市政執行方針(平成30年2月)


市政執行方針(平成30年2月)
目次
1.はじめに
2.市政運営の基本姿勢
3.平成30年度の主要施策
(1)自然と共生する安全・安心のまちづくり
(2)豊かな心と文化を育てるまちづくり
(3)支えあい、一人ひとりを大切にするまちづくり
(4)活力を生み出す産業振興のまちづくり
(5)住む喜びを実感できる生活優先のまちづくり
(6)市民とつくる信頼と協働のまちづくり
4.むすび

市長写真

1.はじめに

 平成30年第1回定例北見市議会の開会にあたり、新年度の市政執行に対する私の所信を申し上げます。

 私は、市長として市政を担わせていただいて以来、常に、市民の皆さまが何を求め、そして、この北見の将来にとって何が必要かという視点のもとに、市政が抱える多くの課題に全力で取り組んでまいりました。

 市民並びに議員の皆さまには、さまざまな形で深いご理解とご協力を賜り、心から感謝を申し上げます。

 はじめに、連日熱戦が繰り広げられております平昌冬季オリンピックにおいて、選手全員が北見市出身のLS北見がカーリング女子日本代表として、さらに男子日本代表には、同じく北見市出身でSC軽井沢クラブの平田選手が出場いたします。

 夢と希望をストーンに込め、世界の大舞台で挑戦する選手の皆さんには、並み居る強豪相手に、これまでの努力と仲間を信じて、持てる力を存分に発揮されるよう期待すると共に、市民の皆さまと一緒に熱い声援を送りたいと思います。

 さて、世界情勢に目を向けますと、中東地域などにおいて紛争やテロが続き、隣国の度重なるミサイル発射や核実験など安全保障上の懸念も継続する中、経済、産業分野では経済連携や自由貿易協定の議論が活発化するなど、国際的な枠組みが大きな変革期を迎えております。

 わが国では、少子高齢化や人口減少社会の到来に加え、経済の低成長や大都市圏への一極集中などにより、従来の社会制度にひずみが生じつつあります。

 地方においては、若者世代の都市部への流出や労働力不足などの問題が顕在化しており、こうした状況に対応する必要があることから、経済活性化による魅力ある雇用の創出や、仕事と育児や介護をはじめとする仕事以外の生活との調和を図る「ワーク・ライフ・バランス」の推進、潜在的労働力の活用が不可欠となっております。 

 本市においては、昨年1年間の有効求人倍率が12か月連続で全道平均および前年同月を上回るなど、数値的には良い傾向が表れている一方、専門技術職などにおいては、求人数と求職者数に大きな不均衡が見られることから、地場産業の担い手育成や若者の地元雇用促進、労働生産性の向上を図る必要があります。

 本市の特色や多くの地域資源を最大限に活かすと共に、市民の皆さまと行政が目指すまちの姿を分かちあい、地域が一体となった取組により、将来にわたり魅力にあふれ、輝き続ける持続可能なまちが実現すると考えます。

  私は、時代の潮流をしっかりと見定めると共に、多くの方々と力を合わせ、活力ある北見、そして誰もが住みたい、住み続けたいと思えるまちづくりを進めてまいります。

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2.市政運営の基本姿勢

 

 それでは、新年度の市政運営の基本的な考え方について申し上げます。

 

 平成30年度は、現「北見市総合計画」の最終年度となることから、その総仕上げとして、基本構想に掲げる将来像「ひと・まち・自然きらめくオホーツク中核都市-安心な活力都市 北見-」の実現を目指し引き続き取り組むと共に、平成31年度から始まる次期総合計画を策定いたします。

 本年1月29日には、向こう10年間の総合的かつ計画的な行政運営の指針、そして、まちづくりの長期的な指針となる基本構想案について、北見市総合計画審議会から答申をいただきました。

 基本構想案には、長期的なまちづくりにおいて、自然と共生しつつ、現行計画が掲げる将来像である「市民一人ひとりのきらめき」を今後も引き継ぐと共に、サブタイトルとして新たな時代を切り拓く意の「-未来を拓く活力創造都市 北見-」が掲げられました。

 さらには、少子高齢・人口減少社会が本格的な到来を迎え、地方分権の進展や社会経済情勢にも刻々と変化が予想される中、今後のまちづくりの基本姿勢として、

 1.多核連携型のコンパクトなまちづくり

 2.市民主体の協働のまちづくり

2つからなる「持続可能なまちづくりの展開方針」が示されたところであります。

 1つ目の「多核連携型のコンパクトなまちづくり」につきましては、今後の急速な人口減少に伴い、空き家、空き店舗の増加や居住・商業機能が空洞化し、高齢者をはじめとした交通弱者の生活利便性が低下するなど、地域課題が一層顕著となることが予想される中、4つの自治区からなる本市において豊かな暮らしの実現のため、地域特性や都市構造、人口規模に応じた新しいまちづくりの考え方の基本となるものであります。

 具体的には、市民や来訪者が魅力を感じる機能などを核となる地域拠点に集約させることで、拠点一帯の賑わいを創出することに加え、空き家、空き店舗の利活用と、人々の居住誘導や集住化を促すものであり、都市機能がよりコンパクトにまとまり拠点を形成し、交通ネットワークなどにより有機的につながることで、効率的で利便性が高い持続可能なまちづくりを推進するものです。

 2つ目の「市民主体の協働のまちづくり」につきましては、地方分権が進展し、地域が自らの考えと判断のもと、特性を活かしたまちづくりを進めていくことが求められている今日、一層の行政のスリム化や事務事業の効率化に加え、市民と行政の相互理解と連携に基づく地域の公共的な課題の解決に取り組むための考え方となるものであります。

 多様化・複雑化する地域課題の解決に向け、市民と行政が連携し、さらなる協働を進めることで、自立した住民自治を促進し、人と人のつながりや心豊かな暮らしを創造するまちづくりを推進するものであります。

 この2つの展開方針は、市の総合計画における各分野、施策を横断して進めるものであり、今後、この答申を踏まえ基本構想について市の成案としてまとめ、議会にお諮りすると共に、基本構想に示される「まちづくりの基本目標」の実現に向けて、基本計画の策定を進めてまいります。

 また、地方創生への対応につきましては、平成28年2月に策定した「北見市地方創生総合戦略」に基づき、本市の暮らしやすさを将来にわたって維持すると共に、子育て環境の整備による少子化対策や若者等の雇用確保に向け地域の宝を活用した経済活性化策の展開を図っているところであります。

 人口減少対策につきましては、息の長い取組が必要と認識しており、今後とも総合戦略で定めた諸施策を一つひとつ着実に実行し、明日の北見を創ってまいります。

 都市再生事業に関して、昨年の第4回定例市議会において、新庁舎建設に係る工事契約の議決をいただき工事に着手したところであり、平成32年度の事業完成に向け、取り組んでまいります。

 また、引き続き、近年頻発する自然災害への備えなど安全・安心なまちづくりをはじめ、社会福祉の充実、教育環境整備など、市民ニーズを踏まえた事業展開を図ると共に、圏域として大きな課題であるJR北海道問題への対応についても、中核都市としてリーダーシップを持って取り組んでまいります。


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3.平成30年度の主要施策

 

 本市においては、日本全体の傾向と同様に人口減少、少子高齢化の進展が予想され、社会保障関連経費の増加や老朽化が進む公共施設の更新など、財政状況についても厳しさを増すことが見込まれております。しかしながら、市民生活に直結する医療、福祉、子育てや教育等の各分野への対応はもとより、北見市地方創生総合戦略に沿った人口減少対策など、諸課題への取組を進めていかなければなりません。

 これらを踏まえ、「北見市総合計画」後期基本計画の具体的な施策である実施計画について、第10次となる計画を策定したところであります。

 現総合計画は平成30年度が最終年となりますが、本市が目指す将来像「ひと・まち・自然きらめくオホーツク中核都市-安心な活力都市 北見-」の実現に向け、総仕上げとなるよう着実な実行を図ってまいります。

 それでは、「北見市総合計画」の6つの基本目標に沿って、新年度の主要施策について申し上げます。


(1)自然と共生する安全・安心のまちづくり

 

 第一は、「自然と共生する安全・安心のまちづくり」であります。


 近年、異常気象により日本各地において台風や集中豪雨による風水害など多くの災害が発生しており、今もなお避難生活を余儀なくされている方もいらっしゃいます。幸いにも本市においては、昨年、大きな災害は発生しておりませんが、災害はいつ、どこで発生するかわかりません。災害から市民の生命や財産を守り、安全で安心なまちづくりを進めてまいります。

 まず、防災の強化については、昨年度、国において想定し得る最大規模の降雨を前提に新たな「洪水浸水想定区域図」が公表されたことを受け、本年度端野自治区および常呂自治区の洪水ハザードマップを作成しました。現在、国と同様に北海道管理河川についても見直し作業が進められており、新年度にはその結果を市民の皆さまに周知するため北見自治区および留辺蘂自治区の洪水ハザードマップを作成いたします。

 また、災害時に避難者へ提供する食料や毛布などの災害備蓄品の整備を引き続き進めると共に、大雨災害時に河川の状況を迅速に把握するための監視カメラを増設し、河川監視体制の強化を図ってまいります。

 消防体制の充実強化については、近年増加している台風や集中豪雨に起因する水難事故に安全かつ迅速に対応するため、ダイブコンピュータを新たに導入するほか、消防車両や消防水利施設についても計画的に更新いたします。

 平成28年8月、北海道に次々と上陸した台風により、本市においても記録的な大雨による甚大な被害が発生いたしました。このうち、イトムカ橋護岸の改修および大和地区の排水対策を国と連携し進めるほか、市内の普通河川についても護岸改修などを行ってまいります。

 また、市民の皆さまが安心して公共施設を利用することができるよう、AED・自動体外式除細動器を計画的に設置、更新するほか、煙突等にアスベストを使用している施設においては、その除去や封じ込めを行うなど適切な施設の維持管理に努めてまいります。

 次に、消費者保護につきましては、昨年度開設した「北見市消費生活センター」において訓子府町、置戸町からの相談者も広域的に受け入れ、悪質商法による被害や商品事故の苦情などの相談に対応いたします。

 環境保全では、北見工業大学との共同研究事業として市内小河川における水質の総合的評価と特定外来生物等の調査を引き続き実施するほか、新エネルギー関係では、環境負荷の低減と新エネルギーの普及促進を図るため、住宅用太陽光発電システム導入費に対する助成を行ってまいります。

 また、市道の街路灯については、ランニングコストの縮減と環境負荷の低減を図るため、水銀灯からLED灯へ切り替えると共に、町内会等が設置するLED防犯灯への助成についても引き続き実施いたします。

  効率的かつ効果的なごみ処理を推進するため、新年度に計画期間が終了する「北見地域循環型社会形成推進地域計画」の次期計画策定に取り組むほか、計画的に整備している廃棄物処理場施設の長寿命化と二酸化炭素削減のための基幹的整備を進めてまいります。

 また、埋立容量を確保するための大和最終処分場の第2期かさ上げ拡張整備を継続すると共に、PFIの手法により事業を行っている留辺蘂自治区の「北見市ほか2町一般廃棄物最終処分場」については、平成31年度からの新たな運営に向け取り組んでまいります。

 公園や街路樹の維持管理では、子どもから高齢者まで誰もが安全に利用できる都市公園環境の整備を進めるため、計画的な遊具の更新や施設の修繕を行うほか、「街路樹再整備計画」に基づき街路樹の適正な維持管理に努めてまいります。


(2)豊かな心と文化を育てるまちづくり

 

 第二は、「豊かな心と文化を育てるまちづくり」であります。

 近年の高度情報化やグローバル化、少子高齢化など急激に社会が変化する中で、私たちが心豊かでより充実した人生を送るためには、学校教育をはじめ生涯各期における学習機会の充実や環境整備が必要となります。本市が推進する教育・学術および文化の振興に関する総合的な方針を示す「北見市教育大綱」については、「北見市総合教育会議」において新たな大綱の策定作業を進めると共に、子どもたちが心身共に健やかに成長し、市民一人ひとりが生涯学び続ける喜びを実感できる環境を整備してまいります。



 まず、生涯学習の充実では、新館のオープン以降多くの市民の皆さまに利用いただいている中央図書館について、今後も各種イベントの開催、蔵書の入れ替えや視聴覚資料の購入を進め、より多くの市民の皆さまに満足いただけるようなサービスを展開いたします。

 学校教育では、現在進めている留辺蘂小学校改築事業においてグラウンドおよび外構整備を実施するほか、小中学校屋内運動場のバスケットゴール等の落下防止対策を計画的に実施し、児童生徒の安全安心を確保してまいります。

  また、本年度から小学校の普通教室に導入している実物投影機およびデジタルテレビについては、中学校の全普通教室に導入してまいります。あわせて、教育活動支援講師や各種コーディネーターを継続して配置し、充実した教育体制の構築に努めてまいります。

 学校図書館につきましては、引き続き計画的に学校司書を増員すると共に、図書管理環境の充実を図るため、専用パソコンを配置し、児童生徒の読書活動を支援してまいります。

 特別支援教育においては、特別な支援を必要とする児童生徒が増加傾向にある中、個々の特性に応じたきめの細かい効果的な学習支援が一層重要になることから、新年度より新たに小中学校の特別支援学級および通級指導教室にタブレット型パソコンおよびデジタルテレビを計画的に導入し、学習環境の充実を図ってまいります。

 また、障がいにより移動が困難な児童の学習環境の改善を図るため、美山小学校にエレベーターを設置するほか、医療的ケアおよび健康に配慮を要する児童生徒が健康かつ安全に学校生活を送ることができるよう、引き続き看護師を配置いたします。

 児童生徒の安全確保では、通学路における危険箇所を把握し、関係機関との連携により通学区域の環境改善に努めてまいります。

 青少年の健全育成では、国際的視野に立った青年の人材育成を目的とした海外派遣研修の実施や本市での開催が本年で4年目となるアジア国際子ども映画祭の運営のほか、利用人数の増加により手狭となっているとん田児童センターの児童クラブ室の増築拡張工事を実施いたします。

 芸術・文化の振興では、市民に安らぎや喜びをもたらし感性豊かな人間性が育まれるよう、市民ホールや公民館において音楽や演劇等の公演を開催するほか、北網圏北見文化センターでは美術企画展等を開催いたします。

 スポーツ振興では、障がい者スポーツ競技の第一線で活躍している選手を講師に招聘し、小中学生が心と体でスポーツのすばらしさや可能性に挑戦する勇気などについて学ぶ体験型プログラム「あすチャレ!スクール」を新たに実施するほか、これまで夏季競技を中心に実施していた多種目体験型スポーツ教室「ジュニアアスリートチャレンジアカデミー」につきましては、新年度からカーリングやスケート等の冬季種目を追加して実施してまいります。

 また、老朽化している東地区市民トレーニングセンターについては、同エリアに各種体育施設が集中していることから、「公共施設マネジメント基本計画」に基づき、同類施設へ機能分散し解体を進めてまいります。


 文化財の保護・継承では、引き続きところ遺跡の森復元竪穴住居の再建に取り組むと共に、世界文化遺産への登録に向けて東京大学との合同発掘調査や情報発信を継続してまいります。



(3)支えあい、一人ひとりを大切にするまちづくり

 

 第三は、「支えあい、一人ひとりを大切にするまちづくり」であります。


 市民の価値観やライフスタイルが多様化する一方、高齢化や核家族化の進行と相まって、よりきめ細かな福祉サービスの提供が求められております。市民一人ひとりが自分らしく笑顔で生き生きと活躍し、互いに支えあうことができるまちとするため、健康づくりへの支援、子育て支援や地域医療の充実に取り組んでまいります。

 地域医療の充実では、休日、夜間における一次救急医療確保のために開設している休日夜間急病センターは、施設の老朽化・狭隘化が進んでいることから、新年度から新施設の整備に向けた検討を開始し、市民の皆さまが安心できる医療体制の確保に努めてまいります。

 また、将来の安定的な医師確保につなげるため、医師として市内で医療機関に勤務又は開業しようとする医学生等に対し、修学又は研修に必要な資金の貸付を継続するほか、地域医療を支える看護師を安定的に確保するため、北見医師会看護専門学校の学生に対する修学資金の貸付も行ってまいります。さらに、常呂自治区唯一の医療機関である常呂厚生病院の医療機器更新に対して助成を行うほか、医療福祉情報コミュニティ活動への支援も継続いたします。

 市民の健康づくりでは、子宮頸がん、乳がん、大腸がん、胃がん、肺がんの5大がん全ての受診勧奨を行うと共に、子宮頸がん、乳がんについては無料クーポンを配付するなど、がん検診の総合支援事業に引き続き取り組んでまいります。

 また、歯を健康に保つことは単に食物を咀嚼するだけでなく、食事や会話を楽しむなど、豊かな人生を送る基礎となるものであります。幼児期からのむし歯予防として、幼稚園児、保育園児および小学生を対象にフッ化物洗口を継続するほか、中高齢者および妊娠中の方を対象に歯周病検診を実施いたします。

 安心して子どもを産み育てられる環境の整備では、特定不妊治療を受けている夫婦の経済的負担の軽減を図り、少子化対策に資するため、特定不妊治療に係る経費の助成を継続してまいります。

 また、近年核家族化の進行に伴い、産後の支援が十分に受けられない方が増加傾向にあることから、産後の支援が必要な産婦を対象に、助産師が訪問型および来所型サービスにより心身のケアを行う産後ケア事業を新たに実施するほか、産後うつの予防や新生児期の子育てに係る支援が必要な方を早期に把握するため、全ての産婦を対象に産婦健康診査に係る経費を助成してまいります。

 児童福祉では、子どもに関する相談窓口の一本化を図ると共に母子保健事業や子育て支援事業での情報共有を図るため、「北見市子育て世代包括支援センター」を新たに設置し、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を目指してまいります。

また、乳幼児期における育児の経済的支援策として、紙おむつ無料回収事業を継続するほか、未就学児の通院および中学生までの入院、訪問看護に係る医療費の一部を助成いたします。さらに、多くの利用者から好評の屋内子ども遊戯場・パラきたKidsについては、より満足いただけるよう施設運営に努めるほか、常呂自治区において老朽化が進む常呂保育園については、現在分散しているかもめ保育所と子育て相談センターを集約し移転改築することで、保育環境のさらなる充実を図ってまいります。

 昨今、保育士不足は全国的に深刻な問題となっております。このことから、子育て支援員研修を新たに実施し、子育て支援分野における必要な知識や技能等を習得することで、ファミリーサポートセンターや一時預かり等の保育事業に従事する人材を確保し、子どもが健やかに成長できる環境や体制の維持に努めてまいります。

 高齢者福祉では、健康寿命の延伸を目的に本年度から全自治区を対象として実施している認知症予防事業を引き続き実施いたします。

 障がい者福祉では、障がいのある方等への理解を深めるため、市民向けフォーラム等を開催してまいります。

 また、外見では障がいがあることがわからない方などにヘルプマークおよびヘルプカードを配布し、援助や配慮を必要としている方々への市民理解を深める取組を進めてまいります。さらに、喉頭摘出等により声を失い人工喉頭の埋め込み手術を行った方の経済的負担を軽減するため、衛生面等の保持に必要な消耗品の購入費等について新たに助成いたします。



(4)活力を生み出す産業振興のまちづくり 

 

 第四は、「活力を生み出す産業振興のまちづくり」であります。

 生産年齢人口の減少や経済のグローバル化、産業構造の変化、地域間競争の激化など、社会経済を取り巻く情勢は著しく変化しています。こうした中、本市産業が持続的に発展していくためには、強みである一次産業や大学などの地域資源を活かしつつ、産業間連携を強めることで、技術や雇用を伸ばし足腰の強い地場産業の振興を図ってまいります。

 まず、雇用の確保では、大学新卒者等の地元への就職を促す取組として、地元企業合同による会社説明会を開催すると共に、大卒者や季節労働者などへのきめ細かなサポートを行います。

 技能振興では、近年、若年層の技能・ものづくり離れが顕著であり、今後ますます技能士等の人材不足が懸念されております。その状況に対処するため、ものづくりの未来を担う人材の地域への定着を目的に、「北海道立北見高等技術専門学院」の入校生を対象とした技能者育成奨励金制度を新設し、PRしてまいります。併せて、児童等がものづくりを体験するプログラムを実施するほか、市外から料理人等の講師を招聘し、地場産品を活用した新製品の開発を行うための講習会を開催するなど、技能・ものづくりに関する普及啓発事業を実施いたします。

 農業の振興では、全国一の生産量を誇る北見産たまねぎの安全・安心・高品質という強みを活かし、農協などと組織する「北見産農産物輸出促進協議会」を基軸に、「オール北見」での海外輸出を促進するほか、農業経営の安定化を図るため重点振興品目に位置付けられた農作物作付の取組に対し助成してまいります。

 また、離農による農家人口の減少や高齢化により担い手が不足している中、基幹産業である農業を守るため、農業研修生や市内で農地を確保し就農する方に対し生活費の一部を支援いたします。

 平成28年8月の台風では、農地への冠水により作物が根腐れを起こすなど、農業にも大きな被害をもたらしました。災害に強い農業を目指すため、被害の大きかった端野自治区および常呂自治区の常呂川流域に設置されている樋門における排水対策について、国や道と連携し検討してまいります。

 畜産関係では、高品位な和種繁殖を目指し、引き続き支援を行うと共に、牧草およびデントコーンの種子代の一部についても助成し、酪農畜産経営の基盤強化を図ってまいります。

 農業基盤整備では、畑作物の生産性の向上や畑作の安定経営を図るため、農地、農道や排水路の整備等を行う土地改良事業を計画的に進めると共に、地域が共同で行う農地、水路、農道等の質的向上を図る活動に対しても支援してまいります。

 林業・林産業振興では、森林の無立木地を解消し、健全な森林資源の維持造成を図るため、民有林の植栽および下刈り・除間伐に対する助成を行うほか、市有林についても適正管理に取り組んでまいります。

 また、市で管理している林道橋りょうの点検診断を実施し、森林整備や林業経営に必要な基盤整備を進めます。さらに、木質バイオマスの利用促進を目的に一般住宅等への木質ペレットストーブおよびボイラーの導入経費の一部を助成するほか、木材加工場等の設備投資に対しても助成してまいります。

 水産業振興では、北海道が進める特定漁港漁場整備計画に基づき、衛生管理型漁港に向け常呂漁港の基本的な施設の整備を進めると共に、栄浦漁港についても機能保全工事を行ってまいります。

 工業振興および新産業創出では、豊富で質の高い地場産品を活用した付加価値の高い商品開発と販路開拓のため、大学や公設試験研究機関等と連携した取組を進めます。

 また、新たな働き方の提唱と人と仕事の誘引による地域経済の活性化を目指すため、サテライトオフィスを活用したテレワークの推進に努めるほか、U・Iターンを希望する若年層へのPR活動や北見工業大学と連携したICT人材育成等に取り組んでまいります。

 中小企業振興では、「北見市中小企業振興基本条例」の基本理念や基本方針の具現化を図り、中小企業振興に関する施策を総合的かつ体系的に進めるため、新たに「(仮称)北見市中小企業振興プラン」を策定すると共に、中小企業者の経営の安定および経営の基盤強化を図るため、起業・創業を促すための環境整備や中小企業向けの資金需要に対する支援についても引き続き行ってまいります。

 観光物産振興では、広い市域にある多様な地域資源と豊富でおいしい食を活かした着地型観光商品の開発とその受入体制づくりを進めます。あわせて、本市の魅力を発信するシティプロモーション活動を進めることにより、本市の観光の目指す姿である「行ってみたくなる北見」の実現に向け取り組んでまいります。

 また、食や景観など多くの魅力を有するオホーツク地域をサイクリングにより体感いただくため、レンタルバイクの貸出拠点を整備するなど誘客の底上げを図ると共に、外国人観光客をターゲットに北見の魅力を積極的に発信いたします。

 さらに、平成29年8月にリニューアル後の入館者数が100万人を達成した山の水族館については、引き続き知名度の向上を図ると共に魅力あるイベント等を開催し、さらなる集客につなげてまいります。



(5)住む喜びを実感できる生活優先のまちづくり

 

 第五は、「住む喜びを実感できる生活優先のまちづくり」であります。

 本市が保有する公共施設は、昭和50年代前後の人口急増期に整備したものが多く、今後一斉に更新時期を迎えますが、将来の人口減少を見据え、次の世代に負担を残すことなく引き継ぐ必要があります。厳しい財政状況ではありますが、都市の既存ストックを有効に活用しながら住み良い生活基盤づくりを進めてまいります。

 都市再生事業につきましては、新年度に完成する中央プロムナードとまちきた大通ビルを結ぶカバードウォークにより歩行者の利便性の向上を図ると共に、バスの乗降場および待合所を整備し交通結節機能を強化するほか、新庁舎建設と併せ引き続き着実に取り組んでまいります。

 道路関係では、北海道横断自動車道および遠軽北見道路の事業中区間の早期完成と未事業化区間の早期事業着手に向け、高規格幹線道路等の整備促進に係る各期成会を通じ、国等に強く要請するほか、交通環境の改善を図るため、緊急性や必要性を勘案しながら市道や橋りょうを整備いたします。

 地域公共交通では、私たちの貴重な移動手段であると共に、観光振興や物流の基幹を担っているJR石北本線の維持存続に向け、利用促進活動を行っている団体への助成や広報紙等を活用したPR活動など独自の利用促進策を講じてまいります。

 また、「北見市地域公共交通計画」に基づき、地域住民の最適な交通手段を確保するため、地域の特性に合わせた交通システムの検討を進めていくほか、新たに留辺蘂町瑞穂地域において、スクールバスの住民利用を開始し、利便性の向上を図ってまいります。

 住宅関係では、良質な住宅ストックの形成と市内産業の活性化を図るため、住宅省エネ・バリアフリー化改修費助成事業を引き続き実施するほか、昨年策定の「空家等対策計画」に基づき、管理不全な空家等の除却費について新たに補助し、安全安心な住環境の整備を進めてまいります。

 市営住宅の整備につきましては、北見自治区の高栄団地、端野自治区の親交団地、留辺蘂自治区の第2東町団地の建替を継続して行うほか、「公営住宅等長寿命化計画」に基づき浴室のユニットバス化などの居住改善を行い、建物の適切な維持保全および長寿命化を図ってまいります。

 また、住宅施策の基本的方向を示す北見市住宅マスタープランについては、住宅事情等に係る現状分析および課題整理を進めながら計画の見直しを行ってまいります。

 上下水道事業においては、安定的な水道水の供給および衛生的な住環境を維持し、公共用水域の水質保全を図るため、中長期的な視点に立ち、施設の計画的な更新を行うほか、新庁舎の完成時期である平成32年度に合わせ、防災拠点機能を持ち合わせたコンパクトな上下水道局庁舎整備を進めてまいります。

 除排雪体制につきましては、近年頻度が増えている大雪や暴風雪に備え、委託業者へ貸し出す除雪車両の増車を行うほか、安定した維持業務体制を確保するため、除雪グレーダなどの建設機械を計画的に更新してまいります。



(6)市民とつくる信頼と協働のまちづくり

 

 第六は、「市民とつくる信頼と協働のまちづくり」であります。

 これからのまちづくりにおいて、多様化・複雑化する市民ニーズに的確に対応するためには、これまでの行政主導型から市民活動団体や企業など、様々な主体の発想や創造力を活かす協働の考え方が必要不可欠であります。今後においても、まちづくりの最高規範である「まちづくり基本条例」の理念に基づき、市民が共に手を携えて力を出し合う協働によるまちづくりを進めていくことにより、私たちにとって魅力と活力にあふれた住み良いまちを実現できるものと考えております。

 「第2期北見市総合計画」につきましては、基本構想に引き続き市の総合的かつ計画的、効果的な行政運営の指針となるよう、市民の皆さまのご意見を聞きながら、前期基本計画の策定に向け取り組んでまいります。

 行政サービスの向上につきましては、4つの自治区の中で最も高齢化率が高い留辺蘂自治区において、顕在化する様々な地域課題を解決するため、国の「地域おこし協力隊」制度を活用し地域のサポートを行ってまいります。

 また、公共料金等の適正な管理を行うため、新年度から債権管理条例の制定に向け取り組み、市民負担の公平性を確保しつつ健全な財政運営を推進してまいります。

 国際交流・姉妹友好都市交流では、高知県佐川町との姉妹都市提携30周年記念事業、岐阜県大野町との友好都市提携20周年記念事業をはじめとする様々な交流事業を通し、友好・親善を一層深め相互理解の促進を図ってまいります。

 住民自治の推進につきましては、町内会活動の活性化を促すため北見市北見自治会連合会へ支援するほか、町内会への加入率向上策として、アパートやマンション入居者へ町内会加入促進の取組を進めてまいります。さらに、住民自治推進交付金制度につきましては、引き続き様々な事例を研究すると共に、地域コミュニティのあり方について検討を進めてまいります。

 また、留辺蘂自治区において老朽化が進む留辺蘂町民会館と青少年会館の機能を統合し、地域の拠点施設として「(仮称)旭コミュニティセンター」の整備を進めます。

 各自治区の特長を活かした地域振興では、市民が自ら考え、自ら実践する自主的なまちづくり活動を推進するため、自治区ごとの取組に対し、まちづくりパワー支援補助金により、引き続き助成してまいります。

 男女共同参画社会の実現に向けた取組につきましては、今月策定した「第2次北見市男女共同参画基本計画」に基づき、誰もが人権を尊重され、男女が性別に関わりなく個性と能力を十分に発揮して活躍できる社会の実現に向け、「きたみワーク・ライフ・バランス認定事業所制度」等の具体的施策に取り組んでまいります。


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4.むすび

 

 以上、平成30年度の市政運営の基本的な考え方と主要施策について申し上げました。

 本年は、明治2年に北海道と命名されると共に、「北見」の名の由来となった「北見(きたみの)国(くに)」の設置から150年目に当たります。

 名付け親の松浦武四郎翁は、6回に渡り道内を探査し、安政5年には、小舟で常呂川を遡り、未開であった端野、中の島、上常呂などの内陸調査を実施したとされております。この年は、のちに北見の農業、行政、政治等にご尽力された前田駒次氏が土佐(とさの)国(くに)で生誕された年でもあり、当地を通じた縁と開拓への萌芽を感じるところであります。

 大雪連峰からオホーツク海までの豊かな自然と、美しい景観が広がり、多彩な地域資源にも恵まれる当地は、かつて、山には巨木がうっそうと生い茂り、平地は人の背丈ほどの熊笹に覆われ、海は時に来るものを寄せ付けず、先人にとって、恐れすら感じる地であったとされております。

 その後、幾多の困難を乗り越え、この地は肥沃な大地、幸豊かな海、産業を支える山林となり、産出される良質な農林水産物は、海外でも広く認知されているところであります。

 加えて、経済、医療、学術、文化など、多くの分野においてオホーツク圏の中核都市として本市は発展しており、各方面から寄せられる期待もまた大きいものがあると認識しております。

 私は、今日の魅力あふれる北見を築いてこられた先人たちの、並々ならぬ情熱とひたむきな尊いご尽力に心から敬意を表すると共に、その思いをまちづくりに反映し、次の世代へ引き継いでいくことが、市長としての私の責務であると思っているところであります。

 いつの時代にあっても、課題に対しては正面から向き合い、地域特性を生かしつつ、新たな視点と知恵を積み重ね、乗り越えていくことがまちづくりの基本であります。50年後、100年後、その後も、本市が光り輝き続けるためには、今を生きる私たち一人ひとりの創意工夫や努力が不可欠であると考えております。

 

 私は、市民の皆さまが将来への希望を持って暮らせるように、そして、笑顔がひろがるまち北見の実現に誠心誠意、全力で取り組んでまいる所存であります。

 

 結びに、市民の皆さま、議員の皆さまのご支援、ご協力を引き続き賜りますよう心からお願い申し上げ、新年度の市政執行方針とさせていただきます。


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