピーターの増加につなげるなど、自主財源の確保に努めるほか、より効率的・効果的な行政運営に向けて着実な取組を進めてまいります。

(行政サービスの向上)

 また、国が進めているマイナンバーカードについて、利便性の周知を図ると共に、商業施設に臨時窓口を設けるなど、カードの交付率向上に向け、取り組んでまいります。

 さらに、本年1月に開始したコンビニエンスストアでの市民税等の収納や、本年3月に種類を拡充するコンビニエンスストア等における各種証明書等の自動交付に加え、将来の行政手続のオンライン化に向け、電子申請システムの整備による行政のデジタル化の取組を進め、より一層の行政サービス向上に努めてまいります。


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4.むすび

 

 以上、令和3年度の市政運営の基本的な考え方と主要施策について申し上げました。

 本市は、来月5日に1市3町の合併から15周年を迎えます。

 私は、人口減少と少子高齢化が加速する中、新型コロナウイルス感染症の脅威が長期化する状況であっても、直面する困難な課題に立ち向かい、このふるさと北見を誰もが住みたい、住み続けたい、そして笑顔あふれるまちにしてまいりたいと決意を新たにしたところであります。

 「世の中は決して行き詰まらぬ。もし行き詰まったものがあるなら、それは熱と誠がないからである。」日本近代医学の父と呼ばれる北里柴三郎博士は、一生をかけて感染症と闘いながら、ペスト菌を発見するなど、自ら一道を切り拓かれました。

 コロナ禍は、私たちの暮らしに大きな変化をもたらしましたが、変化を恐れず、新しい価値観も取り入れながら、より一層の覚悟と熱意を持って、誠心誠意、この難局を乗り越えた先にある未来に向けた取組を進めてまいります。

 市民の皆さま、議員の皆さまのご支援とご協力を引き続き賜りますよう、心からお願い申し上げ、新年度の市政執行方針といたします。


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