市政執行方針(平成31年2月)


市政執行方針(平成31年2月)
目次
1.はじめに
2.市政運営の基本姿勢
3.平成31年度の主要施策
(1)健康で安心して暮らせるまちづくり
(2)豊かな心と文化を育むまちづくり
(3)にぎわいと活力あふれるまちづくり
(4)自然と調和する安全な住み良いまちづくり
(5)市民による自主自立のまちづくり
4.むすび

市長写真

1.はじめに

 平成31年第1回定例北見市議会の開会に当たり、新年度の市政執行に対する私の所信を申し上げます。

 私が平成27年9月に市長に就任してから、まもなく3年半が経とうとしており、本年は、4年間の任期の締めくくりの年となります。

 この間、ふるさと北見を笑顔あふれるまちにしたいとの強い決意を胸に、新庁舎建設をはじめとする都市再生事業を着実に進めたほか、災害対応やこの地域のインフラとして必要である高規格幹線道路の整備促進に取り組むなど、課題に正面から向き合い、市政を運営してまいりました。

 とりわけ、「子どもたちこそ、北見の未来である」との強い思いのもと、子育て支援や教育環境の充実といった未来への投資に、力を注いできたところであります。

 今日に至るまで、市長としての重責を務めることができましたのも、ひとえに市民の皆さま、議員の皆さまのご理解とご協力の賜物と心から感謝申し上げます。

 さて、平成20年の1億2,808万人をピークに我が国の人口は減少に転じ、国立社会保障・人口問題研究所が昨年3月に公表した推計では、このままの低出生率で推移すると、オホーツク圏の人口は2045年に現在の約28万人から約18万人にまで減少するとされております。

 より一層の人口減少と少子高齢化の進展が予想される中、人生100年時代において、私たちは、従来の「教育・仕事・引退」という3つのステージの単線型の人生ではなく、より長く社会で活躍していくことを前提に、自分の状況に応じて、生涯に3つのステージを行き来する、いわゆるマルチステージの人生を送るようになると言われております。

 全ての市民が暮らし慣れたこのオホーツクの地で、いきいきと心豊かに長い人生を過ごしていくためには、私たちの生き方と共に、その生活の基盤である地域も、従来の枠組みにとらわれずに変わり、人々や地域同士が互いに連携し、貢献する新たな地域社会を創造する必要があります。

 本市と近隣町は、密接不可分の広域化した生活経済圏を成しており、その中心である本市は地域全体の活性化をけん引していく必要があります。

 私は、こうした思いのもと、中核都市である本市がこの圏域全体のマネジメントを担い、明るい未来につながる魅力あふれる地域の創造に向け、本日、定住自立圏構想に基づく中心市宣言を行ったところであります。

 今後は、本市との連携の意思をお示しいただいた美幌町、津別町、訓子府町および置戸町との1市4町の枠組みで「北見地域定住自立圏」の形成を目指し、中心市としての役割をしっかりと果たしながら、早期の協定締結に向け、医療・福祉や教育、産業振興などのさまざまな分野における連携の協議を進めてまいります。

 また、本年は、「第2期北見市総合計画」のスタートの年であると共に、平成という時代が終わり新しい時代が始まる節目の年でもあります。

 新たなまちづくりの指針のもと、これまでの取組を土台に、人口減少や少子高齢化、地域経済の活性化などの課題に引き続き取り組むほか、広域的な視点を要する課題にもしっかり対応し、総合計画に掲げる将来像「ひと・まち・自然きらめく オホーツク中核都市―未来を拓く活力創造都市 北見―」を目指してまいります。

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2.市政運営の基本姿勢

 

 次に、新年度の市政運営の基本的な考え方について申し上げます。

 

 地域課題がより顕在化する人口減少、少子高齢化時代における豊かな暮らしの実現に向けては、誰もがこのまちに愛着と誇りを持ち、自分たちのまちは自分たちの力でつくっていくとの気概のもと、市民と行政が連携しさらなる協働を進め、人と人のつながりを大切にするまちづくりを進めなければなりません。

 また、同時に本市には広大な市域の中に4つの自治区があり、それぞれ地域特性を活かした特色あるまちづくりを進めております。

 それを踏まえ、市民や来訪者が魅力を感じる機能などを地域拠点の周辺に集積させ、「各市街地」や「機能」といった「核」がコンパクトにまとまった拠点を形成し、その「核」をネットワークで有機的につなげていく、効率的で利便性が高いまちづくりが求められているところであります。

 その実現には、公共施設の複合化や総量削減など、「量」から「質」への転換を図る計画的な再配置を進めると共に、都市計画や公共交通ネットワーク全体の見直しなど、将来に向けた対応をしていかなければなりません。

 このような考えのもと、私は、「第2期北見市総合計画」でまちづくりの展開方針として定めた「多核連携型のコンパクトなまちづくり」と「市民主体の協働のまちづくり」の2つを基本姿勢に、施策を戦略的、横断的に推進すると共に、地方創生総合戦略や公約の着実な実現を通して、市民の皆さまと共に、持続可能なまち北見を全力で築いてまいります。

 新年度は、新たな総合計画に取り組むスタートの年であり、前期基本計画に掲げる5つの基本目標の今後5年間における評価指標の達成に向け、今般、具体的な施策である第1次実施計画を策定いたしました。

 限られた財源の中で、より高い効果が生み出せるよう、戦略的に事業を採択したところであり、この実施計画をふるさと北見のさらなる発展につなげてまいりたいと思いを強くしているところであります。


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3.平成31年度の主要施策

 

 次に、「第2期北見市総合計画」の5つの基本目標に沿い、新年度の主要施策について申し上げます。


(1)健康で安心して暮らせるまちづくり

 

 基本目標の1つ目は、「健康で安心して暮らせるまちづくり」であります。

 近年、異常気象により日本各地において台風や集中豪雨による風水害など多くの災害が発生しており、今もなお避難生活を余儀なくされている方もいらっしゃいます。幸いにも本市においては、昨年、大きな災害は発生しておりませんが、災害はいつ、どこで発生するかわかりません。災害から市民の生命や財産を守り、安全で安心なまちづくりを進めてまいります。

 まず第一に、「希望あふれる子育て支援の充実」であります。

(子育て支援の充実)

 子育て支援では、妊娠や出産、子育てに関する相談窓口である「子育て世代包括支援センター」における支援の充実を図るほか、高額な特定不妊治療費の助成、出産後の母親の身体的、心理的不調や育児不安などの解消に向けた産後ケア事業と産婦健康診査費用の助成、5歳児健康相談などを行ってまいります。

 また、新たに新生児の聴覚検査費用を助成し、聴覚障がいの早期発見と早期支援につなげ、音声言語発達等への影響を最小限に抑制していくなど、妊娠から出産、子育てまでの切れ目ない支援を行うことにより、安心して子どもを産み育てることができる環境を整えてまいります。

 また、子育て世代の経済的負担の軽減と子どもの健全な成長を支援するため、紙おむつ類無料回収や子ども医療費助成を引き続き行うことに加え、新たに中学3年生までの子どものインフルエンザ予防接種の助成を開始し、より一層の子育て支援の充実を図ってまいります。

(児童福祉と幼児教育の充実)

 次に、児童福祉と幼児教育では、東保育園において0歳児保育や一時預かりに対応した保育室を整備すると共に、今年度、中央保育園において開始した病児保育の継続に加え、新たに医療法人が実施する病児保育への運営費支援を行い、事業の拡充を図ってまいります。常盤子育て相談センターにおいては開設日を週5日間に拡充し、子育て世代がそれぞれのニーズに合わせて必要なサービスを利用できる環境を整えてまいります。

 さらに、深刻な保育士不足に対応するため、引き続き子育て支援員研修を行い、ファミリー・サポート・センターや一時預かり事業等における子育て支援の担い手を安定的に確保し、保育士の負担軽減を図ってまいります。

 また、子ども総合支援センター・きらりにおいては、新たにタブレット端末を導入し、それぞれの子どもの発達に合わせたより効果的な療育支援体制の充実を図ってまいります。

 そのほか、ご好評をいただいている屋内子ども遊戯場・パラきたKidsにおいては、利用者の皆さまにより満足いただけるような遊びと親子の交流環境づくりに努めてまいります。

(青少年の健全育成活動の推進)

 次に、青少年の健全育成活動では、留守家庭などの子どもたちが放課後、安全に安心して過ごせるよう、児童館・児童クラブの運営と活動内容の充実を図ってまいります。

 第二に、「健康に暮らせる保健・医療の充実」であります。

(健康づくり推進体制の充実)

 健康づくりの推進に向けては、幼児期からのむし歯予防として、幼稚園児、保育園児および小学生を対象にフッ化物洗口を継続して行うほか、自殺対策として、ゲートキーパーの養成や自殺対策講演会開催に引き続き取り組むなど、こころの健康づくりの市民への周知啓発に努めてまいります。

(自ら取り組む健康づくりの促進)

 次に、健康づくりの促進に向けては、中高齢者および妊娠中の方を対象に歯周病検診を行い、歯周病の早期発見と早期治療により歯の喪失を予防するほか、これまでの総合的ながん対策の推進などと併せ、市民の健康寿命の延伸と健康格差の縮小を目指してまいります。

(地域医療の充実)

 次に、地域医療では、将来の安定的な医師確保につなげるため、医師として市内で医療機関に勤務または開業しようとする医学生等に対し、修学または研修に必要な資金の貸付けを継続するほか、地域医療を支える看護師を安定的に確保するため、北見医師会看護専門学校の学生に対する修学資金の貸付けを行ってまいります。

 また、常呂自治区唯一の医療機関である常呂厚生病院の医療機器更新に対して助成を行うほか、医療福祉情報コミュニティ活動への支援も継続してまいります。

 第三に、「支えあう福祉の推進」であります。

(地域福祉活動の促進)

 人と人、人と地域が世代や分野を超えて丸ごとつながることで、一人ひとりの暮らしや生きがい、地域を共につくっていく、いわゆる共生社会の実現に向けて、市民や福祉関係者の参画のもと、「第4期北見市地域福祉計画」の策定を進めてまいります。

(高齢者福祉の充実)

 次に、高齢者福祉では、切れ目のない在宅医療と介護の提供体制を構築するため、(仮称)在宅医療・介護連携支援センターを新たに設置し、医療と介護の知識を有するコーディネーターを配置すると共に、「第8期北見市高齢者保健福祉計画および北見市介護保険事業計画」策定に向けて広く意見を伺うため、市民アンケートなどを行ってまいります。

(障がい者福祉の充実)

 次に、障がい者福祉では、外見から障がいがあることがわからない方などにヘルプマークおよびヘルプカードを配布し、援助や配慮を必要としている方々への市民の理解をより一層深める取組を継続すると共に、手話が言語であることや聴覚に障がいのある方の意思疎通支援についての理解を広げるため、手話言語条例の制定を進めてまいります。

 また、経済的負担を軽減するため、軽度・中等度難聴児に対する補聴器購入費や喉頭摘出等により声を失い人工喉頭の埋め込み手術を行った方に対する消耗品購入費などについて、引き続き助成してまいります。


(2)豊かな心と文化を育むまちづくり

 

 基本目標の2つ目は、「豊かな心と文化を育むまちづくり」であります。

 未来の北見を担う大切な存在である子どもたちが夢や希望を持って心豊かで健やかに育つことは、まちの持続的な発展に欠かせません。また、私たちが生涯学習や文化活動を通じて、より充実した人生を送ることができるよう、教育・文化に関する施策を展開してまいります。

 まず第一に、「豊かな心を育む教育の推進」であります。

(学校教育の充実)

 学校教育では、支援を必要とする児童生徒が増加傾向にある中、個々の特性に応じたきめの細かい効果的な学習支援が一層重要になるため、今年度から小中学校の特別支援学級および通級指導教室に導入しているタブレット端末および大型デジタルテレビを計画的に整備し、教育環境の充実を図ってまいります。

 さらに、児童生徒の個性や学力を伸ばすことや、新学習指導要領に対応するため、外国語指導助手を増員配置するほか、教育活動支援講師や各種コーディネーターを継続して配置し、充実した教育体制を構築してまいります。

 あわせて、医療的ケアおよび健康に配慮を要する児童生徒が健康かつ安全に学校生活を送ることができるよう、引き続き看護師を配置いたします。

 また、温根湯小学校と温根湯中学校を統合するため、中学校校舎を改修するほか、屋内運動場のバスケットゴール等の落下防止策を講じ、児童生徒の安全安心を確保してまいります。

 そのほか、児童生徒の読書活動を支援するため、計画的に学校司書を増員配置するなど、学校図書館の充実を図ってまいります。

(地域との連携による教育の推進)

 次に、地域との連携による教育では、地域と共にある学校づくりを目指すため、新たに学校運営協議会を設置し、コミュニティ・スクールを導入いたします。

 また、小中学校において地域資源であるカーリングを活用した授業を通し、地域と連携したふるさと教育を推進してまいります。

(高校・大学等教育の充実)

 次に、高校・大学等教育の充実では、包括連携協定を締結している北見工業大学および日本赤十字北海道看護大学との連携を強化していくほか、経済的理由により修学困難な生徒および学生に対する奨学金や入学準備金貸付けなどの支援を継続してまいります。

 第二に、「共に学びあう生涯学習の推進」であります。

(生涯学習の充実)

 生涯学習では、新たに地域おこし協力隊を配置し、社会教育団体の活動支援や人材育成などを行ってまいります。

 また、図書館では中央図書館を核とした市内6館3室のネットワークと移動図書館を活用し、利用者のニーズに応じたきめ細かなサービスを提供するほか、多彩なイベントを開催するなど、より多くの皆さまに満足いただけるサービスを展開してまいります。

(生涯スポーツの推進)

 次に、生涯スポーツでは、障がい者スポーツ競技の第一線で活躍している選手が講師となり、小中学生にスポーツのすばらしさや可能性に挑戦する勇気などについて伝える体験型プログラム「あすチャレ!スクール」や子どもの運動意欲向上等を図る多種目体験型スポーツ教室「Jr.アスリートチャレンジアカデミー」を継続してまいります。

 また、市民の皆さまが、さまざまなライフスタイルや年齢、体力、興味などに応じ、スポーツに関わりがもてるよう、スポーツ教室の充実に努めてまいります。

 第三に、「地域文化を育む文化活動の推進」であります。

(芸術・文化活動の振興)

 本市の芸術・文化の拠点である北網圏北見文化センターに地元作家を中心とする収蔵作品を日常的に鑑賞できるよう、常設美術展示室を設置することに加え、科学展示物の一部を更新し、芸術・文化の環境整備を図ってまいります。

 また、市民に安らぎや喜びをもたらし、感性豊かな人間性が育まれるよう、市民ホールや公民館において音楽や演劇等の公演を開催するほか、北網圏北見文化センターでは美術企画展等を開催いたします。

(文化財の保護・継承)

 文化財の保護・継承では、ところ遺跡の森復元竪穴住居再建の取組と共に、世界文化遺産への登録に向けて東京大学との合同発掘調査や情報発信を継続してまいります。

 また、市指定文化財である留辺蘂町開拓資料館の改修に着手いたします。

(地域間・国際理解の推進)

 地域間・国際理解の推進では、米国エリザベス市との姉妹都市提携50周年記念事業をはじめとする国内外の姉妹友好都市などとの多様な交流を通じ、今後一層の友好関係を築いてまいります。



(3)にぎわいと活力あふれるまちづくり

 

 基本目標の3つ目は、「にぎわいと活力あふれるまちづくり」であります。

 経済のグローバル化や人口減少、少子高齢化など、経済・社会環境が大きく変化する中で、市民の暮らしの基盤となる地域経済の活力を維持するため、基幹産業である農林水産業を基軸に商工業などを加えた多様な産業の活性化を図ると共に、多彩な地域資源を活かして人を呼び込み、まちのにぎわいへとつなげてまいります。

 まず第一に、「魅力と活力ある産業振興」であります。

(持続的に発展する農業の振興)

 何と言っても、全国一の生産量を誇る北見産たまねぎが本市農業の最大の強みであります。農業団体などと組織する北見産農産物輸出促進協議会を中心に、安全でおいしい北見産たまねぎの輸出促進を行い、販路拡大に努めるほか、長期安定出荷の拠点として、きたみらい農業協同組合が西相内に建設した集出荷選別施設について、利用者負担の軽減を図るため、固定資産税相当額を10年間助成してまいります。

 近年多発する大雨や台風などの自然災害は、農業にも大きな被害をもたらしました。国や道と連携し常呂地区の常呂川流域に設置されている樋門での排水対策を実施するほか、酪農家等の非常用電源導入費を助成し、災害に強い農業インフラを整えてまいります。

 このほか、引き続き農業者の高齢化や後継者不足に対応するため、新規就農者等の担い手への支援を行うほか、ほ場整備など生産性向上を図る土地改良事業を計画的に進めると共に、農地、水路、農道等の質的向上を図る地域との共同活動も支援してまいります。

(豊かな林業の推進)

 林業では、森林の無立木地を解消し、健全な森林の整備を推進するため、民有林の植栽、下刈り、除間伐に対する助成を行うほか、市有林の適正管理に加え、カーボン・オフセットに用いるクレジットの発行に向けた取組を進めてまいります。

(活力に満ちた水産業の推進)

 水産業では、道が進める特定漁港漁場整備事業計画に基づき、水産物の輸出に対応した衛生管理型漁港として常呂漁港の基本的な施設整備を進めると共に、栄浦漁港についても機能保全を図ってまいります。

(地域に根づいた工業の振興)

 工業では、本市の地域特性を活かせる企業のさらなる誘致・集積を図るため、これまでの進出企業への支援に加え、新たに市外から進出したIT関連企業に対し、出張など従業員の移動に係る航空運賃を助成してまいります。

(活気ある商業活動の促進)

 商業では、経済団体などと組織する中心市街地活性化協議会を中心に、空き店舗対策やにぎわい創出を行うなど、商店街振興や中心市街地活性化に向けた取組を進めてまいります。

(地域経済を支える中小企業の振興)

 本市の事業所のほとんどを占める中小企業については、「北見市中小企業振興基本条例」と今年度策定する「北見市中小企業振興プラン」に基づき、中小企業の経営安定と基盤強化を図るため、資金需要に対する支援や起業・創業を促す環境整備などを引き続き行ってまいります。

 さらに、豊富で質の高い農林水産物を活用した付加価値の高い商品開発と販路開拓を支援すると共に、大学や公設試験研究機関などと連携して取り組む産業クラスターの形成を引き続き推進してまいります。

 このほか、新たに国の地方創生推進交付金を活用し、市外から進出した企業と北見工業大学との共同研究や地元企業とのマッチングなどを行うことにより、新産業としてICT産業を創出し、地域の稼ぐ力の向上を図ってまいります。

 第二に、「にぎわいと交流の観光振興」であります。

(着地型観光の推進)

 新年度から、5年間を計画期間とする新たな「北見市観光推進プロジェクト」がスタートいたします。

 自然・歴史・文化・食など本市の多彩な地域資源を活用した着地型観光を推進し、その受入体制の強化を図るほか、サイクリング観光の推進や本市の魅力を発信するシティ・プロモーションを行うことにより、「行ってみたくなる北見」の実現に向けた取組を進めてまいります。

 さらに、新たに地域おこし協力隊を配置し、常呂自治区における観光ガイドや観光資源の発掘などを行うほか、JR石北本線の路線維持に向けた事業と連携し、鉄道の利用促進につながる各種事業を行ってまいります。

(インバウンド対応の推進)

 北海道を訪れる訪日外国人旅行者が増加していることから、本市においても宿泊施設や飲食店などの多言語対応や誘客推進など、インバウンドへの対応に取り組んでまいります。

 第三に、「創造性あふれる雇用環境の充実」であります。

(人材の定着・確保と雇用の促進)

 若者の地元定着を促すため、新たに大卒者情報センターのウェブサイトを開設し、就職情報提供のワンストップ化を図るほか、地元企業合同による企業説明会を道央圏でも開催するなど、地元企業の支援に直結する取組を進めてまいります。

 また、道立北見高等技術専門学院の入校生を対象とした奨励金制度を新設し、地域のものづくりの未来を担う人材を確保してまいります。

 さらに、新たに道と連携し、国の地方創生推進交付金を活用して、東京圏からのUJIターンによる就業・起業者に対する交付金を支給し、地域のニーズと人材のマッチングを行ってまいります。

(多様な就労環境の創出)

 場所や時間にとらわれない新たな働き方の提唱と人と仕事の誘引による地域経済の活性化を目指すため、引き続きサテライトオフィスを活用したテレワークの推進に努めるほか、UJIターンを希望する若年層や首都圏企業などへのPR活動に取り組んでまいります。



(4)自然と調和する安全な住み良いまちづくり 

 

 基本目標の4つ目は、「自然と調和する安全な住み良いまちづくり」であります。

 安全・安心で快適な生活環境が整った都市と自然が共生・共存するまちづくりを進めるため、各分野において環境・生活基盤に関する施策を展開してまいります。

 まず第一に、「豊かな自然環境の保全」であります。

(自然共生と緑豊かな環境の創出)

 自然環境の保全では、環境部門の持続可能な開発目標、いわゆるSDGsに対する市民全体の意識向上を図るため、市民団体、企業などと組織するエコスクールSDGs協議会を通じ、フォーラムの開催などに取り組むほか、北見工業大学との共同研究により、市内の小河川における水質の総合的評価と特定外来生物等の調査を引き続き行ってまいります。

(地球環境に配慮した低炭素型・循環型社会の構築)

 次に、低炭素型社会の構築に向けては、まちきた大通ビル、北見中高年齢労働者福祉センター、市立体育センターおよび北網圏北見文化センターにおいて、熱源の改修や照明のLED化などを行うと共に、温室効果ガス削減効果の解析や評価を行い、カーボン・マネジメントを実践してまいります。

 また、太陽光や木質バイオマスなど新たなエネルギーの活用をより一層推進するため、これまでの住宅用太陽光発電システム導入費の助成に加え、すでにシステムを導入している方への蓄電池導入費についても新たに助成するほか、引き続き住宅等への木質ペレットストーブおよびボイラー導入費を助成してまいります。

 次に、循環型社会の構築に向けては、効率的かつ効果的なごみ処理を推進するため、新たにごみ分別の方法などを簡単に調べることができるスマートフォン、タブレット端末向けのアプリケーションを導入するほか、埋立容量を確保するための大和最終処分場の第2期かさ上げ拡張を継続して進めてまいります。

 また、自然災害により発生する災害廃棄物を適正かつ円滑、迅速に処理するため、新たに「北見市災害廃棄物処理計画」の策定に着手いたします。

 第二に、「快適な生活空間の充実」であります。

(機能的な都市空間の創出)

 都市空間の創出では、「複合交通・地域交流拠点」の核となる新庁舎の建設など都市再生事業を引き続き着実に進めてまいります。

 また、やすらぎと潤いのある生活環境を確保するため、都市公園における計画的な遊具の更新や施設の修繕を行うほか、「北見市街路樹再整備計画」に基づき、街路樹の適正な維持管理に努めてまいります。

(道路網の充実)

 次に、道路網の充実では、北海道横断自動車道および遠軽北見道路の事業中区間の早期完成と未事業化区間の早期事業着手など高規格幹線道路網の整備促進について、各期成会などの活動を通じて、国や道に強く働きかけていくほか、交通の利便性や安全性のさらなる向上のため、緊急性や必要性を勘案しながら市道や橋りょうを整備いたします。

 また、冬期間における除雪体制については、近年頻発する大雪や暴風雪に備え、除雪事業者へ貸し出す除雪車両の増車を行うほか、除雪グレーダなどを計画的に更新してまいります。

(公共交通の確保)

 次に、地域公共交通の確保では、私たちの日常生活の移動手段であると共に、観光や物流の基幹を担っているJR石北本線の維持存続に向け、現在、JR北海道と地域で策定を進めているアクションプランに基づく取組として、利用促進活動への助成やマイレール意識の醸成に向け積極的なPRなどを行ってまいります。

 また、本市の公共交通ネットワーク全体をまちづくりと一体的に形づくり、持続可能な地域全体の交通システムのあり方を示す「北見市地域公共交通網形成計画」の策定に着手いたします。

(良質な住宅・住環境の形成)

 次に、住宅・住環境の形成では、良質な住宅ストックの確保を図るため、引き続き、住宅の省エネルギー化やバリアフリー化に係る改修費の助成を行うほか、管理不全な空家等の除却費の助成を行い、空家等対策を進めてまいります。

 また、市営住宅では、北見自治区の高栄団地、端野自治区の親交団地、留辺蘂自治区の第2東町団地の建替えを継続するほか、「北見市公営住宅等長寿命化計画」に基づき、浴室のユニットバス化などの居住環境改善を行い、建物の適切な維持保全と長寿命化を図ってまいります。

(水道水の安定供給と下水処理の確保)

 次に、上下水道事業では、安定的な水道水の供給と衛生的な住環境を維持し、公共用水域の水質保全を図るため、中長期的な視点から施設の計画的な更新を行うほか、新庁舎建設に合わせ、防災拠点機能を充実させた上下水道局庁舎の整備を進めてまいります。

 第三に、「地域の安全安心の確保」であります。

(防災の強化)

 昨年は、大雨、台風、地震と日本列島が多くの大規模自然災害に見舞われ、本道においても北海道胆振東部地震が発生し、道内全域が停電となる未曾有の事態を経験いたしました。

 いつ、どこで発生するかわからない自然災害から市民を守るため、災害に強いまちづくりを進めてまいります。

 まず、市民の生命、身体および財産を災害等から守るため、「北見市地域防災計画」をより実効性の高いものに改訂いたします。

 また、避難所の機能を高めるため、食料や毛布のほかダンボールベッドや可搬式のガス発電機などを整備し、災害用備蓄品の充実強化を図ってまいります。

 さらに、河川の状況を迅速に把握するため、流域の警戒箇所に監視カメラを引き続き増設し、河川監視体制を強化するほか、市内の普通河川の護岸改修などを行ってまいります。

(地域の安全の確保)

 次に、地域の安全の確保では、市民の皆さまに安心して公共施設を利用していただけるよう、自動体外式除細動器・AEDを計画的に設置、更新するほか、煙突等にアスベストを使用している施設においては、その除去や封じ込めを行うなど適切な施設の維持管理に努めてまいります。

 また、消防・救急救命体制については、水難事故に安全かつ迅速に対応するため、潜水資機材を整備するほか、消防車両や消防水利施設についても計画的に更新いたします。

(消費者保護の充実)

 次に、消費者保護では、消費生活センターにおいて訓子府町、置戸町からの消費生活相談も広域的に受け入れ、ますます多様化、複雑化する悪質商法や特殊詐欺による被害などの相談に対応いたします。



(5)市民による自主自立のまちづくり

 基本目標の5つ目は、「市民による自主自立のまちづくり」であります。

 多様化、複雑化するまちづくりの課題に的確に対応していくためには、これまでの行政主導型ではなく、地域課題を自ら解決する市民の皆さまが主体となる住民自治が大変重要であります。まちづくりの最高規範である「北見市まちづくり基本条例」の理念に基づき、市民が共に手を携えて力を出しあう協働のまちづくりを進めていくことにより、私たちにとって魅力と活力にあふれた住み良いまちを実現できるとの考えのもと、地域・自治に関する施策を展開してまいります。

 まず第一に、「市民主体の住民自治の推進」であります。

(市政への市民参画促進)

 市政への市民参画では、さまざまな機会を通じ、市政情報をオープン化し、市民の皆さまと課題を共有すると共に、政策の意思決定過程における市民参画の機会を創出し、共にまちづくりを進めてまいります。

(住民自治の推進)

 次に、住民自治では、町内会活動の活性化を促すため、北見市北見自治会連合会へ支援するほか、町内会への加入率向上に向け、アパートやマンション入居者への町内会加入促進の取組を進めてまいります。

 また、新たに地域おこし協力隊を配置し、北見自治区における地域住民活動などへの支援を行うほか、住民自治推進交付金制度については、引き続き、さまざまな事例を研究すると共に、地域コミュニティのあり方について検討を進めてまいります。

 さらに、地域の拠点施設として、常呂自治区において、(仮称)日吉地区複合施設、留辺蘂自治区において、(仮称)旭コミュニティセンターの整備を進めるほか、各自治区の特長を活かした地域振興を目指し、市民が自ら考え、自ら実践する自主的なまちづくり活動を推進するため、まちづくりパワー支援補助金により、自治区ごとの取組を引き続き支援してまいります。

 第二に、「互いに尊重する地域社会の形成」であります。

(多様性を認めあう社会の実現)

 昨年度策定した「第2次北見市男女共同参画基本計画」に基づき、誰もが人権を尊重され、男女が性別に関わりなく個性と能力を十分に発揮して活躍できる社会の実現に向け、シンポジウムの開催や「きたみワーク・ライフ・バランス認定事業所」の認定などに取り組んでまいります。

(人権尊重のまちづくり)

 また、LGBTをはじめとする性的マイノリティの方々の人権に配慮し、市に提出していただく申請書の一部で性別欄を削除するほか、シンポジウムを開催し、多様な性のあり方についての理解促進を図るなど、人権尊重のまちづくりの実現に努めてまいります。

 第三に、「効率的な地域経営の推進」であります。

(行政運営の効率化・適正化)

 さまざまな取組を推進し、市民の暮らしやすさを高めるためには、収支均衡がとれた健全な財政運営が必要であります。

 そのため、公共施設配置の最適化や民間活力のさらなる活用など、引き続き、財政健全化の取組をしっかりと進めてまいります。

(行政サービスの向上)

 また、行政サービスの利便性向上を図るため、新年度中にコンビニエンスストア等において戸籍証明書等の自動交付を開始いたします。


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4.むすび

 

 以上、平成31年度の市政運営の基本的な考え方と主要施策について申し上げました。

 今月8日に「団塊の世代」など時代を象徴したキーワードを世に送った作家の堺屋太一さんが亡くなりました。堺屋さんは、旧通商産業省の官僚として、昭和45年の大阪万博を提案、企画され、沖縄海洋博にも携わられました。退官後は、作家、評論家として活動されると共に、小渕内閣において民間人閣僚の経済企画庁長官として入閣され、第2次森内閣までの2年5か月間務められました。今から22年前の平成9年には、新聞紙上で「平成三十年」という、その当時から20年後の日本を描いた近未来小説を連載し、その中で、年間出生数100万人割れなどの少子化や晩婚化、年金支給年齢の段階的引き上げ、住宅新築件数の半減、郊外ニュータウンの高齢化、地方の衰退、当時議論されていた首都機能移転が実行に移されずにその後も東京一極集中が続くことなど、一般の国民が漠然と捉えていた日本の未来の姿を、人口推計という統計を読み解くことで、イメージが湧く世界として描いております。

 今振り返ると、小説に描かれたとおり当時から今日に至るまで、私たちの大きな課題は、はっきりしているのであります。先ほどの小説「平成三十年」には、「何もしなかった日本」という残念なフレーズが副題となっておりますが、課題への対応はまさに待ったなしであります。

 子育て支援により、子どもを産み育てやすい環境を整えると共に、地域包括ケアシステムの構築により、高齢者が安心して暮らすことができるまちをつくるなど、少子高齢化に対応する必要があります。

 また、人口減少社会に対応するためには、地域拠点化によりコンパクトなまちづくりを進め、それをネットワークでつなぐ「多核連携型のコンパクトなまちづくり」、一層の行政のスリム化や事務事業の効率化に加え、市民と行政が連携し、さらなる協働を進めることにより、多様化・複雑化する地域課題の解決を図る「市民主体の協働のまちづくり」を行う必要があります。

 さらに、東京圏、札幌圏に埋没しないよう、オホーツク圏として連携をより一層進めると共に、観光産業など外貨を稼ぐ取組も、わがふるさと北見の持続的な発展に欠かせません。

 私は、これらの取組の先頭に立って、明日を築き、笑顔ひろがる北見の実現にしっかりと取り組んでまいります。

 最後に、市民の皆さま、議員の皆さまのご支援とご協力を、引き続き賜りますよう、心からお願い申し上げ、新年度の市政執行方針といたします。


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