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擦文(さつもん)土器は7世紀ころから北海道で作られるようになった土器です。同時代の本州で作られていた土師器(はじき)の製法が伝わって作られるようになりました。この土器は表面が木のヘラで擦って仕上げられています。この擦ったあとがパターン模様のようになっていることから、この土器は「擦文土器」と呼ばれています。本州の土師器と全く同じというわけではなく、線を刻んで描かれる文様などは北海道独自の要素となっています。
この擦文土器が使われた時代を「擦文時代」と呼んでいます。7世紀ころに始まり、12世紀から13世紀初めころまで続いたと考えられています。
本州からの影響で作られ始めたことから、擦文時代の古いほうの擦文土器はオホーツク海沿岸地域では少ししか見つかっていません。オホーツク海沿岸に擦文土器を使う文化が本格的に広まってくるのは10世紀以降と考えられており、 多くの遺跡は11~12世紀に残されたものとされています。擦文時代も細かく区分する考え方がいくつか示されていますが、ここでは大まかに資料の少ない10世紀までの前半と、多数の遺跡が見つかっている11世紀からの後半に分けてご紹介します。
大型で深い甕形の土器と小型の坏形の土器が作られていましたが、発見されている資料は限られています。
■ 栄浦第二遺跡出土 ■ 高さ:約26cm
■ 8世紀頃
市内で発見されている中では最も古い時期の擦文土器。首の部分がくびれた器形は古い時期の特徴とされています。平行線と点だけで構成された文様が描かれています。
■ 栄浦第一遺跡出土 ■ 高さ:約25cm
■ 9世紀頃
胴部に描かれる文様が複雑化し、描かれる範囲も広くなっていきます。水平方向の平行線を下地として、斜めの格子目を描いた文様になります。
■ 栄浦第二遺跡出土 ■ 高さ:約26cm
■ 10世紀頃
水平方向の平行線を下地として、垂直線の両側に「Λ」を連ねたパターンの文様が描かれるようになります。また、首の部分のくびれが弱くなり、口の部分の開きがやや大きくなりました。
■ 常呂川河口遺跡・137号竪穴住居跡出土 ■ 高さ:約7cm
■ 10世紀頃
小型の坏形土器。文様は山形の刻線を3段めぐらせたもので、結果として菱形のパターンを形作っています。石囲炉をもつトビニタイ文化の竪穴住居跡から、 トビニタイ土器と一緒に出土したことでも注目される資料です。
大型で深い甕形の土器と共に、坏形の土器に脚がついた高坏形の土器が発達しました。常呂地域でも多数の遺跡・資料が発見されています。
■ 栄浦第二遺跡・37号竪穴出土 ■ 高さ:約29cm
■ 11世紀頃
この頃の擦文土器では、口の部分が外に張り出し、段の付いた形に発達します。また、文様も複数の段に分かれる形となります。
■ 栄浦第二遺跡・36号竪穴出土 ■ 高さ:約49cm
■ 11世紀頃
この頃の擦文土器には文様が全く描かれていないものもあります。表面は木のヘラで擦った調整のあとがあるだけになっています。高さは49cmあり、この地域で発見された擦文土器の中でも特大の部類のものです。
■ 常呂川河口遺跡・138号竪穴出土 ■ 高さ:約30cm
■ 11世紀頃
大型の擦文土器は土中でつぶれてしまうためか、たいていは壊れてしまっています。その中でこの土器は、ヒビが入っているものの、ほぼ完全な形で見つかった少し珍しい資料です。文様は斜格子文と横方向の矢羽根状文が交互になっていますが、少し雑に描かれているようです。
■ 常呂川河口遺跡・162号竪穴住居跡出土 ■ 高さ:約10cm
■ 11世紀頃
擦文時代後半期には、坏形土器の台座部分が高くなり、脚のついた高坏形土器が発達します。脚の下部は段々になり、文様は斜平行線が交互に整然と描かれています。
■ 常呂川河口遺跡・1号竪穴住居跡出土 ■ 高さ:約10cm
■ 11世紀頃
斜平行線と点列を併用したやや複雑な文様の高坏形土器。脚の接地部には4か所、小さな三角形の切れ込みが入っています。
■ TK-67遺跡・3号竪穴住居跡出土 ■ 高さ:約16cm
■ 11世紀頃
高さ約16cm、直径約29cmある特大の高坏形土器。この地域で見つかっている高坏形土器はほとんどが高さ約10cm程度のものであり、この大きさのものは珍しい。
■ 栄浦第二遺跡出土 ■ 高さ:約10cm
■ 11世紀頃
文様がやや簡素になり、脚部の段が1段になるなど、簡略化された高坏形土器。上記の高坏形土器より年代が下る可能性があるもの。
■ 栄浦第二遺跡出土 ■ 高さ:約13cm
■ 12世紀頃
胴の部分が丸くふくらむ、「球胴形」と呼ばれる形の甕形土器。擦文の甕形土器は胴の部分がまっすぐのびる形のものが多いですが、こうした球胴形のものも少数あります。
■ TK-09遺跡・1号竪穴住居跡出土 ■ 高さ:約29cm
■ 12世紀頃
「11世紀頃」として紹介したものよりも年代が新しいと考えられる甕形土器。胴の部分は幅広になり、文様が1段になっています。
■ 常呂川遺跡・122号竪穴住居跡出土 ■ 高さ:約10cm
■ 13世紀初め頃
擦文時代の終わり頃のものと考えられる土器です。小型で、文様もかなり簡略化されています。
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北見市教育委員会社会教育部 ところ遺跡の森 郵便番号:093-0216 住所:北海道北見市常呂町字栄浦371番地 電話:0152-54-3393 FAX:0152-54-3538 |
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